【元素図鑑】マイトネリウム Mt【核分裂を説明した物理学者の名前から】
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マイトネリウムは、超アクチノイド元素で、原子番号109の元素です。
この元素をどうやって「見る」のか
原子番号が100を超える元素は、自然界には存在しません。加速器で軽い原子核を重い標的にぶつけ、融合させて1個ずつ作ります。できた原子はすぐ壊れるため、研究はふつうの化学とはまったく違う形になります。
| ふつうの元素 | 超重元素 |
|---|---|
| 試薬瓶に入れて秤で量る | 1原子ずつ作り、壊れる前に測る |
| ビーカーの中で反応させる | 気体クロマトグラフィーなどで1原子の挙動を追う |
| 性質は実測で分かる | 周期表の位置から予測し、少数の実験で確かめる |
| 原子量は精密に決まる | 半減期の最も長い同位体の質量数を括弧書きで示す |
どうやって作るのか——「当てて、くっつける」
超重元素の作り方は、原理だけならとても単純です。軽い原子核を加速して、重い標的の原子核にぶつけ、融合させる。それだけです。難しいのは確率で、照射したイオンのほとんどは標的をはじき飛ばすか、素通りするか、融合してもすぐ分裂してしまいます。何兆回ぶつけて1個できるという世界です。
できた原子は標的のうしろへ飛び出してくるので、電磁石で不要な粒子をふるい落としてから検出器へ送ります。そしてその原子が壊れていく順番(崩壊連鎖)を観測して、さかのぼって「確かに原子番号109の原子が1個できた」と確認するのです。天秤に乗せて確かめるわけではありません。
名前はどう決まるのか
合成を報告しただけでは名前はつきません。IUPACとIUPAPの合同作業部会が、他の研究所でも再現できるかを含めて審査し、発見が認定された時点で、発見者に命名を提案する権利が与えられます。
| 段階 | 何が決まるか |
|---|---|
| 合成の報告 | まだ何も確定しない(別グループの追試を待つ) |
| 発見の認定 | どのグループが最初かが決まる |
| 命名の提案 | 発見者が名前を提案する(地名・人名・神話・性質に限られる) |
| 正式決定 | IUPACが承認するまではウンニル〜などの仮の名で呼ばれる |
仮の名前は、原子番号をラテン語・ギリシャ語の数詞で読んで「-ium」を付けたものです。0=ニル、1=ウン、2=ビ、3=トリという具合に対応しているので、仮名を見れば原子番号が読める仕組みになっています。
マイトネリウムは半減期がきわめて短く、化学的性質を調べる実験はまだほとんど行われていません。性質は周期表の位置(9族・コバルトやイリジウムの下)からの予測に頼っています。
マイトネリウムの位置づけ
周期表では9族、コバルト・ロジウム・イリジウムの下に入ります。半減期がきわめて短く、化学的性質を調べる実験はまだほとんど行われていません。性質は周期表の位置からの予測に頼っているのが現状です。
名前は、核分裂の発見を理論的に説明した物理学者リーゼ・マイトナーに由来します。彼女自身はノーベル賞を受けられなかったため、この命名はその名誉回復という意味も持っています。
基本情報
| 和名 | マイトネリウム |
|---|---|
| 英名 | Meitnerium |
| 語源 | オーストリアの物理学者マイトナー (Meitner) |
| 元素記号 | Mt |
| 原子番号 | 109 |
| 原子量 | (276) |
| 常温(25℃)での状態 | ー |
| 色 | ー |
| 密度 | ー |
| 融点 | ー |
| 沸点 | ー |
| 発見者 | ミュンツェンベルク 他(ドイツ)[1982年] |
| 含有鉱物 | - |
よくある質問
自然界には存在しません。加速器の中で人工的に作られる元素で、できた原子はすぐに崩壊してしまうため、どこかに貯めておくことができません。研究は1原子ずつ作っては壊れるのを観測する形で進められます。
天然に安定同位体が存在しないため、「平均の原子量」を定義できないからです。括弧の中の数字は測定された原子量ではなく、知られている同位体のうち代表的なものの質量数です。安定同位体をもつふつうの元素とは意味が違うので、同じ感覚で読まないよう注意してください。
半減期が短すぎて、化学実験に持ち込めないからです。気体クロマトグラフィーのような1原子を扱う手法でも、試料を検出器まで運ぶ間に崩壊してしまいます。そのため性質は、周期表で9族(コバルト・ロジウム・イリジウムの下)に入ることからの予測に頼っているのが現状です。
マイトナーは核分裂という現象を理論的に説明した物理学者ですが、ノーベル賞は共同研究者のオットー・ハーンにのみ与えられ、彼女は受賞できませんでした。ユダヤ系であったためナチス政権下のドイツを離れざるをえなかったという事情もあります。この命名には、その評価を取り戻すという意味が込められています。
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