光延反応は、第二級アルコールにアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、トリフェニルホスフィン(Ph3P)、安息香酸を反応させると、立体反転(SN2経路)を伴って、対応するベンゾイルオキシ誘導体が生成する。続くアルカリ加水分解により、対応するアルコールに変換できる。すなわち、アルコールの立体反転法として用いられる。
穏和な条件で反応が進行するため、天然物・複雑化合物合成に頻用されている。しかしながら、目的物以外にも副産物が多く生成する為、TLCの検出作業および精製が困難になるケースも多い。
概要
- 第二級アルコールを反転する
- トリフェニルホスフィンオキシドなどの副生成物の除去が必要
歴史
1967年、光延功によって報告された。
反応機構
実験手順
250mLの3つ口丸底フラスコに、攪拌棒、窒素導入口、ゴム製セプタム、温度計を設置する。このフラスコに、(1R,2S,5R)-(-)-メントール 3.00 g(19.2 mmol)、4-ニトロ安息香酸 12.9 g(77.2 mmol)、トリフェニルホスフィン 20.1 g (76.6 mmol) および 150 mL のテトラヒドロフランを入れておく。フラスコを氷浴に浸し、アゾジカルボン酸ジエチル(77mmol)12.1mLを、反応混合物の温度が10℃以下に維持されるような速度で滴下して添加する。添加終了後、フラスコを氷浴から取り出し、溶液を室温で一晩(14時間)、その後40℃で3時間撹拌させる。反応混合物を室温に冷却し、150mLのエーテルで希釈し、100mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄する。水層を合わせ、100 mL のエーテルで逆抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させる。過剰な溶媒および他の揮発性反応成分を、最初はロータリーエバポレーターで、次に高真空(30℃で3時間、約0.2mm)で、減圧下で完全に除去する。得られた半固形物を40 mLのエーテルに懸濁し、その懸濁液を室温で一晩放置する。混合物を撹拌しながら、20mLのヘキサンをゆっくりと加える。得られた無色固体を真空下で濾過し、フィルターケーキを200mLの50%(v/v)エーテル-ヘキサン類で洗浄する。濾液から溶媒をロータリーエバポレーターで減圧下に除去し、黄色い油を得、これを10mLの塩化メチレンに溶解し、40mLの8%エーテル-ヘキサンで希釈する。この溶液をフラッシュクロマトグラフィーカラムに適用し、8%エーテル-ヘキサンで溶出し、純粋なニトロ安息香酸エステルを無色結晶性固体として5.03 g (85.6%) 得ました。
Org. Synth. 1996, 73, 110.
実験のコツ
発展
第三級アルコールの立体反転
応用例
参考文献
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