SCIENCE

【元素図鑑】レニウム Re【最初の発見者は日本人?!】

レニウム(Rhenium, Re)は、元素記号Re、原子番号75の化学元素です。周期表の第7周期、第7族に属する遷移金属で、非常に希少で高価な金属です。

基本情報

和名 レニウム
英名 Rhenium
語源 ライン河のラテン名レーヌス (Rhenus)
元素記号 Re
原子番号 75
原子量 186.2
常温(25℃)での状態 固体(金属)
銀白色
密度 21.020 g/cm3(20℃)
融点 3180℃
沸点 5596℃
発見者 ノダック, タッケ, ベルク(ドイツ)[1925年]
含有鉱物 輝水鉛鉱

歴史

発見

1925年にドイツの化学者イドア・ターナーとヴァルター・ノダックによって発見されました。発見当時、自然界での存在量は非常に少ないことが確認されました。

名前の由来

ライン川(Rhenus)にちなみ、「レニウム」と命名されました。

主な用途

航空宇宙産業

高温合金

ニッケル基超合金に添加され、ジェットエンジンやロケットエンジンの部品に使用される。これにより、高温での強度と耐久性が向上します。

化学産業

触媒

レニウム触媒は石油精製や有機化学反応(特に水素化反応)に使用されます。プラチナとレニウムの合金触媒は、ガソリンのオクタン価向上や環境負荷の低減に役立ちます。

電子機器

電極材料

電子顕微鏡や質量分析計のフィラメント材料として使用され、高温での安定性と長寿命が求められます。

医療分野

放射性同位体

レニウム-188は、放射線治療や放射性標識化合物として使用されることがあります。

生成方法

鉱石と産出

レニウムは、自然界では単体として存在せず、主にモリブデン鉱石中の副産物として得られます。モリブデン製錬の際にレニウムを回収します。

主要生産国

チリ、アメリカ合衆国、カザフスタン、ロシアが主要なレニウム生産国です。

化合物

二ホウ化レニウム

過レニウム酸

過レニウム酸アンモニウム

酸化レニウム(IV)

酸化レニウム(VI)

酸化レニウム(VII)

硫化レニウム(IV)

主な特徴

日本人が最初に発見したはずの元素

小川正孝は、ロンドンに留学中の1908年に、新元素として「43番元素 ニッポニウム」を発表しました。

しかし、これは分析が間違っており、43番元素は存在しないことが明らかになりました。また、後に「45番元素 レニウム」が発見されました。

分析を間違った原因としては、X線分光装置が無かったことが考えられます。

レニウム発見後、小川に頼まれてX線分光分析を行った木村健二郎は「それはきれいなレニウムだった」と証言しています。

 

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