ポロニウムは放射性が非常に高く、取扱いには注意が必要な元素です。歴史的には重要な発見とされ、放射能研究の進展に大きく貢献しました。現代では、静電気除去装置など一部の産業用途に限られて使用されています。ポロニウムに関する研究は、その危険性とともに、その利用方法について慎重に進められています。
基本情報
和名 | ポロニウム |
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英名 | Polonium |
語源 | マリー・キュリーの祖国ポーランド (Poland) |
元素記号 | Po |
原子番号 | 84 |
原子量 | (210) |
常温(25℃)での状態 | 固体 |
色 | 銀白色 |
密度 | 9.320 g/cm3(20℃) |
融点 | 254℃ |
沸点 | 962℃ |
発見者 | キュリー夫妻(ポーランド/フランス)[1898年] |
含有鉱物 | ピッチブレンド(ウラン鉱石) |
主な特徴
化学的性質は、テルルやビスマスに類似しており、昇華性がある。
水には溶けず、塩酸にはゆっくり溶ける。硫酸、硝酸には易溶、アルカリにはわずかに溶ける。
酸化数は、-2, +2, +4, +6価を取り、+4価が最も安定である。
ウラン系列の過程でラドン222が崩壊することによってポロニウム218が生じ、更にこれが崩壊していく過程でポロニウム214、ポロニウム210が生じる。自然界に存在するポロニウムでは、ポロニウム210の半減期が138.4日と一番長い。人工的に作られるポロニウム209の半減期は102年である。全ての同位体が強力な放射能を持っている。
マリー・キュリーがポロニウムの存在を示唆した際に、ポロニウムを含む精製物がウランの300倍の放射活性を持つと記した表現が広まり、ウランの300倍の強さの放射能を持つという表現がされることが多い。しかし、実際にはウランの100億倍の比放射能(単位質量当りの放射能の強さ)を有し、ごく微量でも強い放射能を持つ。ただし、自然界にはウランの100億分の1程度しか存在しない。
さらにポロニウムは昇華性があるため内部被曝の危険が大きく、厳重な管理の下で取り扱わなければならない。しかし、ポロニウムが発するα線自体は皮膚の角質層を透過できないため、ポロニウムを体内に取り込まない外部被曝に関しては危険性は少ないともいえる。
アルファ線源や原子力電池に加えてベリリウムと組み合わせて中性子発生源として核兵器の起爆装置にも使われる。
歴史
発見
ポロニウムは1898年にマリー・キュリーとピエール・キュリーによって発見されました。
名前の由来
ポロニウムの発見者キュリー夫人の祖国がポーランドであったため、その国名にちなんで名づけられた。
歴史的用途
ポロニウムは、放射能の研究において重要な役割を果たしました。
1950年代から1960年代にかけては、原子力電池や静電気除去装置などの用途がありました。
主な用途
産業
静電気除去装置に使用され、製造工程で静電気を中和するために利用されます。
一部の研究用および核技術の分野で利用されています。
医療
現在、医療用途ではほとんど使用されていませんが、過去には癌治療などに用いられたこともあります。
生成方法
更新をお待ちください。
化合物
ポロニウム化ナトリウム Na2Po
ポロニウム化カルシウム CaPo
ポロニウム化バリウム BaPo
ポロニウム化マグネシウム MgPo
ポロニウム化ベリリウム BePo
ポロニウム化カドミウム CdPo
ポロニウム化亜鉛 ZnPo
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