ガリウムに関する情報をまとめました。
ガリウムの基本情報
和名 | ガリウム |
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英名 | Galium |
語源 | 発見者の祖国フランスのラテン語名 (Gallia) |
元素記号 | Ga |
原子量 | 69.72 |
常温(25℃)での状態 | 固体(金属) |
色 | 青白色 |
臭い | ー |
密度 | 5.905 g/cm3(20℃) |
融点 | 29.77℃ |
沸点 | 2403℃ |
発見者 | ボアボードラン(フランス) [1875年] |
含有鉱物 | 閃亜鉛鉱 |
ガリウムの主な特徴
- 金属元素で、銀白色の光沢を持つ
- 融点は29.76℃と非常に低く、体温で容易に溶けるため、手のひらに乗せると液体になる
- 沸点は2204℃と非常に高く、液体状態での温度範囲が広い特異な金属
- 自然界には単体では存在せず、主にボーキサイトや亜鉛鉱石中に微量含まれる
- 化学的には比較的安定で、大気中や水中でも急速に酸化されることはない
ガリウムの歴史
発見
ガリウムは1875年、フランスの化学者ポール・ボアボードランによって、亜鉛鉱石中から分光分析により発見されました。
この発見は、ドミトリ・メンデレーエフが予言していた「エカアルミニウム」に対応する元素とされ、周期表の正当性を証明する事例となりました。
名前の由来
「ガリウム(Gallium)」という名称は、発見者ボアボードランの母国フランスのラテン名「Gallia(ガリア)」に由来しています。
また一説には、彼の姓「Boisbaudran」のラテン語読み「Gallus」に由来するとも言われています。
ガリウムの主な用途
ガリウムはその半導体特性や液体状態での安定性を活かし、次のような用途で広く利用されています:
- 半導体材料: ガリウムヒ素(GaAs)や窒化ガリウム(GaN)として、高速電子デバイスやLEDに使用
- 液体金属冷却材: ガリウム合金(Ga-In-Sn)は低融点で毒性が低く、電子機器の冷却などに使用
- 太陽電池: GaAsやCu(In,Ga)Se₂(CIGS)型太陽電池として高効率化が進む
- 温度計・熱電材料: ガラスを用いない温度計、熱電変換素子としても研究中
- 医療応用: ガリウム化合物が抗腫瘍活性を持つことから、がん治療薬としての応用も研究中
ガリウムの生成方法
ガリウムは主に次のような方法で副産物として得られます:
- ボーキサイト処理: アルミニウム精錬過程(バイヤー法)の副産物として回収される
- 亜鉛鉱石処理: 電解精錬のアノードスライムからも抽出可能
- 抽出法: 水酸化ナトリウムによる溶解 → 溶媒抽出 → 電解回収によって精製
ガリウムを含む化合物
ガリウムは+3価が最も安定で、多くの化合物を形成します。代表的なものは以下の通りです:
- ガリウムヒ素(GaAs): 高速・高周波デバイスに使用されるIII-V族半導体
- 窒化ガリウム(GaN): 青色LEDやパワー半導体として重要。高耐圧・高周波特性を持つ
- 酸化ガリウム(Ga₂O₃): 次世代パワーデバイス材料として注目
- 硫化ガリウム(Ga₂S₃): 赤外線光学材料として利用される
- ガリウム錯体: 医薬用途や化学センサー材料として研究される
ガリウムに関わる研究事例
ガリウムは先端材料科学、半導体工学、医薬分野で幅広く研究対象となっています:
- GaN系パワーデバイス: SiやSiCを凌ぐ高性能トランジスタ材料の開発が進む
- Ga-In合金によるフレキシブル回路: 液体金属を利用した伸縮性電子回路の実現
- 抗腫瘍剤としてのガリウム化合物: Ga(NO₃)₃などががん細胞の増殖抑制に有効
- ガリウム酸化物の高効率発光デバイス: UVC領域での発光素子開発
- ナノ構造Ga材料の触媒応用: アモルファスGa粒子による水素生成やCO₂還元
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