ナトリウムに関する情報をまとめました。
ナトリウムの基本情報
和名 | ナトリウム |
---|---|
英名 | Sodium |
語源 | ラテン語「炭酸ナトリウム(natron)」, 英語名はアラビア語「頭痛を治す(suda)」 |
元素記号 | Na |
原子量 | 22.99 |
常温(25℃)での状態 | 固体(金属) |
色 | 銀白色 |
臭い | ー |
密度 | 0.971 g/cm3 (20℃) |
融点 | 97.81℃ |
沸点 | 883℃ |
発見者 | デービー(イギリス, 1807年) |
含有鉱物 | 岩塩 |
ナトリウムの主な特徴
- アルカリ金属元素で、非常に反応性が高い銀白色の金属
- 常温ではナイフで切れるほど軟らかい
- 水と激しく反応して水素ガスと水酸化ナトリウム(NaOH)を生成する
- 自然界では単体で存在せず、塩化ナトリウム(食塩)などの化合物として広く分布している
- 生体にとって必須のミネラルであり、神経伝達や浸透圧の調節に重要な役割を果たす
ナトリウムの歴史
発見
ナトリウム単体は1807年、イギリスの化学者ハンフリー・デービーによって水酸化ナトリウムの電気分解により初めて単離されました。
同時期にカリウムも同様の手法で単離され、アルカリ金属の電解法による分離が確立されました。
名前の由来
「ナトリウム(Sodium)」の名称は、ラテン語の「soda(ソーダ)」に由来しますが、
元素記号「Na」はアラビア語の「natrun(ナトロン=炭酸ナトリウムの鉱石)」を起源とするドイツ語「Natrium」から取られています。
日本語の「ナトリウム」はこのラテン語・ドイツ語由来の音写です。
ナトリウムの主な用途
ナトリウムおよびその化合物は以下のような用途に広く使われています:
- 食塩(塩化ナトリウム): 調味料・保存料・医療用電解質
- 水酸化ナトリウム(苛性ソーダ): 石鹸・紙・染料・アルミニウム精錬に不可欠な強塩基
- ナトリウム蒸気ランプ: 独特の黄色光を放つ照明(道路灯・植物育成)
- 金属ナトリウム: 還元剤・冷却材・有機合成の中間体に使用
- 医薬品・洗剤: 各種ナトリウム塩(アスピリンNa、リン酸Naなど)が利用される
ナトリウムの生成方法
金属ナトリウムは工業的には以下の方法で製造されます:
- 溶融塩電解法: 塩化ナトリウム(NaCl)を高温で溶融し、電気分解により陽極で塩素、陰極でナトリウムを得る(ダウ法)
- 金属ナトリウムの回収: 反応後の還元プロセスから再利用されることもある
ナトリウムを含む化合物
ナトリウムはほぼすべての陰イオンと塩を形成し、日常生活から工業まで広く関わっています:
- 塩化ナトリウム(NaCl): 調味料・電解質・海水由来の主要成分
- 水酸化ナトリウム(NaOH): 強塩基。石鹸、紙パルプ、染料、排水処理などに使用
- 炭酸ナトリウム(Na2CO3): 洗剤やガラス工業に使用
- 重炭酸ナトリウム(NaHCO3): ベーキングパウダー・胃薬・消火剤
- ナトリウムアマイド(NaNH2): 有機合成用の塩基・還元剤
ナトリウムに関わる研究事例
ナトリウムに関する研究は、医療・材料・エネルギー分野を中心に活発に行われています:
- ナトリウムイオン電池: リチウムに代わる次世代電池として注目。資源の豊富さが利点
- 血圧とナトリウム摂取の関連研究: 高ナトリウム摂取と心血管疾患の関係を探る疫学研究
- 高速増殖炉用冷却材: 液体ナトリウムによる熱伝導効率・安全性の評価
- 光源材料: ナトリウムランプの発光機構とスペクトル解析による高効率化
- 生理学的研究: ナトリウムチャネルの働きと神経伝達メカニズムの分子解明
筆者の薦める1冊

元素に関する問題がレベル別に多く掲載されており、一般的な知識からニッチな知識まで幅広く学べます。また、最後には全元素のデータが載っており、わからないことがあればすぐに調べることができます。
これを読めば、元素マスターに一歩も二歩も近づけます!
リンク

この本の一番の魅力は、とても美しい画像とともに学べるということです。
「こんなに美しい元素があったんだ、、!」という新しい発見がたくさんあると思います。
理系に限らず、文系にもおすすめの一冊です。
リンク

実は鉱石好きだった宮沢賢治。
教科書にも作品を残す彼の科学者としての一面に注目した一冊です。
リンク