ニオブに関する情報をまとめました。
ニオブの基本情報
和名 | ニオブ |
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英名 | Niobium |
語源 | ギリシャ神話のタンタロスの娘ニオベ (Niobe) |
元素記号 | Nb |
原子番号 | 41 |
原子量 | 92.91 |
常温(25℃)での状態 | 固体(金属) |
色 | 灰白色 |
臭い | ー |
密度 | 8.570 g/cm3(20℃) |
融点 | 2468℃ |
沸点 | 4742℃ |
発見者 | ハチェット(イギリス)[1801年] |
含有鉱物 | コルンブ石 |
ニオブの主な特徴
- 原子番号41の遷移金属元素で、周期表第5族に属す
- 銀白色の金属で、高い耐食性・耐熱性・延性・導電性を有しており、超伝導特性を持つ合金の構成元素としても重要
- 酸やアルカリに対して比較的安定で、主に合金材料・電子部品・医療機器などに用いられている
ニオブの歴史
発見
ニオブは1801年、イギリスの化学者チャールズ・ハッチェット(Charles Hatchett)によって、アメリカから持ち込まれた鉱石コロンバイト中から発見されました。
当初は「コロンビウム(Columbium)」と名付けられましたが、後に再発見されたタンタルとの混同が起こり、名称の統一が遅れました。
名前の由来
現在の名称「ニオブ(Niobium)」は、ギリシャ神話の女神ニオベ(Niobe)に由来します。
これは、同族の元素タンタル(Tantalum)が彼女の父タントロス(Tantalus)にちなむことから関連づけられました。
1950年、IUPACによって国際的に「ニオブ」が正式名称とされました。
ニオブの主な用途
ニオブは多くの先端技術分野で活躍しています:
- 鉄鋼合金: 鋼材に微量添加することで高強度・耐熱鋼(パイプライン、航空機用鋼など)を実現
- 超伝導材料: Nb-TiやNb₃SnなどはMRIや粒子加速器の超伝導磁石に使用
- 化学装置: 酸や腐食性環境下での耐食性により、化学プラントのバルブ・熱交換器に使用
- 電子部品: ニオブ酸化物を用いたキャパシタ(コンデンサ)やセラミック素材
- 医療分野: 生体適合性が高く、インプラントや補綴材料に応用
ニオブの生成方法
ニオブは主に次の鉱石から抽出されます:
- コロンバイト(Fe, Mn)(Nb, Ta)₂O₆
- パイロクロア(Ca,Na)₂Nb₂O₆(OH,F)
鉱石を塩酸やフッ化水素酸で処理し、溶液中でNbとTaを分離したのち、還元法(アルミニウムまたはナトリウムによる)で金属ニオブを得ます。
ニオブを含む化合物
ニオブは主に+5価で安定し、酸化物やハロゲン化物、有機金属化合物を形成します:
- Nb₂O₅(五酸化ニオブ): 白色粉末。誘電体・触媒・セラミックス原料として使用
- NbCl₅(五塩化ニオブ): 吸湿性が高い黄色固体。気相成長や有機合成に利用
- リチウムニオベート(LiNbO₃): 光学材料。非線形光学素子や圧電素子に応用
- ニオベン錯体: 有機金属触媒や表面修飾材料の前駆体として研究対象
ニオブに関わる研究事例
ニオブに関する研究は多岐にわたります:
- 超伝導材料: Nb₃SnやNbTiの臨界電流密度・磁場依存性の向上に関する研究
- 光機能材料: LiNbO₃のフォトニック結晶・導波路デバイスへの応用
- 電気化学応用: Nb₂O₅を活用したリチウムイオン電池の高容量負極開発
- 触媒開発: 酸化ニオブを担体とした酸性固体触媒や還元触媒の設計
- 生体材料: Ti-Nb合金の骨伝導性・耐疲労性に関する生体適合性研究
参考図書

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