カリホルニウムは、アクチノイド元素で、原子番号98の元素です。
カリホルニウムの基本情報
和名 | カリホルニウム |
---|---|
英名 | Californium |
語源 | 発見されたカリフォルニア大学 (University of California) |
元素記号 | Cf |
原子番号 | 98 |
原子量 | (252) |
常温(25℃)での状態 | ー |
色 | ー |
臭い | ー |
密度 | 15.100 g/cm3(20℃) |
融点 | 897℃ |
沸点 | ー |
発見者 | トンプソン 他(アメリカ)[1950年] |
含有鉱物 | ー |
カリホルニウムの主な特徴
- アクチノイド元素で、人工的に合成された放射性金属
- 銀白色の金属と推定されており、極めて放射能が強く、天然には存在しない
- 中性子放射源として利用される性質があり、微量でも中性子を大量に放出するという特徴がある
- 放射能が強いため、取り扱いには厳重な遮蔽と管理が必要
カリホルニウムの歴史
発見
カリホルニウムは1950年、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校のグレン・T・シーボーグ、スタンリー・G・トンプソンらの研究チームによって、キュリウム-242に高エネルギーα粒子を衝突させる核反応により合成されました。
その際に得られた同位体はカリホルニウム-245でした。
名前の由来
元素名「カリホルニウム(Californium)」は、発見された地であるカリフォルニア州および
カリフォルニア大学にちなみ命名されました。アメリカの地名が元素名となった最初の例です。
カリホルニウムの主な用途
カリホルニウムの用途は主に中性子源としての利用に限られます。具体的には以下の通りです:
- 中性子放射源: Cf-252は強力な中性子源であり、他の物質の放射化分析に使われます
- 鉱山探査: 岩石中の金属鉱物の探索における中性子放射分析
- 核燃料検査: 燃料棒の品質管理において、非破壊検査用中性子源として使用
- 医療研究: 特定のがん治療における中性子捕捉療法(BNCT)に関連する基礎研究
- 起爆装置: 核兵器の初期中性子源としての用途も存在する(機密情報に属する)
カリホルニウムの生成方法
カリホルニウムは原子炉内での多段階の中性子捕獲反応によって人工的に生成されます。
その典型的な生成プロセスは以下の通りです:
- プルトニウム-239 → 中性子照射によりアメリシウム、キュリウムへ
- キュリウム(Cm) → 中性子をさらに捕獲してベルケリウム(Bk)へ
- ベルケリウム → 中性子捕獲でカリホルニウムに到達(Cf-252など)
生産量は非常に限られており、世界中でも年間数ミリグラム単位しか生成されていません。
カリホルニウムを含む化合物
カリホルニウムは+3価の酸化状態が最も安定で、いくつかの化合物が知られています:
- Cf₂O₃(酸化カリホルニウム): 緑色の固体として知られる
- CfCl₃(塩化カリホルニウム): 結晶構造がランタノイド塩と類似
- Cf(NO₃)₃: 溶液中では水和錯体を形成する
いずれも実験室規模での研究用途に限られ、商業的利用は困難です。
カリホルニウムに関する研究事例
カリホルニウムに関する研究は主に以下の分野において行われています:
- 中性子源物理: Cf-252の自発核分裂による中性子生成特性と遮蔽設計に関する研究
- 超重元素合成: Cf標的を用いた超重元素(例:オガネソン)の合成実験
- 化学的性質解析: アクチニド元素の錯体形成、配位数、溶解度の体系的比較
- 元素分離技術: 同位体分離・アクチニド分離のための新規抽出剤やイオン交換材料の開発
- 医療応用研究: 中性子捕捉療法(BNCT)へのCfの応用可能性の探索
筆者の薦める1冊

元素に関する問題がレベル別に多く掲載されており、一般的な知識からニッチな知識まで幅広く学べます。また、最後には全元素のデータが載っており、わからないことがあればすぐに調べることができます。
これを読めば、元素マスターに一歩も二歩も近づけます!

この本の一番の魅力は、とても美しい画像とともに学べるということです。
「こんなに美しい元素があったんだ、、!」という新しい発見がたくさんあると思います。
理系に限らず、文系にもおすすめの一冊です。