REACTION

人名反応

Name Reaction

人名反応(Name Reaction)とは、特定の化学反応が発見者や開発者の名前にちなんで命名された反応のことです。有機化学において、重要な化学反応にはその反応を発見した化学者の名前が付けられ、その名前で広く認識されています。人名反応は、有機合成化学や化学反応の設計において非常に重要であり、新しい化合物の合成や化学反応のメカニズムの理解に貢献しています。

人名反応一覧

Name Reaction 概要
A
Achmatowicz Reaction フランをジヒドロピランに変換する反応
Alder Ene Reaction オレフィンとアルケンとのシグマトロピー反応
Appel Reaction 第1・2級アルコールをハロゲン化物に変換する反応
Arbuzov Reaction 亜リン酸エステルから五価のリン酸エステルを合成する反応
B
Baeyer-Villiger Oxidation ケトンをエステルに変換する反応
Barton-McCombie Deoxygenation アルコールからチオカルボニルを経由してラジカル条件で脱酸素化する反応
Beckmann Rearrangement オキシムをアミドに変換する反応
Benkeser Reduction 液体アンモニアの代わりにアミンを用いるバーチ還元の変法
Birch Reduction 液体アンモニア中で金属を用いることによる還元
Brown Hydroboration アルケンからアンチマルコフニコフ型アルコールを得る反応
Buchwald–Hartwig–Miura Arylation Pd触媒によって不飽和カルボニル化合物のγ位をアリール化する反応
C
Claisen Rearrangement アリルビニルエーテルからγ,δ-不飽和カルボニル化合物が生じる[3,3]-シグマトロピー転位反応
Curtius Rearrangement カルボン酸アジドを熱分解してイソシアネートを得る反応
D
Davis Oxidation ケトンやエステルのα位を温和な条件で酸化する反応
Delepine Amine Synthesis ハロゲン化アルキルを第一級アミンに変換する反応
Dess-Martin Oxidation デス・マーチン ペルヨージナンを用いた酸化反応
E
Eschenmoser-Claisen Rearrangement アリルアルコールをγ,δ-不飽和アミドに変換する反応
F
Ferrier Rearrangement グリカールの1位に置換基を導入する反応
Fujiwara-Moritani Reaction 非修飾型ベンゼンにアルケンを結合する反応
G
Gabriel Amine Synthesis フタルイミドのアルキル化を利用して第一級アミンを得る反応
Grignard Reaction カルボニル化合物にアルキル基を導入する反応
H
Hofmann Rearrangement 第一級アミドからイソシアネートを経由して第一級アミンを得る反応
Hunsdiecker Reaction カルボン酸銀塩をアルキルハライドに変換する反応
I
J
Jones Oxidation 三酸化クロムと硫酸を用いた酸化反応
Julia-Kocienski Olefination ヘテロアリールスルホンとカルボニル化合物との縮合により、アルケンを合成する反応
K
Kahne Glycosidation グリコシルスルホキシドからグリコシド結合を形成する反応
Knoevenagel Condensation アミンを触媒として用いて活性メチレン化合物とカルボニル化合物から置換オレフィンを得る反応
Kornblum Oxidation アルキルハライドをアルデヒドに変換する反応
L
Larock Indole Synthesis オルトヨードアニリンと二置換アルキンからインドールを合成する反応
Ley-Griffith Oxidation TPAPを用いた酸化反応
Liebeskind-Srogl Coupling チオエステルとボロン酸からケトンを生成する反応
Luche Reduction NaBH4に三価のセリウムを添加することで1,2-還元を優先させる反応
M
Michael Addition カルボアニオンによる1,4-付加(共役付加)反応
Migita-Kosugi-Stille Cross Coupling 有機スズ化合物と有機ハロゲン化物あるいは有機トリフラートのカップリング反応
Mitsunobu Reaction 第一級あるいは第二級アルコールから様々なエステルに変換する反応。第二級アルコールの立体反転法としてよく知られている
Mukaiyama Aldol Reaction シリルエノールエーテルを用いたアルドール反応
N
Nozaki-Hiyama-Kishi Reaction 塩化クロムを用いるアルデヒドとハロゲン化物のカップリング反応
O
P
Payne Rearrangement 塩基性条件下での2,3-エポキシアルコールの異性化反応
Perkow Reaction α-ハロケトンおよび亜リン酸エステルをエノールホスフェートに変換する反応
Petasis-Ferrier Rearrangement エノールアセタールの環状エーテルへの転位反応
Pfitzner-Moffatt Oxidation DMSOとDCCを酸化剤とする酸化反応
Prilezhaev Epoxidation 過酸を用いてオレフィンをエポキシドに変換する反応
Q
R
Rubottom Oxidation シリルエノールエーテルとmCPBAによってα-ヒドロキシケトンを生成する反応
S
Saegusa-Ito Oxidation ケトンからシリルエノールエーテルを経由してα,β-不飽和ケトンに変換する反応
Schmidt Glycosylation オキソニウムカチオンを発生させてグリコシル化する反応
Schmidt Rearrangement カルボン酸を一炭素少ないアミンに変換する反応
Sharpless Dihydroxylation プロキラルオレフィンをエナンチオ選択的に1,2-ジオールに変換する反応
Suzuki-Miyaura Cross Coupling パラジウム触媒による有機ボロン酸とハロゲン化物のクロスカップリング反応
Staudinger Reaction 三価のリンを用いてアジドを還元する反応
Swern Oxidation DMSOと塩化オキサリルを用いる酸化反応
T
U
Upjohn Dihydroxylation 四酸化オスニウムを用いてシン選択的な1,2-ジオールを得る反応
V
W
Wacker Oxidation Pd触媒を用いてアルケンをカルボニル化合物に変換する反応
Wharton Reaction ヒドラジンを用いてα,β-エポキシケトンを還元し、アリルアルコールを得る反応
Williamson Ether Synthesis SN2求核置換反応によって非対称エーテルを得る反応
Wolff Rearrangement α-ジアゾケトンをケテンに変換する反応
X
Y
Yamaguchi Esterification 2,4,6-トリクロロベンゾイルクロライドを作用させて混合酸無水物を調製したのち、エステルを得る反応
Z
Zweifel Olefination アルケニル金属試薬をボレート形成させて、ヨウ素処理の転位によって置換アルケンを得る反応