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【元素図鑑】ニッケル Ni【原子番号28】

ニッケルに関する情報をまとめました。

元素図鑑

ニッケルの基本情報

和名 ニッケル
英名 Nickel
語源 ドイツ語「悪魔の銅(Kupfernickel)」
元素記号 Ni
原子番号 28
原子量 58.69
常温(25℃)での状態 固体(金属)
灰白色
臭い
密度 8.902 g/cm3(25℃)
融点 1455℃
沸点 2913℃
発見者 クローンステット(スウェーデン)[1751年]
含有鉱物 紅砒ニッケル鉱

ニッケルの主な特徴

  • 遷移金属元素で、周期表第10族に属す
  • 銀白色で光沢があり、空気中では比較的安定な金属であり、耐食性と延性に優れている
  • 常磁性を示し、合金材料・電池・触媒・錯体化学において不可欠な金属
  • 微量ながら生体必須元素としても知られている

リチウムの歴史

発見

ニッケルは1751年、スウェーデンの鉱山技師・化学者アクセル・フレドリク・クローナステットによって、鉱石ニッケル鉱(ニコリット)から発見・単離されました。

当初は銅を含む鉱石と誤認されていたため、銅の代用品としての研究が進められました。

名前の由来

「ニッケル(Nickel)」の語源は、ドイツ語の“kupfernickel(悪魔の銅)”に由来します。

この名は「銅を含むと思っていた鉱石から銅が取れなかった」ことへの皮肉に基づいています。

ニッケルの主な用途

ニッケルはその物理的・化学的性質を活かし、さまざまな分野で利用されています:

  • 合金材料: ステンレス鋼(Fe-Cr-Ni)、ニクロム線(Ni-Cr)などの耐食・耐熱合金
  • 電池: ニッケル水素電池(NiMH)、ニッケルカドミウム電池(NiCd)の正極材
  • めっき: 電気ニッケルめっきや無電解めっきによる装飾・耐食保護
  • 触媒: 水素化反応(ラネーニッケル)や自動車排ガス浄化触媒
  • 化学工業: アクリロニトリルや脂肪酸の合成などに利用

ニッケルの生成方法

ニッケルは主に硫化鉱(ペントランド鉱)や酸化鉱から以下の工程で抽出されます:

  • 乾式製錬: 焼成 → 還元 → 精錬の工程で金属ニッケルを得る
  • 湿式製錬: 鉱石を酸・アンモニアなどで溶解し、選択的にニッケルを抽出・電解精製
  • カーボニル法: ニッケルと一酸化炭素の反応で揮発性Ni(CO)₄を形成し、熱分解により純粋なNiを得る

ニッケルを含む化合物

ニッケルは主に+2の酸化数で安定した化合物を形成し、多くは緑色〜青色の色を示します:

  • NiCl₂(塩化ニッケル(II)): 緑色結晶。錯体合成や電気めっきに使用
  • NiSO₄(硫酸ニッケル): 青緑色塩。ニッケルめっきや乾電池の電解液
  • ニッケル錯体: 八面体型錯体が多く、磁性・光学特性に優れる(例:Ni(en)₃²⁺)
  • ラネーニッケル: 水素化反応に使われる粉末状触媒。表面積が大きく高活性
  • Ni(CO)₄(ニッケルカルボニル): 揮発性で高毒性。精製工程に利用されるが注意が必要

ニッケルに関わる研究事例

ニッケルは材料科学・触媒化学・環境科学・生体無機化学などの分野で活発に研究されています:

  • リチウムイオン電池の高容量化: Ni-rich正極材料(NCA、NCM)の研究が進行中
  • ニッケル錯体触媒: クロスカップリング、炭素-ヘテロ原子結合形成への応用
  • ラネーニッケルの改良: 反応選択性・耐久性向上に向けた表面修飾研究
  • 生体内のニッケル酵素: ニッケラーゼ(ureaseなど)の活性機構やモデル錯体の設計
  • ニッケル汚染除去: 水質中のNi²⁺イオンを吸着・沈殿・キレートで除去する研究

参考図書

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