SCIENCE

【元素図鑑】マンガン Mn【電池で大活躍】

マンガンに関する情報をまとめました。

元素図鑑

マンガンの基本情報

和名 マンガン
英名 Manganese
語源 鉱石マンガナス  (Manganase)
元素記号 Mn
原子番号 25
原子量 54.94
常温(25℃)での状態 固体(金属)
銀白色
臭い
密度 7.440 g/cm3(20℃)
融点 1246℃
沸点 2062℃
発見者 ガーン(スウェーデン)[1774年]
含有鉱物 軟マンガン鉱

マンガンの主な特徴

  • 遷移金属元素で、周期表第7族に属す
  • 硬くもろい銀灰色の金属で、単体は空気中で酸化されやすく安定ではない
  • +2 から +7 までの広い酸化状態をとり、それぞれ異なる色や反応性を示す
  • 化学的多様性に加え、合金・乾電池・触媒・生体内酵素の成分としても広く利用されている

リチウムの歴史

発見

マンガンの酸化物は古代から顔料(褐色石など)として用いられていました。

金属としては、1774年にスウェーデンの化学者ヨハン・ゴットリーブ・ガーンが酸化マンガンを炭で還元することにより単離しました。

名前の由来

「マンガン(Manganese)」という名前は、マグネタイトと混同されていた鉱石「マグネシア(Magnesia)」に由来し、

ラテン語の “manganēsia” から派生しました。

マンガンの主な用途

マンガンは多くの産業分野で不可欠な金属です:

  • 製鋼・合金: 鉄の脱酸・脱硫に使用され、耐摩耗性の高いマンガン鋼も製造
  • 乾電池: 二酸化マンガン(MnO₂)はアルカリ電池やマンガン電池の正極材料
  • 顔料: 紫、茶、黒色系の陶磁器・ガラス着色剤として利用
  • 化学触媒: 酸化還元反応や水分解反応における電子供与体
  • 生体内酵素: スーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)など、抗酸化作用に寄与

 マンガンの生成方法

マンガンは主に鉱石パイロルス石(MnO₂)から以下の方法で精製されます:

  • 炭素還元法: 高温で酸化マンガンをコークスとともに加熱し金属Mnを得る
  • 電解法: 高純度の電解マンガン金属(EMM)を得る方法。主に中国で生産
  • 化学精製: 各種マンガン塩として工業原料に加工

マンガンを含む化合物

マンガンは多様な酸化数と色彩を持つ化合物を形成します:

  • MnO₂(二酸化マンガン): 黒色固体。電池や酸化剤に使用
  • KMnO₄(過マンガン酸カリウム): 赤紫色の強力な酸化剤。殺菌・分析に使用
  • Mn²⁺: 淡いピンク色のイオン。生体内酵素で重要
  • MnO₄⁻: 酸化数+7。強力な酸化剤として知られる
  • MnCl₂・MnSO₄: 工業用触媒・栄養補助材料などに応用

マンガンに関わる研究事例

マンガンは無機化学・生物無機化学・エネルギー材料の分野で多くの研究対象となっています:

  • マンガン酸化物の触媒研究: 燃料電池、水分解(OER)触媒としての応用
  • マンガン錯体による酸素発生模倣: 光合成系IIのMn₄CaO₅クラスターの人工模倣
  • マンガンレドックス反応の機構解明: 電池反応や酸化還元触媒に関与
  • 生体内での役割研究: 酵素活性、神経機能への影響、必須微量元素としての栄養学研究
  • 過マンガン酸の環境応用: 汚染水処理や土壌中の有機物分解

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