SCIENCE

【元素図鑑】銅 Cu【原子番号29】

に関する情報をまとめました。

元素図鑑

銅の基本情報

和名
英名 Copper
語源 地中海キプロス島 (Cyprus)
元素記号 Cu
原子番号 29
原子量 63.55
常温(25℃)での状態 固体(金属)
赤色
臭い
密度 8.960 g/cm3(20℃)
融点 1084.5℃
沸点 2562℃
発見者 古来
含有鉱物 自然銅, 黄銅鉱

銅の主な特徴

  • 遷移金属元素で、周期表第11族に属す
  • 赤褐色の金属光沢をもち、高い電気伝導性・熱伝導性で知られている(銀に次ぐ2位)
  • 延性・展性にも優れ、加工性が高いことから、古くから金属器や電線、合金の材料として広く使われてきた
  • 酸化数は +1(Cu⁺)と +2(Cu²⁺)があり、色彩豊かな化合物を形成する

銅の歴史

発見

銅は人類が最も早く利用した金属のひとつで、紀元前9000年頃には中東で加工されていました。

紀元前4000年には銅とスズを混ぜた青銅(ブロンズ)が誕生し、「青銅器時代」が始まりました。

名前の由来

元素記号「Cu」は、ラテン語の “cuprum” に由来し、これは「キプロス島の金属」を意味します。

古代においてキプロス島は重要な銅の産地であり、その名が定着しました。

銅の主な用途

銅は導電性と加工性を活かして、多くの分野で利用されています:

  • 電気・電子材料: 電線・ケーブル・基板配線・モーターコイル
  • 建材・配管: 耐腐食性と加工性を生かした給排水管、屋根材
  • 合金: 青銅(Cu-Sn)、黄銅(Cu-Zn)、洋白(Cu-Ni-Zn)など
  • 触媒: メタノール合成、CO酸化、水素化などの反応触媒
  • 硬貨: 各国の通貨の材料として広く使用(日本の10円玉も銅合金)

銅の生成方法

銅は主に硫化鉱(黄銅鉱CuFeS₂)酸化鉱から以下の工程で製錬されます:

  • 乾式製錬: 鉱石を焼成して硫黄を除き、転炉で銅を濃縮(粗銅)
  • 電解精錬: 粗銅を電気分解し、99.99%以上の高純度電解銅を得る
  • 湿式製錬: 酸性浸出液から銅イオンを溶出し、電解採取

銅を含む化合物

銅は豊富な化合物を形成し、特有の色彩を示します:

  • CuSO₄·5H₂O(硫酸銅(II)五水和物): 鮮やかな青色結晶。試薬・農薬・めっき液に使用
  • CuCl(塩化銅(I)): 白色結晶。光や酸素で変色
  • CuO(酸化銅(II)): 黒色粉末。セラミックや触媒に利用
  • Cu₂O(酸化銅(I)): 赤色固体。半導体材料にも応用
  • 銅錯体: アンモニア・エチレンジアミンとの錯形成により多彩な構造と色を持つ

銅に関する研究事例

銅は無機化学、エネルギー材料、生体無機化学など多岐にわたる研究対象です:

  • 酸素還元反応触媒: 燃料電池やCO₂還元電極への応用
  • 半導体材料: Cu₂OやCuSCNなどの新規光電変換材料
  • 生体内酵素: シトクロムcオキシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼなどの活性中心
  • 銅触媒の有機反応: Ullmann反応、Azide-Alkyne Cycloaddition(CuAAC)など
  • 抗菌性銅材料: 銅ナノ粒子の抗菌作用を利用した医療用コーティング

筆者の薦める1冊

第1位 元素検定2

元素に関する問題がレベル別に多く掲載されており、一般的な知識からニッチな知識まで幅広く学べます。また、最後には全元素のデータが載っており、わからないことがあればすぐに調べることができます。

これを読めば、元素マスターに一歩も二歩も近づけます!

 

第2位 世界で一番美しい元素図鑑

この本の一番の魅力は、とても美しい画像とともに学べるということです。

「こんなに美しい元素があったんだ、、!」という新しい発見がたくさんあると思います。

理系に限らず、文系にもおすすめの一冊です。