ストロンチウム(Strontium, Sr)は、元素記号Sr、原子番号38の化学元素です。アルカリ土類金属に属し、銀白色の軟らかい金属です。自然界では、ほとんどが化合物として存在します。
ストロンチウムの基本情報
和名 | ストロンチウム |
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英名 | Strontium |
語源 | スコットランドのストロンチアン地方 (Strontian) |
元素記号 | Sr |
原子番号 | 38 |
原子量 | 87.62 |
常温(25℃)での状態 | 固体(金属) |
色 | 銀白色 |
密度 | 2.540 g/cm3(20℃) |
融点 | 777℃ |
沸点 | 1414℃ |
発見者 | ホープ(イギリス)[1793年] |
含有鉱物 | ストロンチアン石 |
ストロンチウムの主な特徴
- アルカリ土類金属で、周期表第2族に属す
- 銀白色の柔らかい金属で、空気中ではすぐに酸化し、表面が黄色っぽく変色する
- 化学的性質はカルシウムやバリウムと似ており、水と激しく反応して水酸化物を生成し、水素を発生させる
- 炎色反応で鮮やかな赤色を示し、花火や信号弾に利用される
ストロンチウムの歴史
発見
1790年、スコットランドのストロンチアン村で採取された鉱石「ストロンチアナイト」から新しい金属が存在することが知られるようになり、
1798年にハンフリー・デービーが電気分解によって金属ストロンチウムを単離しました。
名前の由来
元素名「ストロンチウム(Strontium)」は、その鉱石が発見されたスコットランドの村「Strontian」にちなんで名付けられました。
ストロンチウムの主な用途
ストロンチウムおよびその化合物は以下のような用途があります:
- 花火・信号弾: 炎色反応で赤色を発するため、ストロンチウム塩(Sr(NO₃)₂など)は花火に不可欠
- 磁性材料: ストロンチウムフェライト(SrFe₁₂O₁₉)は永久磁石に利用
- 医薬用途: ストロンチウムラネル酸は骨粗しょう症治療薬として研究されている(日本では未承認)
- 放射性同位体: ⁹⁰Srはβ線源として産業用や放射線治療機器に使用(ただし高リスク)
- ガラス添加剤: テレビブラウン管や特殊光学ガラスの添加剤としてかつて使用
花火と発光材料
ストロンチウム塩(特に硝酸ストロンチウム)は、鮮やかな赤色を発するため、花火や発光弾の原料として広く使用されます。
医療分野
ストロンチウムラネート
骨粗鬆症治療薬として使用され、骨の形成を促進します。
放射性ストロンチウム(ストロンチウム-89)
放射線治療で骨がんの痛みを緩和するために使用されます。
金属合金
アルミニウム合金の強度を高めるために添加されます。
ガラス製造
カソード線管(CRT)や特殊なガラス製品に使用され、放射線を遮蔽する効果があります。
ストロンチウムの生成方法
ストロンチウムは自然界に単体で存在せず、以下の鉱石から得られます:
- ストロンチアナイト(SrCO₃)
- セレスチン(SrSO₄)
製法としては、鉱石からストロンチウム塩を得たのち、アルミニウムや炭素による還元、または電気分解法によって金属Srを精製します。
鉱石と産出
ストロンチウムは主にセレスチン(SrSO₄)やストロンチアナイト(SrCO₃)として自然界に存在します。
主要生産国
中国、スペイン、メキシコが主なストロンチウム生産国です。
ストロンチウムを含む化合物
ストロンチウムは主に+2の酸化状態をとり、さまざまな化合物を形成します:
- SrCO₃(炭酸ストロンチウム): 最も一般的な天然鉱物。ガラス・磁石原料などに利用
- Sr(NO₃)₂(硝酸ストロンチウム): 花火の赤色発色剤として重要
- SrCl₂・SrBr₂: 蛍光体や化学実験用試薬
- SrFe₁₂O₁₉(ストロンチウムフェライト): 磁石材料として実用化
ストロンチウムに関する研究
ストロンチウムは以下のような先端研究にも関係しています:
- 光格子時計: ストロンチウム原子を用いた原子時計は、現在最も高精度な時計の一つ
- 骨代謝研究: Sr²⁺が骨形成を促す作用を示すことから、骨再生医療における応用が検討されている
- 放射性廃棄物管理: 原子力事故由来の⁹⁰Srの生物学的挙動・除去法の研究
- フェライト磁石改良: 希土類フリー磁石としてのストロンチウムフェライトの性能改善
- 光学材料: ストロンチウムチタン酸塩(SrTiO₃)は強誘電体・光触媒材料として注目
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