窒素に関する情報をまとめました。
窒素の基本情報
和名 | 窒素 |
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英名 | Nitrogen |
語源 | ギリシャ語 「硝石(nitrum)+源(gennao)」 |
元素記号 | N |
原子量 | 14.01 |
常温(25℃)での状態 | 気体 |
色 | 無色 |
臭い | 無臭 |
密度 | 1.2506 g/L (気体, -0.15℃) |
融点 | -209.86℃ |
沸点 | -195.8℃ |
発見者 | ラザフォード(スコットランド, 1772年), ラボアジェ(フランス, 1789年) |
含有鉱物 | 硝石 |
窒素の主な特徴
- 自然界では主に二原子分子N2として存在する
- 無色・無臭・無味の気体で、大気中の約78%を占める最も豊富な元素
- 窒素分子N2は三重結合を持ち、非常に安定で反応しにくい一方で、アンモニア(NH3)や硝酸(HNO3)などの化合物では高い反応性を示す
- 生体内ではアミノ酸や核酸の構成要素として不可欠な元素
窒素の歴史
発見
窒素は1772年、スコットランドの化学者ダニエル・ラザフォードによって発見されました。彼は空気中の「燃焼を支えない成分」として窒素を分離しましたが、当初は「有毒な空気」や「窒息性の空気」と呼ばれていました。
名前の由来
「窒素」という名前は、「窒息させる性質」に由来しています。一方、英語名「Nitrogen」は、ギリシャ語の「nitron(硝石)」と「genes(生じる)」を組み合わせたもので、「硝石を生じるもの」という意味です。
窒素の主な用途
窒素はその安定性と不活性さを活かして、以下のような用途に広く使われています:
- 食品保存: 酸化防止や防腐目的で包装内を窒素ガスで充填
- 工業用保護ガス: 酸化防止のため、金属加工や電子部品製造に使用
- 液体窒素: 低温冷却材(約−196℃)として医学・研究・食品冷凍などで活用
- 化学原料: アンモニア(肥料・爆薬・合成樹脂)、硝酸(肥料・染料)などの前駆体
- 医療用途: クライオセラピー(イボ除去など)に液体窒素が使用される
窒素の生成方法
窒素は以下の方法で生成・精製されます:
- 空気の分留: 液化空気を蒸留して酸素・窒素を分離。工業的に最も一般的
- 化学反応による発生: 亜硝酸アンモニウムやアンモニア塩の熱分解(実験室レベル)
- 電気分解(研究用途): 酸化還元反応による窒素の固定と回収
窒素を含む化合物
窒素は多彩な酸化数(−3 ~ +5)を取り、以下のような重要な化合物を形成します:
- アンモニア(NH3): 窒素の最も基本的な化合物。肥料や工業原料
- 硝酸(HNO3): 強酸で酸化性を持ち、肥料・爆薬の原料
- 一酸化二窒素(N2O): 通称「笑気ガス」。麻酔用途や温室効果ガスとして知られる
- 一酸化窒素(NO): 血管拡張など生理作用を持つシグナル分子
- 窒化ホウ素(BN)、窒化ケイ素(Si3N4): 工業用セラミック
窒素に関わる研究事例
窒素は環境科学、生化学、材料科学の分野で注目される研究対象です。主な事例を以下に示します:
- 窒素固定反応: ハーバー・ボッシュ法に代わる低エネルギー固定法(電解法、酵素触媒)の開発
- 窒素循環のモニタリング: 環境中の窒素汚染(硝酸塩、アンモニア)の動態追跡と浄化技術
- バイオロジカルNO研究: NOの神経伝達物質としての役割やがん細胞抑制作用の解明
- 液体窒素冷却技術: 超伝導体・量子コンピュータ冷却における応用展開
- エネルギー変換触媒: 窒素還元を用いたグリーンアンモニア合成の触媒設計研究
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