コバルトに関する情報をまとめました。
コバルトの基本情報
和名 | コバルト |
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英名 | Cobalt |
語源 | ドイツ民話中の山の精コボルト (Kobold) |
元素記号 | Co |
原子番号 | 27 |
原子量 | 58.93 |
常温(25℃)での状態 | 固体(金属) |
色 | 灰白色 |
臭い | ー |
密度 | 8.860 g/cm3(20℃) |
融点 | 1495℃ |
沸点 | 2927℃ |
発見者 | ブラント(スウェーデン)[1735年] |
含有鉱物 | 輝コバルト鉱 |
コバルトの主な特徴
- 遷移金属元素で、周期表第9族に属す
- 硬くて銀白色の金属光沢を持ち、強磁性体として知られる重要な元素の一つ(常温で磁性を示すのはFe, Co, Niのみ)
- 酸化数は +2, +3 が主で、豊富な錯体化学的性質を示す
- エネルギー材料から触媒、生体内ビタミンまで、産業と生命の両面で不可欠な元素
コバルトの歴史
発見
古代からコバルトは、青色の顔料(コバルトガラス)として知られていましたが、金属元素としては1735年、スウェーデンの化学者ゲオルク・ブラントによって単離されました。これが金属元素として初めて発見された元素とされています。
名前の由来
「コバルト(Cobalt)」の名は、ドイツ語の“Kobold”(山の妖精)に由来します。
鉱石を溶解すると有害なヒ素ガスが発生したことから、かつて鉱夫たちはこの鉱石を「悪霊の仕業」と考えていました。
コバルトの主な用途
コバルトはその磁性・安定性・化学的特性を活かして、多様な分野で活躍しています:
- リチウムイオン電池: コバルト酸リチウム(LiCoO₂)は正極材料として広く使用
- 高耐熱合金(スーパーアロイ): 航空エンジンや原子炉部品など高温環境で活躍
- 磁石材料: サマリウム・コバルト磁石(SmCo)は高性能永久磁石
- 顔料: コバルトブルー(CoAl₂O₄)は鮮やかな青色を呈する陶磁器・絵画用顔料
- 医療: 放射性同位体 Co-60 は癌治療や食品照射に用いられる
コバルトの生成方法
コバルトは主にニッケル・銅鉱石の副産物として得られます。主な工程は以下の通りです:
- 湿式法: 鉱石を硫酸等で浸出し、抽出・電解によって金属Coを精製
- 乾式法: 鉱石を高温で焼成・還元し、銅やニッケルと分離
- コバルト塩: 酢酸コバルトや硫酸コバルトとして工業原料化
コバルトを含む化合物
コバルトは錯体化合物が豊富であり、さまざまな色・磁性・反応性を持ちます:
- CoCl₂(塩化コバルト(II)): 吸湿性あり。青色 → 赤色に変化する特性で湿度指示薬に使用
- Co(NO₃)₂、CoSO₄: 電池・顔料・栄養添加物などに利用されるコバルト塩
- ビタミンB₁₂(コバラミン): コバルトを中心金属とする生体内必須栄養素
- コバルト錯体: 芳香族化合物の水素化や酸化反応などに触媒として使用
- 酸化コバルト(III): 黒色粉末で、セラミックや触媒に使用
コバルトに関わる研究事例
コバルトは電池、磁性材料、生体内反応、錯体化学など幅広い分野で研究されています:
- 次世代電池開発: コバルトフリー電極への置換・高容量Co錯体の研究
- コバルト錯体触媒: 水素発生反応や酸素還元反応への応用
- 医薬化学: ビタミンB₁₂関連の酵素反応とコバルトの役割解析
- 環境分析: コバルト汚染のモニタリングと吸着材による除去法の開発
- 強磁性材料設計: Co基合金の結晶構造制御と磁気特性の最適化
参考図書

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