ジルコニウムに関する情報をまとめました。
ジルコニウムの基本情報
和名 | ジルコニウム |
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英名 | Zirconium |
語源 | アラビア語・ペルシア語「金色(zircon)」 |
元素記号 | Zr |
原子番号 | 40 |
原子量 | 91.22 |
常温(25℃)での状態 | 固体(金属) |
色 | 銀白色 |
臭い | ー |
密度 | 6.506 g/cm3(20℃) |
融点 | 1852℃ |
沸点 | 4361℃ |
発見者 | ベルセーリウス(スウェーデン)[1824年] |
含有鉱物 | ジルコン石 |
ジルコニウムの主な特徴
- 遷移金属元素で、周期表第4周期・第4族に属す
- 銀白色の光沢を持つ金属で、非常に耐食性に優れ、酸や塩基にも安定
- 高融点(約1855℃)で強度があり、原子炉の構造材料や化学プラント、セラミックスなどに幅広く利用されている
- 化学的にはチタンと類似した性質を持つ
ジルコニウムの歴史
発見
ジルコニウムは1789年、ドイツの化学者マルティン・ハインリヒ・クラプロートによって、鉱物ジルコン(ZrSiO₄)中に発見されました。
金属としての単離は1824年、スウェーデンのベリセリウスによって行われました。
名前の由来
「ジルコニウム(Zirconium)」は、ペルシャ語で金色を意味する「zargun」に由来し、
これは鉱物「ジルコン」(ZrSiO₄)に関連した名称です。
ジルコニウムの主な用途
ジルコニウムおよびその化合物は、次のような用途で重要な役割を果たしています:
- 原子炉材料: 中性子吸収断面積が小さいため、ジルカロイ(Zr合金)は燃料被覆管に使用
- 耐食装置: 酸・アルカリに強く、化学プラントの配管・バルブ・熱交換器に用いられる
- ジルコニアセラミックス: 酸化ジルコニウム(ZrO₂)は高強度・耐熱・耐摩耗性に優れ、歯科材料・人工関節・ナイフなどに利用
- 宝石材料: 天然および合成のジルコンは、ダイヤモンド類似の宝石として扱われる
- 触媒担体: 酸化ジルコニウムは自動車排ガス触媒や固体酸触媒の担体としても注目
ジルコニウムの生成方法
ジルコニウムは主に以下の鉱物から得られます:
- ジルコン(ZrSiO₄)
- バッドレイ石(baddeleyite, ZrO₂)
製法としては、鉱石からZrCl₄などの揮発性塩に変換後、マグネシウムやナトリウムによる還元(ケロール法)によって金属ジルコニウムが得られます。
また、核用ジルコニウムではハフニウム除去が重要であり、高精度な分離が必要とされます。
ジルコニウムを含む化合物
ジルコニウムは主に+4価で安定し、多くの酸化物・ハロゲン化物・有機金属錯体を形成します:
- ZrO₂(酸化ジルコニウム、ジルコニア): セラミックス、電気絶縁体、歯科材料など
- ZrCl₄(四塩化ジルコニウム): 有機合成・錯体化学の出発原料
- Zr(OBu)₄(テトラ-n-ブトキシジルコニウム): ソル–ゲル法や化学蒸着(CVD)前駆体
- ジルコノセン(Cp₂ZrCl₂): オレフィン重合触媒(Ziegler–Natta型)として研究
ジルコニウムに関わる研究事例
ジルコニウムに関する研究は、以下の分野で活発に行われています:
- 高温材料研究: ZrO₂を基盤とするセラミックスの機械的特性・熱安定性の向上
- 原子炉安全性: Zr合金の耐酸化・水素化挙動と、被覆管事故時の挙動解析
- 固体酸化物燃料電池(SOFC): YSZ(イットリア安定化ジルコニア)の酸素イオン伝導性の最適化
- 有機金属触媒: ジルコノセン錯体を用いた精密重合反応の選択性と活性制御
- 生体材料: 生体適合性セラミック(ZrO₂)を人工歯根・インプラントなどへ応用
参考図書

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