コーンブルム酸化|DMSOが酸化剤になる仕組みとスワーン酸化との違い
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コーンブルム酸化は、ハロゲン化アルキルやトシル酸塩をカルボニル化合物に変換する酸化反応である。
概要
- 活性化された第一級ハロゲン化アルキルをDMSO条件下加熱、引き続き塩基で処理することにより、アルデヒドを合成できる

歴史
パデュー大学のNathan Kornblum(1914年3月22日 – 1993年3月13日)によって名付けられた。
反応機構
この反応の出発点は、DMSOの酸素が求核剤としてはたらくことです。DMSOは溶媒として使うことが多いので見落としがちですが、S=Oの酸素には負電荷が偏っていて、求核剤になれます。
| 段階 | 何が起こるか |
|---|---|
| ① SN2 | DMSOの酸素がハロゲン化アルキルの炭素を背面から攻撃し、ハロゲン化物イオンが抜ける→アルコキシスルホニウム塩ができる |
| ② 塩基がプロトンを抜く | トリエチルアミンなどが、硫黄に付いたメチル基の水素を引き抜く→イリドになる |
| ③ 5員環の遷移状態を組む | イリドの炭素が、もとの炭素に付いた水素を内側から引き抜く(5員環を組んだ脱離) |
| ④ 分解する | C−O二重結合ができてカルボニル化合物になり、ジメチルスルフィドが抜ける |
なぜ「活性化された」ハロゲン化物でなければならないのか
概要に「活性化された第一級ハロゲン化アルキル」とあるのは、①のSN2がそう簡単には進まないからです。DMSOの酸素は求核剤としては弱いので、相手の炭素が反応しやすくなっていないと手が出ません。
| 基質 | 進みやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| ベンジル位・アリル位のハロゲン化物 | 進む | 遷移状態が共鳴で安定化され、SN2が速い |
| α-ハロケトン | 進む | 隣のカルボニルが遷移状態を安定化する |
| トシラート・ヨウ化物 | 進む | 脱離基が良い(塩化物をヨウ化物に変えてから行うこともある) |
| ふつうの一級アルキル塩化物 | 進みにくい | 活性化されていないうえ、脱離基も悪い |
| 二級・三級 | 向かない | 立体障害でSN2が進まず、脱離が優先する |
ほかのDMSO酸化との位置づけ
| 反応 | 出発物 | アルコキシスルホニウムの作り方 |
|---|---|---|
| コーンブルム酸化 | ハロゲン化アルキル・トシラート | DMSOの酸素がSN2で直接つく |
| スワーン酸化 | アルコール | DMSOを塩化オキサリルで活性化してからアルコールと反応させる |
| モファット酸化 | アルコール | DMSOをカルボジイミドで活性化する |
いずれも硫黄を使って酸素を1つ押し付け、ジメチルスルフィドとして回収するという同じ考え方です。生成物のにおいが独特なのは、この硫化物が出るためです。
よくある質問
S=Oの酸素に負電荷が偏っていて、求核剤になれるからです。この酸素がハロゲン化アルキルの炭素をSN2で攻撃してアルコキシスルホニウム塩をつくり、最終的に酸素を基質に残してジメチルスルフィドとして抜けます。結果としてDMSOが酸素の供給源=酸化剤になっています。
DMSOの酸素が求核剤として弱いためです。相手の炭素が反応しやすくなっていないとSN2が進みません。ベンジル位・アリル位のハロゲン化物やα-ハロケトンは遷移状態が安定化されるので進みます。トシラートやヨウ化物に変えて脱離基を良くする手もあります。二級・三級は立体障害で脱離が優先するため向きません。
硫黄に付いたメチル基から水素を引き抜いてイリドをつくるためです。できたイリドの炭素が、もとの炭素に付いた水素を5員環を組んで内側から引き抜き、C−O二重結合ができてカルボニル化合物とジメチルスルフィドに分かれます。塩基は基質を攻撃するのではなく、脱離の引き金を引く役です。
終盤は同じで、入口だけが違います。どちらもアルコキシスルホニウム塩を経由し、イリドの5員環脱離でカルボニルになります。コーンブルム酸化はハロゲン化アルキルにDMSOの酸素が直接SN2でつくのに対し、スワーン酸化はアルコールが出発物で、DMSOを塩化オキサリルで活性化してから反応させます。
参考文献
1) Kornblum, N.; Jones, W. J.; Anderson, G. J. J. Am. Chem. Soc. 1959, 81, 4113. DOI: 10.1021/ja01524a080
3) Kornblum, N.; Jones, W. J.; Anderson, G. J.; Powers, J. W.; Larson, H. O.; Levand, O.; Wraver, W. M. J. Am. Chem. Soc. 1957, 79, 6562. DOI: 10.1021/ja01581a057
3) Dave, P.; Byun, H. S.; Engel, R. Synth. Commun. 1986, 16, 1343.
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