SCIENCE

【高分子の化学的性質】熱的性質を理解する【プラスチックシリーズ】

高分子は身の回りにあふれています。

皆さんが最も身近なのは、プラスチックでしょう。

今回は、なぜ高分子がこんなにも重宝されているのかを、熱的性質の面から見ていきます。

分子量と熱的性質

高分子というくらいですから、基本的にその分子量は大きいです。

ですが、その中にも分子量が比較的小さいものからとても大きいものがあります。

熱的性質は、分子量と大きく関係します。

融点と沸点

高分子に限らず、物質は分子量が大きくなるほど、沸点や融点が高くなる傾向があります。

高分子の場合、分子量がとても大きいため、沸点は存在しません。

正確に言えば、加熱して沸点に達する前に、分解して炭化してしまします。

ですので、沸点を測定することはできません。

それに対し、融点は測定することができます。

しかし、融点の幅は広くなります。

軟らかくなり始めてから完全に解けるまでに、温度が大きく変動するからです。

温度と状態

温度を上昇させたときの高分子の状態は分子量によって変わります。

分子量が小さい場合は、融けると流動性のある液体になります。

しかし、分子量が大きくなっていくと、流動性は低くなり、粘調さが現われてきます。

さらに分子量が大きくなると、融けても流動性のないゴム状の物質になります。

熱による性質変化

高分子の分子運動には、ミクロブラウン運動とマクロブラウン運動とがあります。

ミクロブラウン運動とは、主鎖は動かず、それに結合している原子や原子団だけが動いている状態です。

それに対し、マクロブラウン運動は、主鎖も動いている状態です。

高分子の温度による状態変化は、結晶性か非晶性かで異なります。

結晶性高分子

加熱すると、次第に体積が増加します。

ガラス転位温度に達すると、ミクロブラウン運動を始めます。

これにより、高分子は弾力のある状態になります。

さらに過熱すると、融点に達し、マクロブラウン運動を始めます。

その結果、高分子はゴム状になり、体積が不連続に増加します。

最終的には、液体状になります。

非晶性高分子

非晶性高分子の場合、結晶性高分子よりも単純な変化を示します。

まず、加熱すると、徐々に体積が増加します。

ガラス転位温度に達すると、マクロブラウン運動が始まり、軟らかいゴム状になります。

それと同時に、体積増加の割合が増加し、最終的には融けて液体状になります。

最後に

分子量の大小や結晶性か非晶性かなどによって、高分子の熱的性質は決まります。

このほかにも、高分子の特徴はたくさんあります。

それらを紹介する記事が投稿されるまで、しばしお待ちください。