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リーベルマン-ブルヒャード反応は、コレステロールの検出に用いられる反応です。

リーベルマンーバーチャード反応やリーベルマンーブルハルト反応と呼ばれることもあります。

先に結論——脱水で二重結合をつないで色を出す

コレステロールは無色です。それが緑色に見えるようになるのは、硫酸と無水酢酸がステロイド骨格から水を抜き、二重結合を次々につないでいくからです。

段階 何が起こるか
① 3位のOHが外れる 濃硫酸がOHをプロトン化し、水として脱離する→カルボカチオン
② 二重結合ができる 隣から水素が抜けてアルケンになる
③ ①②が繰り返される 共役した二重結合が環をまたいで伸びていく(コレスタポリエン)
④ 再びプロトンが付く 伸びた共役系に硫酸がプロトンを与え、長く非局在化したカルボカチオンになる
⑤ 色が見える 共役が長いほど吸収が長波長側へずれ、可視光を吸う
色の正体はカルボカチオンです。ポリエンそのものではなく、そこにプロトンが付いてできた長い共役カチオンが可視光を吸収しています。共役が長くなるほど、電子を励起するのに必要なエネルギーが小さくなる——だから反応が進むにつれて色が変わっていくのです。紫がかったピンク→薄い緑→濃い緑という変化は、共役系が伸びていく過程そのものを見ていることになります。

似た反応との比較——共役の長さが色を決める

同じくコレステロールを呈色させるZak反応と並べると、「共役の長さが色を決める」ことがはっきりします。どちらも酸化の仕組みは似ていて、できるカチオンの共役の長さだけが違います。

Zak反応 リーベルマン–ブルヒャード反応
生じるカチオン コレスタテトラエニルカチオン コレスタペンタエニルカチオン
二重結合の数 少ない 多い
吸収する波長 λmax 563 nm λmax 620 nm付近
見える色 赤 青緑

共役が1つ分長いだけで、赤から青緑へ変わる。吸収波長が長いほうへずれると、補色として見える色も変わるためです。呈色反応を「暗記するもの」ではなく共役系の長さを見ている測定だと捉えると、結果の読み方が変わってきます。

概要

コレステロールをはじめとするステロールの検出に使われる古典的な呈色反応です。無水酢酸法とも呼ばれます。試料に無水酢酸と濃硫酸を作用させ、数分後に緑または青緑の色が出れば陽性と判定します。

反応するのは3位にヒドロキシ基をもち、環に二重結合があるステロイド骨格です。コレステロールに限らず、植物ステロールやトリテルペンも同じように呈色します——つまりこの反応は「コレステロール専用」ではなく、骨格の種類を見る試験だと理解してください。

ステロールの基本骨格ステロールの基本骨格

歴史

ドイツのカール・テオドール・リーベルマンがこの呈色を報告し、のちにハンス・ブルヒャードが詳しく調べました。反応名に2人の名前が並んでいるのはこのためです。日本語表記はリーベルマン−バーチャード反応、リーベルマン−ブルハルト反応など揺れがあります。

反応機構

色は紫がかったピンク→薄い緑→濃い緑と時間をかけて変化していきます。これは3位のヒドロキシ基が脱水されたあと、縮合環の中で共役二重結合が少しずつ増えていく過程を見ているからです。

それぞれの試薬の役割を分けると、次のようになります。

試薬 役割
濃硫酸 脱水と、できた共役系へのプロトン付加。色のもとになるカルボカチオンをつくる主役
無水酢酸 系内の水を取り除く。あわせてヒドロキシ基をアセチル化し、脱離しやすくする
クロロホルム ステロールを溶かす(水を含まない溶媒であることが重要)
水が混ざると反応しません。この反応は「水を抜く」ことで進むので、器具が濡れていたり、試料が吸湿していたりすると色が出ないか、薄くしか出ません。乾いた試験管を使い、乾燥したクロロホルムに溶かすという手順は、作法ではなく反応の条件そのものです。呈色しなかったときは、まず水の混入を疑ってください。

実験手順

乾いた試験管にコレステロールの結晶1~2個を乾燥クロロホルムに溶かす。無水酢酸を数滴、濃H2SO4を2滴加えてよく混ぜる。反応終了後、分光光度計でコレステロールの濃度を測定することができます。

この試験では、試薬として無水酢酸と硫酸を使用するため、重度の火傷を受けないように注意が必要です。

応用例

生薬の確認試験で用いられることがあります。

よくある質問

なぜコレステロールが緑色になるのですか?

濃硫酸と無水酢酸がステロイド骨格から水を抜き、共役二重結合を次々につないでいくためです。3位のヒドロキシ基が外れてカルボカチオンができ、二重結合の生成が繰り返されて共役系が伸びます。そこへプロトンが付いてできた長く非局在化したカルボカチオンが可視光を吸収します。共役が長いほど吸収が長波長側へずれるので、反応が進むにつれて色が変わっていきます。

色が出ないときは何を疑えばよいですか?

まず水の混入です。この反応は水を抜くことで進むので、試験管が濡れていたり試料や溶媒が吸湿していたりすると、色が出ないか薄くしか出ません。乾いた試験管を使い、乾燥したクロロホルムに溶かすという手順は作法ではなく反応の条件そのものです。無水酢酸を加えるのも、系内の水を取り除く意味があります。

Zak反応とは何が違うのですか?

できるカチオンの共役の長さだけが違います。Zak反応ではコレスタテトラエニルカチオンができてλmax 563 nmの赤色を示し、リーベルマン–ブルヒャード反応ではコレスタペンタエニルカチオンができてλmax 620 nm付近の青緑色を示します。二重結合1つ分の違いで赤から青緑に変わる——呈色反応が共役系の長さを見ている測定だと分かる例です。

コレステロール以外も呈色しますか?

します。この反応が見ているのは「3位にヒドロキシ基をもち、環に二重結合があるステロイド骨格」なので、植物ステロールやトリテルペンも同じように呈色します。コレステロール専用の試験ではなく骨格の種類を見る試験です。生薬の確認試験に使われるのも、この性質を利用しています。

反応名に2人の名前が並んでいるのはなぜですか?

ドイツのカール・テオドール・リーベルマンがこの呈色を報告し、のちにハンス・ブルヒャードが詳しく調べたためです。日本語表記はリーベルマン−バーチャード反応、リーベルマン−ブルハルト反応などと揺れがありますが、同じ反応を指します。

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