キセノンは貴ガス元素のひとつであり、1898年にラムゼーとトラバースにより発見されました。
キセノンの基本情報
和名 | キセノン |
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英名 | Xenon |
語源 | ギリシャ語「異邦人, なじみにくいもの(xenos)」 |
元素記号 | Xe |
原子番号 | 54 |
原子量 | 131.3 |
常温(25℃)での状態 | 気体 |
色 | 無色 |
臭い | 無臭 |
密度 | 5.8971 g/L(気体, 0℃) |
融点 | -111.9℃ |
沸点 | -108.1℃ |
発見者 | ラムゼー, トラバース(イギリス)[1898年] |
キセノンの代表的な特徴
- 貴ガス元素で、周期表第18族に属す
- 無色・無臭・無毒の不活性気体で、大気中には極めて微量(0.0000087%)しか存在しない
- 通常は非常に反応性が低い(閉殻構造)ですが、高酸化剤との反応や極限条件下では化合物を形成することもある
- 原子量は131.29で、天然には9つの安定同位体が存在する
- 貴ガスとしては比較的高い密度と沸点を持ち、冷却や圧縮によって液体や固体に変化することができる
キセノンの歴史
発見
キセノンは1898年、イギリスの化学者ウィリアム・ラムゼーとモリス・トラヴァースによって、液体空気からの分留によって発見されました。
ネオン、クリプトンに続く三番目の希ガスの発見でした。
名前の由来
「キセノン」という名称は、ギリシャ語の “xenos”(「見知らぬもの」「異邦人」)に由来し、その希少性を象徴しています。
キセノンの主な用途
キセノンは希ガスの中でも特に重く、物理的・化学的特性を活かして多分野で利用されています:
- HIDランプ(高輝度放電灯): 自動車ヘッドライト、映画映写機、UV殺菌灯などに使用
- 医療用麻酔ガス: キセノンは優れた吸入麻酔薬として高い安全性を持つ
- 宇宙推進剤: イオンエンジンの推進媒質として利用(例:Deep Space 1 探査機)
- CT撮影・核医学: Xe-133は肺換気スキャンなどで用いられる放射性トレーサー
- 原子時計・研究用冷却媒質: 超高精度測定や極低温領域で利用される
キセノンの生成方法
キセノンは空気中にごく微量しか存在しないため、以下の方法で製造されます:
- 空気分離: 液体空気の分留によって他の希ガスと共に抽出
- 酸素製造時の副産物: 工業的酸素生成の過程で捕集されることが多い
- 高純度精製: 凝縮・吸着・冷却操作を組み合わせて高純度キセノンを得る
キセノンを含む化合物
キセノンは長らく不活性と考えられてきましたが、現在ではいくつかの安定な化合物が知られています:
- キセノンフルオリド(XeF₂, XeF₄, XeF₆): 最も代表的なキセノン化合物で、強力な酸化剤
- キセノンオキソ酸(H₂XeO₄など): 水中で不安定だが形成可能
- キセノン錯体: 高酸化剤との反応により配位化合物を形成
- XePtF₆: 最初に合成された希ガス化合物(1962年、バートレットにより合成)
キセノンに関する研究事例
キセノンに関する研究は、極低温物理学から宇宙開発・医学分野にまで及びます:
- キセノンの核スピンによるMRI強調法: hyperpolarized Xe を用いた肺疾患の可視化
- イオンスラスタ推進システム: 宇宙機における電気推進の効率化に関する研究
- 希ガス化学の展開: Xe化合物の合成・安定性・電子構造解析
- 希ガスレーザー: Xeを含むエキシマレーザー(XeCl, XeF など)の開発
- 暗黒物質探索: 液体キセノン検出器(XENONnT実験など)による粒子物理研究
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