薬には、化学名、開発コード番号、一般名、販売名というたくさんの名前がある。
それぞれの名前は必ず意味を持っている。
今回は、面白い名前を持つ10の薬を紹介する。
1. シアノコバラミン
シアノコバラミンは、目薬に入っている薬である。
ビタミンB12のひとつで、コバルトにシアノ基が付いている。
コバルトはドイツ語のコーボルトが起源であり、コーボルトは英語でゴブリンと訳される。
ハリーポッターなどで有名なゴブリンが名前に入っている。
2. カンデサルタン
武田薬品は世界で初めてARBと言えるリード化合物群を発見した。
しかし、自社開発のARBを上市できたのは世界で4番目であった。
そこで、後にCV-11974という化合物を見出したときに、candidate(候補)+ sartan(ARBの接尾辞)を短縮したカンデサルタンという名が与えられた。
3. エドキサバン
エドキサバンは、第一三共が開発した低分子の経口凝子薬である。
この名は第一三共葛西研究開発センターの所在地が東京都江戸川区にあることに由来している。
4. ブレクスピプラゾール
ブレクスピプラゾールは、大塚製薬がアリピプラゾールの後継品として開発した統合失調症治療薬である。
突破口となる薬になることを期待し、breakthrough + aripiprazoleから名付けられた。
5. ネオスチグミン
1923年、フィゾスチグミンがコリンエステラーゼ阻害作用を有することが解明された。
しかし、フィゾスチグミンには強い毒性があった。
そこで、ホフマン・ラ・ロシュ社は1931年に代替薬としてネオスチグミンを開発した。
ネオはギリシャ語で新しいという意味である。
6. ワルファリン
ワルファリンは、血栓症の予防に用いられる抗凝固薬である。
その名は開発に携わり特許を有している研究財団Wisconsin Alumini Research Foundationの頭文字をとったWARFにクマリン誘導体を意味する-arinを足すことで決まった。
7. エパルレスタット
小野薬品工業が開発したアルドース還元酵素阻害薬であるエパルレスタットは、糖尿病性神経障害(diabetic neuropathy)に由来して名付けられた。
8. テトラコサクチド
テトラコサクチドは、24を意味する数詞tetracosaが入っている。
これは薬品名として最も大きい数詞の入った薬である。
9. エムトリシタビン
HIV-1感染症治療薬であるエムトリシタビンは、Emory大学で開発されたことから命名された。
10. ラパマイシン
ラパマイシンは、イースター島の土壌サンプルに含まれていた放線菌から単離された。
イースター島の現地名がRapa Nuiであることから名付けられた。