【元素図鑑】プロメチウム Pm【安定同位体をもたない唯一の希土類元素】
※本記事にはプロモーション(アフィリエイト広告)が含まれています。
プロメチウムの情報をまとめました。
希土類は「少ない」のではなく「分けにくい」
レアアース(希土類)という名前から、地球上にほとんど存在しない元素だと思われがちです。しかし実際には、ありふれた金属より多く存在するものもあります。困るのは量ではなく、仲間同士を分離するのが極端に難しいことです。
理由は電子の入り方にあります。希土類では、増えていく電子がいちばん外側ではなく内側の4f軌道に入ります。化学結合を担うのは外側の電子なので、原子番号が1つ違っても、化学的なふるまいがほとんど変わらないのです。
| ふつうの元素 | 希土類 |
|---|---|
| 原子番号が変わると外側の電子数が変わる | 増えた電子は内側の4f軌道に入る |
| 隣の元素と性質がはっきり違う | 隣の元素とほとんど見分けがつかない |
| 沈殿や溶解度の差で簡単に分けられる | イオン半径のわずかな差を何百回も積み上げて分ける |
| どれが何かすぐ分かる | ほとんど全部が +3 のイオンになる |
安定同位体をもたない、ただひとつの希土類
プロメチウムの特異さは、ここに集約されます——安定な同位体が1つも存在しない。知られている同位体はすべて放射性で、時間とともに別の元素へ変わっていきます。
その結果として、2つのことが起こります。
| 起こること | 理由 |
|---|---|
| 自然界にほとんど存在しない | 地球ができてから現在までの時間で、元からあったぶんはすべて崩壊し尽くしている。ウラン鉱石の中に、核分裂でできた極微量が見つかるだけ |
| 周期表に「穴」が空いていた | 隣の元素があるのに見つからない——長く探索の対象となり、発見は原子炉の核分裂生成物の中から行われた |
基本情報
| 和名 | プロメチウム |
|---|---|
| 英名 | Promethium |
| 語源 | 古代ギリシャ神話の火の神プロメテウス (Prometeus) |
| 元素記号 | Pm |
| 原子番号 | 61 |
| 原子量 | (145) |
| 常温(25℃)での状態 | 固体(金属) |
| 色 | 銀白色 |
| 密度 | 7.220 g/cm3(20℃) |
| 融点 | 1168℃ |
| 沸点 | 2727℃ |
| 発見者 | マリンスキー, グレンデニン, コライエル(アメリカ)[1947年] |
| 含有鉱物 | ー |
名前の由来
ギリシャ神話で人類に火を授けた神プロメテウスに因んで命名されました。
主な用途
夜光塗料——「蓄光」とは別の仕組み
プロメチウムは時計の文字盤などを光らせる塗料に使われてきました。ここで注意したいのは、現在の蓄光塗料とは原理がまったく違うことです。
| 蓄光塗料(いまの非常口表示など) | プロメチウムの夜光塗料 | |
|---|---|---|
| 光る仕組み | あらかじめ光を吸収して蓄え、暗所で徐々に放出する | β線が蛍光体を叩いて光らせる(ラジオルミネセンス) |
| 暗い場所に長く置くと | だんだん暗くなり、やがて消える | 光り続ける(エネルギー源が内蔵されている) |
| 必要なもの | 明るい場所に置いて「充電」すること | 何もいらない |
| 放射性か | 放射性ではない | 放射性 |
つまりプロメチウムの塗料は「光を貯めて返している」のではなく、自分の崩壊エネルギーで蛍光体を励起し続けているのです。暗い引き出しに1年入れておいても光ります。
そのほかの用途
| 用途 | プロメチウムの働き |
|---|---|
| 厚み計 | β線を当てて透過量を測り、紙や金属箔の厚さを触れずに連続して測定する |
| 原子力電池 | 崩壊で出るエネルギーを電気に変える。交換できない場所(衛星など)で使われた |
よくある質問
安定な同位体が1つも存在しないからです。知られている同位体はすべて放射性で、地球ができてから現在までの時間で元からあったぶんはすべて崩壊し尽くしています。現在見つかるのは、ウラン鉱石の中で核分裂によってできた極微量だけです。発見も自然界からではなく、原子炉の核分裂生成物の中から行われました。
別物です。蓄光塗料はあらかじめ光を吸収して蓄え、暗所で徐々に放出するため、時間が経つと暗くなって消えます。プロメチウムの塗料はβ線が蛍光体を叩いて光らせる(ラジオルミネセンス)という仕組みで、エネルギー源を内蔵しているので充電せずに光り続けます。暗い引き出しに1年入れておいても光ります。
放射線が弱く、取り扱いが安全だったからです。ラジウムはα線を出し、カルシウムと同族であるために骨へ溜まるという深刻な健康被害を起こしました。その代替としてプロメチウムやトリチウムが使われ、現在はさらに放射性でない蓄光材料(アルミン酸ストロンチウム系)に置き換わっています。
存在量はそれほど少なくありません。ありふれた金属より多く存在するものもあります。問題は量ではなく、仲間同士を分離するのが極端に難しいことです。希土類では増えた電子が外側ではなく内側の4f軌道に入るため、原子番号が1つ違っても化学的な性質がほとんど変わりません。供給が偏って見えるのは、この分離を大規模にやれる設備が限られているからです。
【元素マニア必見】元素本おすすめランキング
第1位関連記事
周期表全体を有機化学の視点で整理したいときは、元素図鑑トップが出発点になります。
いずれも希土類です。「少ないのではなく分けにくい」事情を共有しています。
第2位
第3位
