SCIENCE

【元素図鑑】バークリウム Bk【カルフォルニア大学バークレー校で発見】

バークリウムは、アクチノイド元素で、原子番号97の元素です。

元素図鑑

バークリウムの基本情報

和名 バークリウム
英名 Berkelium
語源 発見された場所であるバークレー市 (Berkeley)
元素記号 Bk
原子番号 97
原子量 (247)
常温(25℃)での状態
臭い
密度 14.790 g/cm3(20℃)
融点 1047℃
沸点
発見者 トンプソン 他(アメリカ)[1949年]
含有鉱物

バークリウムの主な特徴

  • 原子番号97のアクチノイド元素であり、人工的に合成された放射性元素
  • 銀白色の金属と推定されていますが、自然界には存在せず、主に核反応を通じて人工的に合成される
  • 化学的には、+3価の酸化状態で安定し、他のアクチニドやランタニドと類似の性質を持つ
  • 実用用途はほぼなく、主に超重元素合成のための研究材料として重要

バークリウムの歴史

発見

バークリウムは1949年12月、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校のグレン・T・シーボーグ(Glenn T. Seaborg)、アルバート・ギオルソ(Albert Ghiorso)らの研究グループにより、アメリシウム-241に加速したアルファ粒子を衝突させることで合成・発見されました。

最初に得られた同位体は Bk-243 で、半減期は約5時間でした。

名前の由来

元素名「バークリウム(Berkelium)」は、発見地であるカリフォルニア大学バークレー校に由来します。

同大学では他にもカリホルニウム(Californium)など、複数の超ウラン元素が発見されています。

バークリウムの主な用途

バークリウムは非常に希少で高放射能を持つため、工業的・医療的な用途はありません
しかし、研究レベルでは以下のような重要な役割があります:

  • 超重元素の合成: 特にテネシン(Ts)などの標的物質として利用
  • アクチニド系列の化学的性質比較: イオン半径、酸化状態、錯形成傾向の分析
  • 高放射性環境下での物質の挙動研究

バークリウムの生成方法

バークリウムは、高フルエンスの中性子源(HFIRなど)において以下のようにして合成されます:

  1. キュリウム-244またはアメリシウム-241を標的とする
  2. 高エネルギーのアルファ粒子または中性子を照射
  3. 中性子捕獲やベータ崩壊を経てバークリウムが生成される

合成には時間と高コストがかかるため、微量(ナノグラム単位)での生産にとどまります。

バークリウムを含む化合物

バークリウムは主に+3価の酸化状態で存在し、他のアクチニドと類似した化合物を形成します。
確認されている主な化合物には以下があります:

  • BkCl₃(塩化バークリウム):粉末状の塩。揮発性は低い
  • Bk₂O₃(酸化バークリウム):白色または淡いピンク色。固体として得られる
  • BkF₃(フッ化バークリウム):結晶性固体。ランタニドフッ化物と類似

水溶液中では、Bk³⁺イオンとして存在し、他のLn³⁺やAm³⁺、Cf³⁺との分離・抽出の研究対象となっています。

バークリウムに関する研究事例

バークリウムは以下のような研究分野で活用されています:

  • 元素合成研究: ロシアのドゥブナ合同原子核研究所にて、Bk-249 を標的としてテネシン(Ts)が合成された
  • 分離科学: Ln³⁺とAn³⁺の分離技術の最適化のための抽出クロマトグラフィー研究
  • 核物理学研究: アルファ崩壊や自発核分裂に関する核種の崩壊データ収集
  • 放射線による材料劣化: 極端な放射線下における材料の物性変化の検証

筆者の薦める1冊

第1位

元素に関する問題がレベル別に多く掲載されており、一般的な知識からニッチな知識まで幅広く学べます。また、最後には全元素のデータが載っており、わからないことがあればすぐに調べることができます。

これを読めば、元素マスターに一歩も二歩も近づけます!

 

第2位

この本の一番の魅力は、とても美しい画像とともに学べるということです。

「こんなに美しい元素があったんだ、、!」という新しい発見がたくさんあると思います。

理系に限らず、文系にもおすすめの一冊です。