銀に関する情報をまとめました。
銀の基本情報
和名 | 銀 |
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英名 | Silver |
語源 | アングロサクソン語「銀(siolfur)」 |
元素記号 | Ag |
原子番号 | 47 |
原子量 | 107.9 |
常温(25℃)での状態 | 固体(金属) |
色 | 銀白色 |
臭い | ー |
密度 | 10.500 g/cm3(20℃) |
融点 | 961.93℃ |
沸点 | 2162℃ |
発見者 | 古代より知られている |
含有鉱物 | 自然銀 |
銀の主な特徴
- 原子番号47の遷移金属元素で、周期表第11族に属する貴金属
- 自然界で単体金属としても産出される稀な元素であり、古代から装飾品・通貨・器具として用いられてきた
- 金属の中で最も高い電気伝導率・熱伝導率・光反射率を持ち、化学的には比較的安定ですが、空気中の硫化物と反応して黒変する(硫化銀の生成)
- 美しさと実用性を兼ね備えた金属として、電子材料から医療分野に至るまで幅広く使用されている
銀の歴史
発見
銀は人類が最も早く利用した金属の一つであり、紀元前3000年頃の古代メソポタミア・エジプトの遺跡から、銀製の装飾品や貨幣が出土しています。
鉛鉱石から銀を分離する「カップレーション(cupellation)」の技術は紀元前に確立されており、古代世界において銀は金と並ぶ貴金属とされていました。
名前の由来
元素記号Agは、ラテン語の「argentum(銀)」に由来します。英語の「Silver」はゲルマン語系の語源を持ちますが、いずれもその白く光沢ある性質にちなみます。
銀河(Galaxy)の語源も「ミルクのように白い帯」に由来し、銀の輝きは古代から美の象徴とされてきました。
銀の主な用途
銀はその物理的特性を活かして、さまざまな産業分野で使用されています:
- 電子部品: 高い電導性により、プリント基板、導電ペースト、スイッチ、リレーなどに使用
- 写真感光材料: 銀塩写真のフィルム・印画紙にAgBrなどのハロゲン化銀を使用(現在は減少)
- 装飾品・貨幣: 銀貨、銀食器、ジュエリーなどに使用され、美的価値も高い
- 医療材料: 銀ナノ粒子や銀イオンは抗菌作用を持ち、創傷治療材や抗菌コートに使用
- 再生可能エネルギー: 太陽電池(特にシリコン系)において、電極材料として銀ペーストが重要
銀の生成方法
銀は以下のような鉱石から得られます:
- 主銀鉱(Ag₂S)、輝銀鉱、赤銀鉱: 銀を主成分とする鉱石
- 鉛・亜鉛・銅鉱石の副産物: 鉛(ガレナ)や銅鉱石の製錬過程で副次的に得られる
抽出には、粉砕後の鉱石をシアン化ナトリウムで処理して溶解・電解精製する方法(シアン化法)が一般的です。
古くはアマルガム法(水銀を使う)や、先述のカップレーションが利用されていました。
銀を含む化合物
銀は主に+1価の状態で化合物を形成します。代表的な化合物には以下のようなものがあります:
- AgNO₃(硝酸銀): 無色結晶で光に敏感。消毒剤・写真材料・分析化学に使用
- AgCl(塩化銀): 光により分解する白色沈殿。光感光材料や塩素の定量分析に使用
- AgBr、AgI: 写真フィルムやX線フィルムの感光材料
- 酸化銀(Ag₂O): 黒色の粉末で、電池や化学反応の酸化剤として利用
銀に関わる研究事例
銀に関する研究は多岐にわたり、以下の分野で活発に行われています:
- ナノテクノロジー: 銀ナノ粒子の抗菌性・導電性を活かした応用研究
- 材料科学: Ag合金や多層膜による新しい導電材料や反射膜の開発
- 太陽電池研究: 銀電極の微細化と低コスト化に関する研究
- 医療応用: Agナノ粒子を用いた創傷治療、ドラッグデリバリー、抗腫瘍活性評価
- 環境化学: 銀イオンの水環境中での挙動と毒性評価
参考図書

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