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オスミウムは、遷移元素で、原子番号76の金属元素です。

基本情報

和名:オスミウム

英名:Osmium

語源:ギリシャ語「におい(osme)」

元素記号:Os

原子番号:76

原子量:190.2

常温(25℃)での状態:固体(金属)

色:青灰色

密度:22.590 g/cm3(20℃)

融点:3045℃

沸点:5012℃

発見者:テナント(イギリス)[1803年]

含有鉱物:イリドスミン

名前の由来

ギリシャ語で「におい」を意味する osme に由来します。1803年、イギリスのテナントが
白金鉱を王水で処理した残渣からオスミウムとイリジウムを見つけましたが、このとき
四酸化オスミウム(OsO4)の強い刺激臭が手がかりになりました。
元素名が「化合物のにおい」から付けられた、珍しい例です。

主な用途

単体としては、硬さを活かした用途が中心です。

  • 万年筆のペン先:イリジウムとの合金(オスミリジウム)。摩耗にきわめて強い
  • 電気接点・軸受け:硬く、摩耗しにくい部品

しかし有機化学でオスミウムが重要なのは、単体ではなく四酸化オスミウムという試薬としてです。
OsO4はアルケンの二重結合に[3+2]型で付加してオスマートエステル(環状の中間体)をつくり、
加水分解すると二つのOHが同じ面に入った syn-ジオールが得られます。

アルケンにOsO4が[3+2]付加してオスマートエステル(環状中間体)となり、加水分解でsyn-1,2-ジオールが得られる構造式

OsO4は高価で猛毒なので、実際には触媒量だけ使って共酸化剤で再生させるのが定番です
(NMOやK3[Fe(CN)6]を共酸化剤に使う)。この条件が
Upjohn ジヒドロキシ化で、
さらにキラル配位子を加えて不斉化したものが
Sharpless 不斉ジヒドロキシ化です。
「密度が最大の金属」という雑学よりも、有機合成ではこの試薬としての顔のほうが重要です。

生成方法

オスミウム鉱石として採掘されるわけではなく、銅・ニッケル精錬や白金族金属の副産物として回収されます。
電解精錬で陽極に残る泥(アノードスライム)に白金族が濃縮されるので、そこから化学的に分離します。

年間の生産量は世界で数百kg程度と、白金族の中でも特に少ない元素です。高価なのはこのためです。

化合物

化合物 特徴と用途
四酸化オスミウム
OsO4(Os の酸化数 +8)
淡黄色の固体で揮発性。アルケンのsyn-ジヒドロキシ化に使う強力な酸化剤。生体試料の電子顕微鏡用染色剤にも。猛毒
オスミウム酸カリウム
K2[OsO2(OH)4]
OsO4より扱いやすい固体の代替試薬。Sharpless条件で使われる
塩化オスミウム(III)
OsCl3
錯体合成の出発物質

主な特徴

オスミウムの最大の特徴は単体金属として最も密度が高いことです
(22.59 g/cm3)。イリジウムとほぼ並び、鉛(11.3 g/cm3)の約2倍です。
融点3045°Cと非常に高く、硬いのですが脆くて加工しにくいという扱いづらさもあります。

粉末のオスミウムは危険
塊のままなら安定ですが、粉末は室温の空気中でも酸化されて四酸化オスミウム(OsO4)になります。
OsO4は揮発性が高く、目・気道を強く傷める猛毒です。
実験室でOsO4を扱うときは、必ずドラフト内で、水溶液や固定化試薬の形で使います。

 

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