「演習で学ぶ有機反応機構」は良書です。
しかし、良書とは聞くけれども、どのように使えばいいのかわからないという方もいると思います。
そこで、本記事では「演習で学ぶ有機反応機構」の使い方を紹介します。
- 「演習で学ぶ有機反応機構」を使った勉強方法
- 目的に応じたレベルの目安
「演習で学ぶ有機反応機構」は有機反応およびその反応機構を学ぶ大学生や大学院生にオススメの問題集です。
私は早稲田大学で有機化学を専攻していますが、反応機構はこの問題集で学びました。
問題の難易度は高く、挫折してしまう人は多いです。
しかし、この問題集を上手く使えば、確実に有機化学に対する知識は深まります。
この記事では、「演習で学ぶ有機反応機構」の上手な使い方を解説します。
一緒に「演習で学ぶ有機反応機構」で有機化学を学んでいきましょう。
「演習で学ぶ有機反応機構」の良い点
「演習で学ぶ有機反応機構」は、レベル別に重要な有機反応が出題されています。
問題部分には反応物および生成物、反応条件などしか記されていません。
そのため、不親切な問題集に見えるかもしれません。
しかし、解答を見るとものすごく丁寧に反応機構の説明がなされています。
有機化学の教科書や参考書では、巻き矢印が省略されている場合が多いので、これほど丁寧に反応機構が載っている問題集は貴重です。
また、解説は英語ですが、どれも簡単な英語で書かれており、英語が苦手な人でも容易に読み取ることができます。
さらに、各反応の参考文献が記載されているため、より詳しく学びたい人は論文を確認することができます。
今までに見てきた中で、有機反応を学ぶためには間違いなくベストな一冊です。
問題集の使い方
「演習で学ぶ有機反応機構」を使った勉強方法は以下の通りです。
- 反応機構を覚える
- 反応機構を理解する
- 反応機構を描けるようになる
反応機構を覚える
初めから理解しようとする人がいますが、それは効率が悪すぎます。
何事もまずは暗記が必要なのです。
暗記を嫌う人は多いですが、「暗記→理解」が最も効率のいい流れです。
見た瞬間に理解できるのは、2-3%の天才のみです。
反応機構を理解する
反応機構を覚えられたら、それを理解していきましょう。
解答には英語の解説がついていますので、それを読んで理解しましょう。
解説を見ずに自分で説明できる状態になるのが理想です。
反応機構を描けるようになる
反応機構を理解できていれば自然にできるようになっていると思いますが、最終的には反応機構を自分で描けるようになりましょう。
意外と簡素な反応式だけを見ると、反応機構がわからなくなることもあります。
ここまでできれば、有機反応の理解は完璧です!
目的に応じた使い方
「演習で学ぶ有機反応機構」はレベル別にA問題、B問題、C問題と分かれています。
ここでは、そのレベル分けに応じた使い方を紹介します。
学部生向け
学部生はA問題を自力で解けるようになれば十分です。
院試対策として勉強している人もA問題までできていれば、基本的に問題ないです。
問題集の中には、B問題までが院試レベルと書いてありますが、A問題ができれば院試の問題は解けます。
大学院生向け
大学院生はB問題の完答を目指しましょう。
勉強方法はどのレベルでも同じで、まずは反応機構の暗記からです。
研究生活で培った経験もあると思うので、意外とすんなり解けるかもしれません。
プロ向け
プロは言わずもがなC問題に取り組んでいきましょう。
難しい問題ばかりですが、挑戦することが大切です。
有機化学をマスターしましょう!
勉強の工夫
効率よく勉強するためには工夫をすることが大事です。
隙間時間を活用
真面目に勉強していれば、大学生でも時間はありません。
まとまった時間を作るのは難しいことでしょう。
そこで、通学中や授業間など、隙間時間を活用しましょう。
3分あれば、反応機構を一つ確認することができます。
その積み重ねがあるのとないのとでは、成果が全然違います。
3段階のチェック表を活用
各問題の右側に3段階のチェック表がついています。
一応チェックの基準は問題集に書かれていますが、自分なりの基準を設けても構いません。
なんとなくやていると、わからない問題がわからなくなったり、わかっている問題を何度も解いて時間を無駄にしてしまったりすることがあるので、しっかり記録しておきましょう。
おまけ:解き方の工夫
試薬に注目
反応物、生成物だけを見ていても反応はわかりません。
試薬が非常に重要な存在となっています。
「AIBNはラジカル反応の開始剤」など、各試薬にはそれぞれの役割があるので、それを覚えましょう。
そうすれば反応の道筋が見えてきます。
炭素に番号付け
炭素に番号をつけましょう。
どの炭素とどの炭素が結合するのか。
番号をつけることで視覚的にわかりやすくなります。
逆から考える
通常は反応物から生成物への道筋を考えますが、逆から考えるのも有効です。
数学の証明問題でも、結論から何が必要なのかを考えた経験があるのではないでしょうか。
それと同じです。
生成物からどのように電子を流せばいいかを推測することで、反応機構を予測しやすくなります。