実験レポートの書き方|テンプレートと考察の例文【有機化学実験の記入例】
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返ってきたレポートに、赤字で「考察になっていない」「結果と考察が混ざっている」。大学の学生実験で、最初の数回はほとんどの人がこの指摘を受けます。書き方の説明を読んでも「目的・方法・結果・考察を書く」としか書かれておらず、結局その欄に何を書けばいいのかが分からないまま、毎週の提出が続きます。
実験レポートの書き方は、才能ではなく型の問題です。各節に「書くこと」と「書かないこと」が決まっていて、考察には使える文型があります。この記事では、そのままコピーして使える見出しの雛形、節ごとの書き分け、考察の文型と良い例・悪い例の対比を、再結晶・抽出・融点・TLC といった化学系の学生実験を例に示します。
なお、書式(表紙の有無・章番号の付け方・手書きか電子か)は大学や授業ごとに指定があります。指導書や担当教員の指定がある場合は、そちらが常に優先です。この記事の雛形は、指定が無い部分を埋めるための標準形として使ってください。
そのまま使える実験レポートの雛形
まず全体の形を示します。見出しと、各節の最初の一文の書き出しまで入れてあるので、コピーして[ ]の中を埋めれば骨格ができます。
[表紙] 実験題目:[例:アセトアニリドの再結晶と融点測定] 授業名・実験日・提出日・学籍番号・氏名・共同実験者 1. 目的 本実験では、[何を]を[どの方法で]行い、[何を確かめる/求める]ことを目的とする。 2. 原理 2.1 [操作の原理:例 再結晶が精製になる理由] 2.2 [評価の原理:例 融点で純度が分かる理由] (式には (1)(2) と番号を付け、本文から「式(1)より」と参照する) 3. 実験方法 3.1 試薬・器具 [試薬名、使用量の実測値、器具・装置名] 3.2 操作 [実際に行った順に、過去形で] (指導書と違う操作をした場合は、その点と理由を書く) 4. 結果 [表1][図1]とその説明文。観察(色・析出のようす等)も事実として書く 例:得られた結晶の質量と融点を表1に示す。 5. 考察 5.1 [結果1についての考察] 5.2 [結果2についての考察] (予想 → 実際 → 差の理由 → 理由の確かめ方、の順) 6. 結論 [目的に1対1で答える。新しい情報は書かない] 7. 課題(出されている場合) 8. 参考文献 1) [著者名,書名,出版社,発行年,ページ]
この順番には理由があります。レポートを読む人(採点者)は、「何を確かめたくて → どうやって → 何が出て → それは何を意味するか」の順で知りたいからです。そして、もう一つの目的が再現性です。実験レポートは、読んだ人が同じ実験を繰り返し、同じ結果を得られるように書く文書なので、方法の節には「誰がやっても同じ操作になる情報」が要ります。
分野によっては、目的の前に「要旨」を置く形式や、原理を「緒言」「理論」と呼ぶ形式、化学工学のように「実験装置」の節を独立させる形式もあります。名前や順番が多少違っても、事実の節(方法・結果)と解釈の節(考察)を分けるという骨格は共通です。
各節に書くこと・書かないこと
レポートの指摘の大半は、「その節に書くべきでないことを書いた」か「書くべきことが抜けた」のどちらかです。節ごとに表にまとめます。
| 節 | 書くこと | 書かないこと |
|---|---|---|
| 目的 | 何を、どの方法で、何を確かめるために行うか(1〜3文) | 「〜について学ぶため」「〜を体験する」といった、確かめる対象のない目的 |
| 原理 | 操作がなぜ目的を達成できるのか。使う式(番号つき)と記号の意味 | 指導書や教科書の丸写し。実験と関係のない一般論 |
| 方法 | 実際に行った操作を過去形で。試薬の量は実測値、温度・時間・装置名 | 予定していた量(実測と違う場合)、命令形(「〜せよ」)、操作の感想 |
| 結果 | 数値(単位・有効数字つき)、表と図、観察した事実(色・状態・変化) | 「〜と考えられる」などの解釈。都合の悪いデータの削除 |
| 考察 | 結果がなぜそうなったか、予想や文献値とのずれとその原因、原因の確かめ方 | 感想(「難しかった」「楽しかった」)、結果の繰り返し、根拠のない「誤差のせい」 |
| 結論 | 目的への答えを、結果と考察から言えることだけで短く | 考察で触れていない新しい主張、反省文 |
| 参考文献 | 本文で参照・引用したすべての文献。本文の該当箇所に番号を付けて対応させる | 本文で使っていない文献、出典の分からないウェブページ |
目的:「確かめる対象」を1つ書く
目的に「〜について学ぶ」と書くと、考察と結論で答える相手がいなくなります。目的は、結論で「できた/できなかった」と答えられる形にしておきます。たとえば「再結晶について学ぶ」ではなく「粗アセトアニリドを水から再結晶して精製し、融点によって精製の効果を確かめる」と書けば、結論は「融点が文献値に近づき、融解範囲が狭くなったので精製できた」と1対1で対応します。
原理:「なぜその操作で目的が達成できるか」を書く
原理の節は、指導書の解説を写す場所ではありません。この実験の操作と、確かめたいことをつなぐ理屈を書く場所です。再結晶なら「目的物は熱い溶媒によく溶け、冷えると溶けにくくなる。一方、少量の不純物は冷えても溶液に残る。だから熱時に溶かして冷やすと、目的物だけが結晶として出てくる」という一続きの説明が原理です。この説明があると、考察で「なぜ回収率が100%にならないのか」を原理に戻って書けます。
方法:過去形で、実測値で書く
方法は実際にやったことを過去形で書きます。指導書に「約 2 g」とあっても、実際に量り取ったのが 2.03 g ならその値を書きます。結果の計算(回収率や収率)は、この実測値から出すからです。また、指導書と違う操作をした場合(試料をこぼして量が減った、加熱時間が延びた等)は、必ず書きます。考察で原因を探すとき、手がかりになるのはこの記述だけだからです。
結果:事実だけを、表・図と文で書く
結果の節に「〜と考えられる」と書いた時点で、それは考察です。結果に書くのは、測った数値と、目で見た事実だけです。「結晶は白色の板状だった」「冷却を始めてしばらくして結晶が析出し始めた」は事実なので結果に書けます。一方、「結晶は純粋だった」は、融点などの根拠から導いた解釈なので考察に書きます。
表と図には番号と題を付け、本文で「表1に示す」と必ず触れます。表の題は表の上、図の題は図の下に置くのが一般的な決まりです。表とグラフの具体的な作り方はレポートに載せる表・図(グラフ)の描き方、検量線などの近似曲線の引き方はExcelの近似曲線、数値の桁の決め方は有効数字で解説しています。
考察の書き方:4つの文型
考察は、結果と原理の橋渡しです。「結果がこうだった」と「原理によればこうなるはず」を突き合わせ、一致すればその理由を、ずれていればその原因を書きます。採点者が見ているのは、理由が化学的に言えているか、そしてその理由を確かめる方法まで考えているかです。考察が書けない人の多くは、何を書くかではなくどういう文の形で書くかで止まっています。次の4つの文型を使えば、書き出しで迷わなくなります。
| 文型 | 形 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 1. 予想との比較 | 「原理から[予想]と予想したが、実際には[結果]となった。これは[理由]によると考えられる。」 | 結果が予想とずれたとき(いちばん使う) |
| 2. 根拠からの判断 | 「[観察・数値]であることから、[判断]と判断した。」 | 純度・同定・反応の進行など、結果から何かを言うとき |
| 3. 誤差の評価 | 「文献値との差は[差]であり、主な原因として[原因]が考えられる。この原因であれば[予測される現象]となるはずであり、実際に[観察]であった。」 | 文献値・理論値と比べるとき |
| 4. 確かめ方・改善 | 「[原因]が正しければ、[条件]を変えて測定すると[予測]となるはずである。」 | 考察の締め。原因を確かめる追加実験を示すとき |
文型3の後半「この原因であれば〜となるはずであり、実際に〜であった」が、考察の質を分ける部分です。原因を1つ挙げるだけなら誰でも書けますが、その原因が正しいなら他にどんな現象が見えるはずかを考え、それを自分の結果で確かめると、考察が推測から論証に変わります。
良い例と悪い例:融点が文献値より低かった
再結晶したアセトアニリドの融点が、文献値より低く出たとします。同じ結果から書いた2つの考察を比べます。
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 融点は文献値と少しずれたが、おおむね純粋な結晶が得られたと思う。ずれたのは実験操作の未熟さによる誤差のためだと考えられる。 | 融点は文献値より低く、融け始めから融け終わりまでの範囲も広かった。不純物を含む固体は融点が下がり、融解範囲が広がる(融点降下)。したがって、結晶にはまだ不純物が残っていたと考えられる。考えられる不純物は、母液に溶けていた不純物と、乾燥が不十分なために残った水である。十分に乾燥させてから再測定し、融点が上がれば水の残留が、変わらなければ母液由来の不純物が原因と区別できる。 |
悪い例の問題は3つあります。「少しずれた」がどちらにずれたかを書いていないこと、「純粋だと思う」が結果と矛盾していること、「操作の未熟さ」が何の操作のどの部分かを言っていないので確かめようがないことです。良い例は、ずれの向き(低い)と融解範囲という2つの事実を、融点降下という原理につなぎ、原因の候補を2つに絞って、その2つを区別する方法まで書いています。
有機化学実験の記入例:再結晶・抽出・融点・TLC
化学系の学生実験でよく出る操作について、方法・結果・考察の書き方を示します。数値の欄は[ ]にしてあるので、自分の測定値を入れてください。
再結晶:回収率を計算し、100%にならない理由を書く
再結晶の手順と溶媒の選び方は再結晶のやり方と溶媒の選び方で詳しく解説しています。
方法の記入例です。量・温度・操作の順番が、読んだ人が再現できる粒度で書かれていることを確認してください。
粗アセトアニリド[ ]g を三角フラスコに量り取り、水[ ]mL を加えて 加熱し、溶解させた。加熱をいったん止め、少し冷ましてから少量の活性炭を加え、 再び加熱した後、あらかじめ温めておいたろうとで熱時ろ過した。ろ液を室温まで放冷した後、氷浴で冷却し、 析出した結晶を吸引ろ過で集め、少量の冷水で洗浄した。結晶を風乾した後、 質量を量った。
結果は、計算に使う数値を表にまとめます。
| 表1 再結晶の結果 | 値 |
|---|---|
| 粗アセトアニリドの質量 | [ ]g |
| 再結晶後の質量 | [ ]g |
| 回収率 = 再結晶後の質量 ÷ 粗生成物の質量 × 100 | [ ]% |
| 融点(粗結晶/再結晶後) | [ ]–[ ]°C / [ ]–[ ]°C |
| 外観 | [色・形] |
考察で必ず扱うべきなのは、回収率が100%にならない理由です。「ロスがあった」では考察になりません。原理に戻ると、目的物は冷えた溶媒にも少しは溶けるので、その分は結晶にならず母液に残ります。だから、溶媒を必要以上に多く使うほど回収率は下がります。ほかに、熱時ろ過のときにろうとの上で結晶が析出して失われる、洗浄の水で一部が溶ける、といった損失も原理から説明できます。自分の操作のどれが効いたかを、方法の節の記述(使った水の量、ろ過のときに結晶が出たか)と照らして書きます。
もう一つの論点が冷やし方です。溶液を急に冷やすと結晶の核が多くでき、細かい結晶が急に析出するので、母液や不純物を取り込みやすくなります。放冷してから氷浴に移すのはこのためで、方法にこの順番を書いておくと、考察で純度と結びつけられます。
抽出:なぜその層に移ったかを酸と塩基で説明する
安息香酸と中性の有機化合物の混合物をジエチルエーテルに溶かし、炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出して分ける実験を例にします。分液漏斗の操作そのものは分液漏斗の使い方と分液のコツで解説しています。
試料[ ]g をジエチルエーテル[ ]mL に溶かし、分液漏斗に移した。 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液[ ]mL を加え、ガス抜きをしながら振り混ぜた後、 静置して下層の水層を分取した(上層はエーテル層)。この操作を[ ]回繰り返し、水層を合わせた。 合わせた水層を氷冷しながら、発泡に注意して塩酸を少しずつ加えて酸性(pH 試験紙で確認)にし、 析出した固体を吸引ろ過で集め、冷水で洗浄し、乾燥後に質量を量った。
考察では、なぜ安息香酸だけが水層へ移ったかを書きます。安息香酸は炭酸より強い酸なので、炭酸水素イオンにプロトンを渡して安息香酸イオン(ナトリウム塩)になります。イオンは水に強く水和されるので水層へ移り、電荷を持たない中性の化合物はエーテル層に残ります。振り混ぜたときに気体が出るのは、炭酸水素イオンがプロトンを受け取って生じた炭酸が、二酸化炭素と水に分かれるためです。ジエチルエーテルは蒸気圧が高く、振り混ぜるだけでも漏斗内の圧力が上がるので、この二酸化炭素と合わせてガス抜きが必要になります。塩酸を加えると安息香酸イオンがプロトンを受け取って中性の安息香酸に戻り、水に溶けにくいので析出します。酸と塩基の向きの判断は有機化学の酸と塩基とpKa表の使い方が土台になります。
回収量が少なかった場合の考察の例です。ここでは、塩酸を加えたときに pH を確かめず、方法の節にもそのとおり「pH は確認しなかった」と書いたとします。悪い例は「抽出のときにロスがあった」。良い例は「酸性にしたことを pH 試験紙で確かめなかったため、安息香酸イオンの一部が中性の安息香酸に戻らず、水層に溶けたまま残った可能性がある。ろ液にさらに塩酸を加えて固体が析出すれば、この原因が確かめられる」。原因を、確かめられる形で書くのがポイントです。
融点:範囲で記録し、測り方も書く
融点は1つの数値ではなく、融け始めから融け終わりまでの範囲で記録します。純粋な物質ほどこの範囲が狭く、不純物を含むと低温側に広がるので、範囲そのものが純度の情報になるからです。結果には範囲と文献値(出典つき)を並べ、方法には測定装置と、融点付近で加熱をゆっくりにしたことを書きます。加熱が速すぎると、温度計の示す温度に試料の温度が追いつかないうちに読み取ることになり、測定値が実際より高く出やすくなります。この記述が方法にあれば、考察で文献値とのずれを議論するときの根拠になります。
TLC:Rf 値は展開溶媒とセットで書く
展開溶媒の決め方やコスポットの打ち方はTLCのやり方とRf値の求め方で解説しています。
TLC(薄層クロマトグラフィー)の結果には、Rf 値と、その値を得た条件を必ずセットで書きます。
Rf = (原点からスポットの中心までの距離)÷(原点から溶媒先端までの距離) 記録する条件: プレート [例:シリカゲル] 展開溶媒 [溶媒名と体積比] 検出方法 [例:UV ランプ、ヨウ素] スポット [原料・反応液・両方を重ねたもの(コスポット)を並べたか]
Rf 値は展開溶媒の組成やプレートが変わると変わる値なので、条件の書かれていない Rf 値は、他の結果と比べることができません。結果にはプレートのスケッチ(または写真)を図として載せ、各スポットの Rf 値を書き込みます。
考察の例です。悪い例は「スポットが2つあったので不純物がある」。良い例は「反応液のレーンに、原料と同じ Rf 値のスポットが残り、原料のスポットはコスポットでも分裂しなかった。したがって原料が未反応のまま残っており、反応は完結していなかったと判断した」。同じ Rf 値であることを、コスポットという根拠で示している点が違います。シリカゲルの TLC では極性の高い化合物ほど固定相に強く引きつけられて Rf 値が小さくなるので、新しいスポットの位置から、生成物の極性が原料より高いか低いかも議論できます。
予習と実験ノート:レポートは当日の記録からしか書けない
レポートの質は、実は実験の前と最中に決まっています。予習では、使う試薬の性質と危険性をSDS(安全データシート)で確認してまとめます。まとめ方はSDSのまとめ方、SDSの各項目の意味はSDSの見方で解説しています。予習で調べた融点や溶解性は、そのまま原理や考察で文献値として使えます(出典を付けます)。
実験中は、実験ノートに次のことをその場で書きます。方法の節は実測値で、結果の節は観察した事実で書くので、ノートに無いことはレポートに書けません。
参考文献の書き方
本文で参照・引用した文献は、すべて参考文献の節に載せ、本文の該当箇所に番号を付けて対応させます。文献値(融点・溶解度など)を使ったときも出典が必要です。参照したのに載せていない文献があると、剽窃(盗用)とみなされることがあります。図書・雑誌論文・ウェブページそれぞれの書き方は参考文献の書き方にまとめています。
提出前のチェックリスト
提出する前に、次の項目を上から確認してください。指摘を受けやすい順に並べてあります。
| 確認 | チェック項目 |
|---|---|
| □ | 結論が、目的の文に1対1で答えている |
| □ | 結果の節に「〜と考えられる」「〜と思われる」が入っていない |
| □ | 考察のすべての主張に、結果の数値か観察という根拠がある |
| □ | 文献値とのずれについて、向き(高い・低い)と原因と確かめ方を書いた |
| □ | 「人為的誤差」「操作の未熟さ」で終わっている文がない |
| □ | 方法が過去形で、量は実測値で書かれている |
| □ | 指導書と違う操作をした場合、その点を方法に書いた |
| □ | すべての数値に単位があり、有効数字が測定の精度と合っている |
| □ | 表と図に番号と題があり(表は上、図は下)、本文で必ず触れている |
| □ | グラフの軸に量と単位があり、測定点と近似線の区別がつく |
| □ | 式に番号があり、記号の意味と単位を書いた |
| □ | 文体が「である調」でそろっている |
| □ | 参照した文献がすべて載っていて、本文の番号と対応している |
| □ | 課題(設問)が出ている場合、すべてに答えた |
| □ | 表紙に題目・実験日・提出日・氏名・共同実験者がある |
レポートの書き方を深めたい人への参考書
レポートや論文の書き方を、一冊を通して体系的に学びたい人向けの本です。卒業研究で論文を書くときにも使えます。
まとめ
レポートの決まりごとが多いのは、読む人が迷わず、同じ実験を再現できるようにするためです。決まりを覚えるより、「この文は事実か、解釈か」「この主張の根拠は結果のどこにあるか」を一文ずつ確かめる習慣をつけるほうが、早く書けるようになります。最初は雛形と文型に頼ってかまいません。数回書くうちに、型が自分の書き方になります。
よくある質問
結果の数値や観察の中から、予想や文献値とずれているものを1つ選び、「原理から〜と予想したが、実際には〜となった。これは〜によると考えられる」という文型に当てはめるところから始めます。ずれの向き(高い・低い、多い・少ない)を書き、その向きを説明できる原因を原理から探すと、考察の1段落目ができます。最後に、その原因が正しいかを確かめる方法を1文加えると、考察として成立します。
失敗した結果も、そのまま結果の節に書きます。データを消したり、指導書の期待値に書き換えたりしてはいけません。考察では、予想との違いがどの操作から生じたかを方法の記述と照らして推定し、その推定を確かめる方法を書きます。原因を確かめられる形で議論できていれば、結果が予想どおりでなくても、レポートとしての評価は下がりにくくなります。
指定が無ければ「である調」で書くのが一般的です。科学論文や報告書の多くが「である調」で書かれているためです。どちらを選ぶ場合でも、1つのレポートの中で文体を混ぜないことが大切です。また、方法と結果は実際に行ったことなので過去形、原理や一般的な事実は現在形、と時制も使い分けます。
指導書の手順をそのまま写すのは避け、自分が実際に行った操作を過去形で書きます。指導書は「これから行う操作」を命令形や予定量で書いていますが、レポートの方法は「実際に行った操作」を実測値で書く記録だからです。指導書と違う操作をした場合は、その違いと理由を必ず書きます。授業によっては「指導書のとおり」と省略してよい場合もあるので、指示を確認してください。
字数で決めるより、結果の項目ごとに少なくとも1つの考察を書く、という基準で考えるのが実用的です。たとえば質量・融点・TLC の3つを測ったなら、それぞれについて「なぜその値になったか」「予想とのずれは何によるか」を書きます。課題(設問)が出ている場合は、それに答える分が加わります。量を増やすために感想や結果の繰り返しを書いても、評価は上がりません。
