プロトアクチニウムは、アクチノイド元素で、原子番号91の元素です。
プロトアクチニウムの基本情報
和名 | プロトアクチニウム |
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英名 | Protactinium |
語源 | アクチニウムに先立つ元素(ギリシャ語「先立つ(protos)」+ actinium) |
元素記号 | Pa |
原子量 | 231.0 |
常温(25℃)での状態 | 固体(金属) |
色 | 銀白色 |
臭い | ー |
密度 | 15.370 g/cm3 |
融点 | 1840℃ |
沸点 | 約4030℃ |
発見者 | マイトナー, ハーン(ドイツ), ソディ―, クランストン(イギリス)[1918年] |
含有鉱物 | カルノー石 |
プロトアクチニウムの主な特徴
- アクチニド系列に属する放射性元素
- 銀白色の金属で、化学的性質はウランやトリウムに類似していますが、放射能が強く、取り扱いには厳重な管理が必要
- 天然にはトリウムやウラン鉱石中に微量存在し、主にPa-231(半減期約3.3万年)として見られる
- 酸化状態としては+5が最も安定で、+4も観測されている
プロトアクチニウムの歴史
発見
プロトアクチニウムは1913年、カジミール・ファイアンスとオスカー・ゲーリングによって Pa-234 の短寿命同位体として発見されました。
さらに1917年には、フレデリック・ソディとジョン・レンビーによって長寿命同位体 Pa-231 が分離・同定され、元素としての確立がなされました。
名前の由来
元素名「プロトアクチニウム(Protactinium)」は、「アクチニウムに先立つもの」という意味に由来します。
Pa-231 は壊変系列においてアクチニウムより前段階に存在することから、この名称が付けられました。
プロトアクチニウムの主な用途
プロトアクチニウムは非常に希少で高価、かつ強い放射性を持つため、商業用途はほとんど存在しません。
主に以下のような研究・分析分野で使用されています:
- 放射化学研究: アクチニド化学の比較研究
- 地球年代測定: Pa-231/U-235 比に基づく堆積物年代推定
- 核分裂実験: 重元素核分裂挙動の解析に利用
- 材料研究: 高放射線環境下での化学的安定性試験
プロトアクチニウムの生成方法
プロトアクチニウムは天然のウラン鉱石からの副産物として、あるいは人工的に以下の方法で生成されます:
- 天然生成: U-235 の壊変系列中に微量存在(Pa-231)
- 原子炉内生成: トリウムやウランの中性子照射による反応生成
- 分離法: イオン交換、溶媒抽出により高純度Pa化合物を単離
プロトアクチニウムを含む化合物
プロトアクチニウムは主に+5価の化合物を形成し、水溶液中では酸化力のある陽イオンとして存在します:
- Pa₂O₅(五酸化二プロトアクチニウム): 白色粉末。酸化性が強い
- パーオキソ錯体: H₂O₂存在下で安定な黄色の錯イオンを形成
- PaF₅・PaCl₅: 揮発性を持ち、昇華精製に用いられる
プロトアクチニウムに関する研究事例
プロトアクチニウムはアクチニド化学や核分裂、地球科学において研究対象となっています:
- アクチニド系列の電子構造解析: f軌道の占有状態と酸化数挙動
- 海洋堆積物の年代測定: Pa-231 / Th-230 比を用いた深海の堆積速度研究
- 核分裂生成物の挙動: 高放射線環境下での拡散・反応性の解析
- Paを含む金属錯体の合成と分光分析: 溶液中での構造解析に応用
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