SCIENCE

【高分子の化学的性質】反応性を理解する【プラスチックシリーズ】

高分子も化学物質の一つです。

他の分子同様、化学反応を行います。

脱離反応

高分子から小さな分子を脱離させる反応です。

このとき、脱離した分子の位置で二重結合が導入されます。

塩素であれば、塩化水素として脱離されます。

ヒドロキシ基の場合は水として脱離され、これを「脱水反応」ともいいます。

架橋反応

2本の高分子鎖の間を橋を架けるようにして繋ぐ反応です。

代表的なものに、ゴムの加硫があります。

光二量化反応

二量化反応とは、2個の同種の分子が結合する反応です。

すなわち、二量体を形成する反応です。

光二量化反応では、光を利用してその反応を起こします。

二重結合をもつ高分子に紫外線を照射すると、高分子間にシクロブタン環が生成されます。

これが両分子が橋架け構造によって結合するのです。

放射化二量化反応

高分子にガンマ線などの放射線を放射すると、C-H結合が切断されます。

そして、その部分に炭素ラジカルが発生します。

発生した炭素ラジカルが他の分子のCH2を攻撃すると、水素ラジカルが脱離し、C-C結合が生成され架橋構造となります。

環化反応

高分子鎖がもつ置換基をペンダント基ということがあります。

これは、ネックレスについたペンダントのようであるから、このように呼ばれています。

ビニロンの合成

酢酸ビニルを高分子化すると、ポリ酢酸ビニルとなります。

これを加水分解し、酢酸部分を除くと、ポリビニルアルコールとなります。

このポリビニルアルコールにホルムアルデヒドを反応させるとホルマール化が起こり、1,3-ジオキサン構造をもつビニロンになります。

ビニロンは遷移強度が高く、耐薬品性なども優れていることから、合成繊維として広く用いられています。

炭素繊維の合成

アクリロニトリルを高分子化すると、ポリアクリロニトリルとなります。

これを加熱すると、ニトリル基同士の間で付加反応を起こし、六員環構造が連続した化合物となります。

さらにこれを加熱すると、脱水素化して、芳香族構造のポリキ二ザリンとなります。

ポリキ二ザリンを400~700℃で加熱すると、高分子鎖間でHCNが脱離して縮合した化合物となり、これをさらに約3000℃で加熱すると、炭素繊維ができあがります。

最後に

高分子も化学反応によって、様々な性質をもたせることができます。

これによって、高分子の性能は向上されていくのです。