LiAlH4の還元|水素化アルミニウムリチウムの機構・後処理とNaBH4との違い
ケトンを還元するだけなら、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)で足ります。ところが「エステルをアルコールにしたい」「アミドをアミンに変えたい」となると、NaBH4 ではほとんど反応が進みません。そこで登場するのが水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4、略称 LAH)です。
LiAlH4 は「強い還元剤」として暗記されがちですが、試験で差がつくのはその先です。なぜエステルはアルデヒドで止まらずアルコールまで進むのか。なぜアミドだけは C–N 結合が残ってアミンになるのか。なぜ水やアルコールを溶媒にできないのか。どれもAl–H 結合の極性と四面体中間体から何が抜けるかの2点で説明できます。
LiAlH4(水素化アルミニウムリチウム)とは
LiAlH4 は、リチウムイオン Li+ とテトラヒドリドアルミン酸イオン [AlH4]− からなる塩です。アルミニウムを中心に4つの水素が正四面体形に並び、この水素がヒドリド(H−)として求電子的な炭素へ移ります。1947年に Schlesinger らが合成法を報告し、同じ年に R. F. Nystrom と W. G. Brown(H. C. Brown とは別人)が有機化合物の還元に使えることを示しました。以来、カルボニル化合物の還元で最も基本的な試薬の1つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 水素化アルミニウムリチウム(lithium aluminium hydride)、略称 LAH |
| 組成 | Li+[AlH4]−(1式量あたりヒドリド4個) |
| 外観 | 白色の固体(市販品は不純物で灰色のことが多い)。THF・ジエチルエーテルの溶液としても市販 |
| 溶媒 | 無水のジエチルエーテル(Et2O)、THF |
| 禁忌 | 水・アルコール・酸などプロトン性の物質(激しく反応して H2 を発生) |
なぜ NaBH4 より還元力が強いのか
理由は2つあります。1つ目は中心原子の電気陰性度です。Pauling の値で H は 2.20、B は 2.04、Al は 1.61 です。B–H 結合では電気陰性度の差が小さく、水素はわずかに負に偏るだけです。Al–H 結合では差が大きく、水素がはっきり負電荷を帯びます。つまり AlH4− の水素は BH4− の水素より「ヒドリドらしく」、電子を求める炭素へ渡りやすいのです。
2つ目は対カチオン Li+ のルイス酸性です。Li+ は Na+ より小さく、電荷が集中しているため、カルボニル酸素の孤立電子対に強く配位します。酸素が引っ張られるとカルボニル炭素の正電荷が増し、反応性の低いエステルやアミドでもヒドリドを受け取れるようになります。エーテル溶媒は Li+ を水ほど強く溶媒和しないので、この配位の効果が消されずに残ります。
LiAlH4で還元できる官能基の一覧
LiAlH4 はカルボニル基をもつほぼすべての官能基を還元します。生成物は「C=O がいくつのヒドリドを受け取るか」と「四面体中間体から何が抜けるか」で決まります。
| 基質 | 生成物(後処理後) | 要点 |
|---|---|---|
| アルデヒド RCHO | 第一級アルコール RCH2OH | ヒドリド1個。NaBH4 でも可 |
| ケトン RCOR’ | 第二級アルコール RCH(OH)R’ | ヒドリド1個。NaBH4 でも可 |
| エステル RCOOR’ | RCH2OH + R’OH | ヒドリド2個。アルデヒドを経由するが単離できない |
| ラクトン(環状エステル) | ジオール | 環が開いて両端が OH になる |
| カルボン酸 RCOOH | 第一級アルコール RCH2OH | 最初に酸性 H と反応して H2 が出る。過剰量が必要 |
| 酸塩化物・酸無水物 | 第一級アルコール | エステルと同じく2段階の還元 |
| アミド RCONR’2 | アミン RCH2NR’2 | C=O が CH2 になり、C–N は残る(イミニウムイオン経由) |
| ラクタム(環状アミド) | 環状アミン | 環は開かない |
| ニトリル RC≡N | 第一級アミン RCH2NH2 | ヒドリド2個。炭素数は変わらない |
| イミン・オキシム・アジド | アミン | 窒素を残したまま還元 |
| エポキシド | アルコール | 置換基の少ない炭素をヒドリドが背面攻撃(SN2) |
| ハロゲン化アルキル・スルホン酸エステル | アルカン R–H | 第一級・第二級で SN2 型。第三級は進みにくい |
| 孤立した C=C・C≡C | 通常は反応しない | 極性の無い多重結合はヒドリドを受け取りにくい |
基本形:アルデヒド・ケトンの還元機構
すべての還元の出発点は、ヒドリドのカルボニル炭素への求核付加です。巻矢印で表すと次の2段階になります(巻矢印の読み方は巻矢印の書き方を参照)。
①で生じたアルコキシドは、まだ Al–H を3本もっています。これらも順に別のカルボニル基を還元できるので、理論上は LiAlH4 1分子でケトン4分子を還元できます。実際の実験では、反応を確実に終わらせるために過剰量を使います。
この付加は事実上不可逆です。逆反応はアルコキシドからヒドリドが抜ける過程ですが、H− は極めて悪い脱離基なので起こりません。カルボニルへの求核付加全体の中での位置づけはカルボニルへの求核付加反応で整理しています。
環状ケトンではどちらの面から攻撃するか
4-tert-ブチルシクロヘキサノンを LiAlH4 で還元すると、主生成物はOH がエクアトリアルのトランス体です。小さい AlH4− は、隣の C–H 結合とのねじれひずみが少ないアキシアル方向から攻撃するためです。一方、かさ高い L-Selectride(LiBH(sec-Bu)3)は 3,5 位のアキシアル水素との立体反発を避けてエクアトリアル方向から攻撃し、OH がアキシアルのシス体を主に与えます。「小さいヒドリドはアキシアル攻撃、大きいヒドリドはエクアトリアル攻撃」は院試の立体化学の定番です。
エステル → 第一級アルコールの機構
エステルの還元では、ヒドリドが2回移ります。途中で一度アルデヒドができるのがポイントです。
なぜ四面体中間体から抜けるのは R’O− なのか
四面体炭素には H・R・O−・OR’ の4つが付いています。C=O を作り直すとき、どれか1つが電子対をもって抜けなければなりません。H− と R−(カルボアニオン)は非常に不安定で脱離基になれません。残る候補はアルコキシド R’O− だけです。これは求核アシル置換反応と同じ論理で、エステルの還元の前半は「求核剤がヒドリドである求核アシル置換」と見ることができます。
なぜアルデヒドで止まらないのか
②で生じたアルデヒドは、出発物のエステルより求電子性が高いからです。エステルは OR’ の酸素の孤立電子対がカルボニル炭素へ共鳴で電子を供与するため、カルボニル炭素の正電荷が弱まっています。アルデヒドにはその供与がありません。そのため系中にエステルとアルデヒドが共存すれば、LiAlH4 は先にアルデヒドを還元します。LiAlH4 の量をエステルの還元1回分に絞っても、アルデヒドは溜まらず、アルコールと未反応のエステルの混合物になりやすいので、アルデヒドは取り出せません。
アルデヒドで止めたいときは、低温で四面体中間体を壊さずに保つ DIBAL 還元 を使うか、四面体中間体がキレートで安定化される Weinreb アミド を経由します。なお、エステルに Grignard 試薬を2当量加えると第三級アルコールになるのも、同じく「途中のケトンの方が反応しやすい」ためです(グリニャール試薬の解説)。
カルボン酸の還元が遅い理由
カルボン酸に LiAlH4 を加えると、まず酸性の O–H とヒドリドが酸塩基反応を起こして H2 が発生し、カルボン酸のアルミニウム塩ができます。この塩は負電荷を帯びているので、エステルよりもヒドリドを受け取りにくくなります。そのためカルボン酸の還元には過剰量の LiAlH4 と、THF 還流などのより強い条件が必要になります。最終的な生成物は、エステルの場合と同じく第一級アルコールです。カルボン酸だけを選んで還元したいときは BH3·THF も使われます。
アミド → アミンの機構
アミドは LiAlH4 でアミンになります。カルボン酸誘導体の中でアミドだけが C–N 結合を残す理由を、第三級アミド RCONR’2 で見てみます。
エステルとアミドで「抜けるもの」が逆になる理由
エステルでは酸素側(R’O−)が抜けてアルデヒドになりました。アミドでは逆に、カルボニル由来の酸素が抜けます。違いを生むのは2点です。
1つ目は脱離基としての能力です。R’2N−(アミドアニオン)はアルコキシドよりはるかに強い塩基で、脱離基として非常に悪いのです。2つ目は酸素とアルミニウムの結合です。アルミニウムは酸素と強く結合する(親酸素性が高い)ため、四面体中間体の酸素は O− ではなく O–Al という「良い脱離基」になっています。さらに窒素は酸素より電気陰性度が小さく、孤立電子対を押し出す力が強いので、C=N+ を作りながら O–Al を追い出せます。
生じたイミニウムイオンはカルボニルより求電子性が高く、すぐに2つ目のヒドリドを受け取ります。第一級・第二級アミド(N–H をもつもの)では、まず N–H がヒドリドと反応して H2 が出ますが、窒素が残る点は同じで、それぞれ第一級・第二級アミンが得られます。アミドの性質そのものはアミド官能基の解説にまとめています。
ニトリル → 第一級アミンの機構
ニトリルの C≡N も、炭素が正に偏った極性のある多重結合なので、ヒドリドを2回受け取ります。
LiAlH4 では1回目の付加で止まらず第一級アミンまで進みます。1回で止めて後処理で加水分解すればアルデヒドが得られ、それを担うのが DIBAL です。ニトリルの合成と他の反応はニトリル官能基の解説で扱っています。ハロゲン化アルキル RX をシアン化物でニトリルにしてから LiAlH4 で還元すると、炭素が1つ増えた第一級アミン RCH2NH2 になります(増えるのはシアノ化の段階で、還元の段階ではありません)。
エポキシドとハロゲン化アルキル:SN2 型の還元
カルボニル基をもたない基質でも、ヒドリドは求核剤として SN2 反応を起こします。エポキシドでは、ヒドリドが置換基の少ない(立体的に空いた)炭素を背面から攻撃し、環が開きます。その結果、OH は置換基の多い側の炭素に残ります。たとえば 1,2-エポキシプロパン(プロピレンオキシド)からは 2-プロパノールが得られます。攻撃された炭素では立体が反転します。
これは塩基性条件でのエポキシド開環と同じ選択性です。酸性条件では位置選択性が変わるので、両者の違いはエポキシドの開環反応で確認してください。
ハロゲン化アルキルやトシラートも、第一級・第二級なら SN2 型で還元されて C–H になります。第三級では背面攻撃ができないので SN2 は進みにくくなります。基質の級数と SN2 の速さの関係はSN1・SN2 反応の解説と同じです。
溶媒:なぜエーテルか、なぜ水がだめか
LiAlH4 は無水のジエチルエーテルか THF 中で使います。強いヒドリド供与体である AlH4− は、水の H+ と速やかに酸塩基反応を起こすからです。
この反応は激しい発熱を伴い、可燃性の H2 を出します。アルコールや酸も同じように反応するので、プロトン性溶媒はすべて使えません。ガラス器具は乾燥させ、窒素やアルゴンの雰囲気下で操作します。
エーテル系の溶媒が選ばれるのは、①プロトンをもたない、②酸素の孤立電子対が Li+ を溶媒和して試薬を溶かす(あるいは分散させる)、③ヒドリドに対して安定、の3つを満たすからです。THF は Et2O より沸点が高く、加熱還流が必要なカルボン酸・アミドの還元に向きます。
NaBH4 の溶媒・後処理・還元できる範囲はNaBH4(水素化ホウ素ナトリウム)の解説で詳しく扱っています。
後処理:Fieser 法の手順と理由
反応後の混合物には、過剰の LiAlH4 と、生成物が O–Al や N–Al として結合したアルミニウム塩が残っています。ここに水を一気に加えると、激しく発熱するうえ、水酸化アルミニウムがゲル状に固まり、生成物を抱き込んでろ過も分液もできなくなります。これを避ける定番がFieser 法です。
| 順 | 加えるもの(使った LiAlH4 が n g のとき) | 役割 |
|---|---|---|
| 1 | 水 n mL(0 °C でゆっくり滴下) | 残ったヒドリドを壊す(H2 が出る) |
| 2 | 15% NaOH 水溶液 n mL | アルミニウムをアルミン酸塩に変え、ゲルではなく粒状の固体にする |
| 3 | 水 3n mL | 固体を白い粒状に仕上げる。撹拌後、ろ過で除く |
「n・n・3n」と覚えます。この比率は Fieser & Fieser の Reagents for Organic Synthesis 第1巻に載った手順として広く引用されています。うまくいくと、白いさらさらした沈殿が生じ、生成物はエーテル層に残ります。沈殿をろ過し、ろ液を乾燥・濃縮すれば粗生成物が得られます。
ほかに、ロッシェル塩(酒石酸カリウムナトリウム)水溶液でアルミニウムをキレートして水層へ移す方法や、硫酸ナトリウム十水和物を少しずつ加えて結晶水でゆっくり分解する方法も使われます。ロッシェル塩がゲルを防ぐ仕組みはロッシェル塩の解説を参照してください。
NaBH4・DIBAL との使い分け
3つのヒドリド還元剤の違いは、「どこまで還元するか」と「どの溶媒で使えるか」に集約されます。
| 基質・項目 | LiAlH4 | NaBH4 | DIBAL |
|---|---|---|---|
| アルデヒド・ケトン | アルコール | アルコール | アルコール |
| エステル | 第一級アルコール | 通常の条件ではほぼ反応しない | 低温・1当量でアルデヒド |
| カルボン酸 | 第一級アルコール | 還元しない(塩になる) | 反応しにくい |
| アミド | アミン | 反応しない | 条件によりアルデヒドまたはアミン |
| ニトリル | 第一級アミン | 反応しない | 加水分解後アルデヒド |
| 溶媒 | 無水 Et2O・THF | MeOH・EtOH(水も可) | 無水トルエン・THF・ジクロロメタン |
| ヒドリドの性質 | アニオン性([AlH4]−)・強い | アニオン性([BH4]−)・穏やか | 中性・ルイス酸性(Al が先に酸素へ配位) |
選択的還元の考え方
ケトンとエステルが同じ分子にあるとき、ケトンだけを還元するなら NaBH4 を使います。逆にエステルだけを還元したいときは、LiAlH4 ではケトンも還元されてしまうので、先にケトンをアセタールで保護し、LiAlH4 でエステルを還元してから酸で脱保護します。「強い還元剤は選べない、選びたければ弱い試薬か保護基」という発想は保護基の選び方とつながります。
α,β-不飽和ケトンでは LiAlH4 は主にカルボニルへの1,2-付加を起こしますが、基質や条件によっては C=C まで還元されることがあります。アリルアルコールを確実に得たいなら Luche 還元 が選ばれます。試薬全体の選び方は有機化学の試薬を選ぶ基準で一覧できます。
安全上の注意
LiAlH4 は実験室で特に注意が必要な試薬の1つです。危険の源はすべて「水と反応して H2 と熱を出す」性質にあります。
実際の使用量・保管方法・廃棄の手順は、所属研究室の安全規程と試薬の安全データシート(SDS)に従ってください。溶液として市販されている製品は、固体より秤量時の危険が小さいため、小スケールの実験でよく使われます。
試験での問われ方
パターン①:生成物を答える
問:次の化合物を LiAlH4(THF)で処理し、H2O で後処理した。主生成物を答えよ。 (a) 安息香酸メチル PhCOOCH3 (b) N,N-ジメチルアセトアミド CH3CON(CH3)2 (c) ベンゾニトリル PhCN (d) γ-ブチロラクトン → (a) ベンジルアルコール PhCH2OH + メタノール (b) N,N-ジメチルエチルアミン CH3CH2N(CH3)2 (c) ベンジルアミン PhCH2NH2 (d) 1,4-ブタンジオール HO(CH2)4OH
パターン②:試薬を選ぶ
問:4-オキソペンタン酸エチル CH3CO(CH2)2COOEt について、 (a) ケトンだけをアルコールにする (b) エステルだけをアルコールにする それぞれの方法を答えよ。 → (a) NaBH4(EtOH)。NaBH4 はエステルをほとんど還元しない (b) エチレングリコール/酸触媒でケトンをアセタール保護 → LiAlH4 → 希酸で脱保護
パターン③:機構を書かせる
「酢酸エチルを LiAlH4 で還元したときの機構を巻矢印で示せ」という問題では、①ヒドリド付加、②四面体中間体から EtO− が抜けてアセトアルデヒド、③2回目のヒドリド付加、④後処理でエタノール、の4段階を書きます。採点で見られるのは、アルデヒド中間体を明示しているかと、「なぜアルデヒドで止まらないか」を求電子性の差で説明できるかの2点です。アミドでは②を「イミニウムイオンの生成」に置き換えます。
まとめ
よくある質問
最大の違いは還元力です。LiAlH4 はアルデヒド・ケトンに加えてエステル・カルボン酸・アミド・ニトリルまで還元しますが、NaBH4 は通常の条件ではアルデヒド・ケトン(と酸塩化物・イミン)を還元し、エステル・カルボン酸・アミド・ニトリルは残します。理由は、Al の電気陰性度が B より小さく Al–H の水素が強く負に偏っていることと、Li+ がカルボニル酸素に配位して炭素を活性化することです。その代わり LiAlH4 は水やアルコールと激しく反応するので無水エーテル中でしか使えず、NaBH4 はメタノールやエタノール中で使えます。
エステルの還元の途中で生じるアルデヒドの方が、出発物のエステルより求電子性が高いからです。エステルはアルコキシ基の酸素が共鳴でカルボニル炭素に電子を供与しているため反応性が低く、アルデヒドにはその供与がありません。系中にアルデヒドができると、残っているエステルより先に還元されて第一級アルコールになります。アルデヒドで止めたい場合は、低温で四面体中間体を保つ DIBAL を使います。
四面体中間体から抜けるのが窒素ではなく酸素だからです。アミドアニオン R2N− は非常に悪い脱離基である一方、カルボニル由来の酸素はアルミニウムと結合して O–Al という良い脱離基になっています。窒素の孤立電子対が C=N+ を作りながら O–Al を押し出すとイミニウムイオンが生じ、これが2つ目のヒドリドで還元されてアミンになります。
LiAlH4 のヒドリドは強い塩基でもあり、水やアルコールの O–H のプロトンと速やかに反応して水素ガスを発生させるからです。この反応は激しく発熱し、試薬も消費されてしまいます。そのため LiAlH4 は、プロトンをもたず Li+ を溶媒和できる無水のジエチルエーテルや THF の中で、窒素やアルゴンの雰囲気下で使います。
使用した LiAlH4 が n g のとき、0 °C で水 n mL、15% 水酸化ナトリウム水溶液 n mL、水 3n mL を順にゆっくり加える後処理法です。アルミニウム塩がゲルではなくろ過しやすい白い粒状の固体になるので、生成物を有機層から回収しやすくなります。Fieser & Fieser の Reagents for Organic Synthesis に載った手順として広く使われています。
参考文献
- A. E. Finholt, A. C. Bond, H. I. Schlesinger, J. Am. Chem. Soc. 1947, 69, 1199.
- R. F. Nystrom, W. G. Brown, J. Am. Chem. Soc. 1947, 69, 1197–1199; 1947, 69, 2548–2549.
- L. F. Fieser, M. Fieser, Reagents for Organic Synthesis, Vol. 1, Wiley, 1967(Lithium aluminum hydride の項).
- J. Clayden, N. Greeves, S. Warren, Organic Chemistry, 2nd ed., Oxford University Press, 2012.
