クリプトンに関する情報をまとめました。
クリプトンの基本情報
和名 | クリプトン |
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英名 | Krypton |
語源 | ギリシャ語「隠れた(kryptos)」 |
元素記号 | Kr |
原子番号 | 36 |
原子量 | 83.80 |
常温(25℃)での状態 | 気体 |
色 | 無色 |
臭い | 無臭 |
密度 | 3.735 g/L(気体, 20℃) |
融点 | -156.6℃ |
沸点 | -152.3℃ |
発見者 | ラムゼー, トラバース(イギリス)[1898年] |
含有鉱物 | ー |
クリプトンの主な特徴
- 希ガス元素で、周期表第18族に属す
- 無色・無臭・無味の単原子性気体で、常温常圧では極めて化学的に不活性
- 空気中には約1ppm(0.0001%)含まれており、液体空気の分留によって得られる
- 低温で発光しやすく、レーザーや照明用途に広く利用されている
クリプトンの歴史
発見
クリプトンは1898年、イギリスの化学者サー・ウィリアム・ラムゼーとモーリス・トラバースによって発見されました。
液体空気の分留中、最後に残ったごくわずかな気体の中から新しいスペクトルを観測し、未知の元素として同定されました。
名前の由来
「クリプトン(Krypton)」は、ギリシア語の「kryptos(隠されたもの)」に由来します。
極めて微量で見つけにくかったことにちなんで命名されました。
クリプトンの主な用途
クリプトンは発光性や不活性性を活かし、以下のような用途があります:
- 照明: クリプトンガスを封入した白熱電球(高輝度・長寿命)
- 放電管: クリプトンガス放電による青白い光を利用(装飾照明・指標灯)
- レーザー: Kr⁺イオンレーザーは医学や分光分析に応用(特に緑~赤領域)
- 基準の定義: 過去にはクリプトン-86の波長がメートルの定義に使用された
- 断熱窓: 熱伝導率が低いため、高性能な複層ガラスの間に封入されることもある
クリプトンの生成方法
クリプトンは空気中にごく微量含まれており、次のような方法で得られます:
- 空気の分留: 液体空気から窒素・酸素・アルゴンを順次除去し、残留ガスとして回収
- 極低温蒸留: キセノンやネオンとの混合気体からの分離精製も実施される
クリプトンを含む化合物
クリプトンは非常に不活性な元素ですが、条件を整えると化合物を形成することも知られています:
- KrF₂(二フッ化クリプトン): 最も安定なクリプトン化合物。強力な酸化剤
- Kr·H₂O(ハイドレート): 水和物として低温高圧下で形成
- Kr錯体: 超低温下で一時的に遷移金属と相互作用する例も研究されている
クリプトンに関わる研究事例
クリプトンはその希ガス的性質を生かし、さまざまな研究分野で利用されています:
- レーザー分光法: Krレーザーを用いた高精度分光、干渉法の研究
- トレーサーガス: 揮発性が高く不活性なため、空気の流れの可視化や漏洩検査に使用
- 核物理学: クリプトンの放射性同位体(例:⁸⁵Kr)は原子炉や核燃料の監視に活用
- 極低温科学: 超流動ヘリウム中の微細挙動観測におけるトレーサーとして
- 分子軌道解析: KrF₂などを用いた希ガス元素の化学結合性に関する理論化学研究
参考図書

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