Excel(エクセル)でグラフを作るとき、近似の種類が多くてどれを選べばいいかわからないという経験をしたことはありませんか?
今回は、どういうときにどの近似を使えばいいのかをまとました。
Excel(エクセル)で使える近似曲線
エクセルでは、以下の6種類の近似曲線があります。
- 指数近似
- 線形近似
- 対数近似
- 多項式近似
- 累乗近似
- 移動平均
これらの中には似ているものもありますが、それぞれ少しずつ異なる役割を持っています。
そのため、データを処理する場面では、適切な近似曲線を選ぶことが求められます。
適切な近似曲線を選ぶことができるように、簡単な知識は覚えておくようにしましょう。
では、ひとつずつ解説していきます。
指数近似
指数近似は、後から出てくる累乗近似と似ています。
これは、縦軸に対数をとる片対数グラフで活躍します。
線形近似
これは、最も一般的に使われる近似なのではないでしょうか。
小学校か中学校で習う「\(y=ax+b\)」という式の直線が引けます。
値が、一定のペースで増加または減少する場合に使います。
対数近似
対数近似は、横軸に対数をとる片対数グラフで活躍します。
下のグラフは、片対数グラフです。
このように、対数近似を使えば、片対数グラフで直線を引くことができます。
多項式近似
値が、増加・減少を繰り返す場合は、多項式近似を使いましょう。
多項式近似を用いると、下のようなグラフが得られます。
増減の回数によって、次数を決定します。
たとえば、上のグラフのように「増える・減る・増える」の場合の次数は”3″です。
「増える・減る・増える・減る」の場合は、”4″になります。
累乗近似
累乗近似は、両対数グラフで活躍します。
下のグラフは、両対数グラフです。
両対数グラフで線形近似などを使ってしまうと、曲線になってしまいます。
それに対し、累乗近似を使えば、直線を引くことができます。
これは、両対数グラフの特性と累乗近似を理解していれば、当然のことだと感じるでしょう。
移動平均
移動平均は、全体的に値がどのように動いているかを知りたいときに使います。
特に、値が細かい変動を繰り返す場合に有効です。
気温の変化を表したいときなどに使うことができます。
移動平均は、区間を設定し、その区間内での値の平均値を示します。

このような値が測定されたとします。
このとき、区間を3に設定していれば、\(x=3\)のときの\(y\)は、\(\frac{(2+4+3)}{3}=3\)となります。
グラフを作成すると、以下のようになります。
近似曲線の選び方
ここまで簡単に各近似曲線の解説をしました。
概要は理解できたと思いますが、細かい部分がまだ微妙だと思います。
そこで、迷った時の選び方を紹介します。
解析するデータの種類
データの種類によって、出てくる式の検討がつくときもあると思います。
その場合は、その式になるように近似曲線を選んでください。
logやe(ネイピア数)などを使えるか
理系の方でしたら、logやeは身近なものです。
しかし、それ以外の人には嫌厭されるかもしれません。
そのような人を対象にデータを説明するときは、できるだけ難しい計算記号の使用を避けましょう。
わかりやすい数式になっているか
数式を見て、パッと理解できることも大切です。
見た目の美しさまで気を配れたら、よりよいグラフに仕上がります。
R2値はいくつか
最後の決め手となるのが、R2値です。
一般的に、R2値が1に近い方が正確な近似曲線になっています。
なので、判断ができないときは、R2値が1に近い方を選びましょう。
R2値は決定係数と呼ばれます。
難しい単語を用いて定義すると、独立変数が従属変数をどのくらい説明できるかを表す値です。
ここで、独立変数は物事の原因となる変数であり、従属変数は独立変数による結果となる変数です。
“y=ax+b”という式があった場合、xが独立変数で、yが従属変数となります。
一般的には、グラフの横軸に独立変数、縦軸に従属変数をとることが多いです。
さて、ここまで難しい言葉を使って説明してきましたが、R2値は近似式の正確さを表すということを覚えていれば十分です。
まとめ
以下の表を使って考えると、わかりやすいです。
線形近似 | 一般的なグラフ |
---|---|
指数近似 | 片対数グラフ(縦軸が対数) |
対数近似 | 片対数グラフ(横軸が対数) |
累乗近似 | 両対数グラフ |
多項式近似 | 値が「増加・減少」を繰り返す |
最後に
近似曲線が目的に応じて使い分ける必要があります。
なんとなくではなく、しっかり意味を理解して、使いこなせるようにしましょう。