有機化学を勉強し始めようと思っている人の初めに当たる壁が「教科書選び」です。
今回は、有機化学を学びたい高校生や大学生を対象に、オススメの教科書をレベル別に紹介します。
オススメの教科書と言えど、かなりたくさんの種類を紹介します。
学校の先生から紹介される教科書は数少ないと思いますが、大学レベルの教科書には良書が多く存在します。
ここでは教科書を幅広く知ってもらい、自分に最も適したものを選んでもらうことを目的とします。
教科書の必要性
言うまでもないですが、専門的に有機化学を学ぼうとすると教科書は必須となります。
なぜなら、大学の講義のみでは不十分であるからです。
大学の講義では、重要な部分や先生が教えたい部分を中心に取り扱います。
しかし、実際は学ぶべき内容がもっと膨大です。
そのため、自分で教科書を持ち、自ら学ぶことが必要となります。
教科書の選び方
有機化学を学ぶ上で教科書が必要になることはわかっていただけたと思います。
では、どのように教科書を選べばいいのでしょうか。
高校レベルまでのものとは異なり、一定水準を超えている教科書は限られます。
簡単に言うと、有機化学において一般的に教科書と呼べる書籍はここに全て載せました。(上級編を除き、邦訳されているものに限る)
有機化学を学ぶ人の99.5%以上はこれらのいずれかを使って勉強していると思います。
以下に、レベル別にして一通り紹介しました。
有機化学が初めてという方は、入門編の中から探してみてください。
有機化学について少し知識があるという方は、中級編から探してみてください。
一通り有機化学について学び終えたという方は、上級編から探してみてください。
では、入門編から順番に見ていきましょう。
オススメの教科書:入門編
ここでは、高校化学から大学で学ぶ有機化学への導入に使いやすい教科書を紹介しています。
中級編以降の教科書に取り組む前に読んでおくといいですが、時間やお金が厳しいという方は中級編の教科書からスタートしても良いかもしれません。
ハート基礎有機化学
基礎的な内容が広く浅く網羅されています。
間違いなく分かりやすいですが、それなりに分量があります(約650ページ)。
解答が入手しづらいという欠点もあります。
ビギナーズ有機化学
名前の通り、有機化学のビギナー向けに書かれた一冊です。
「本書を踏み台にして、正統な有機化学の教科書にぜひ取り組んでほしい」と書かれていますので、ぜひその通りにしてみてください。
ベーシック有機化学
基礎的な部分が広く解説されています。
分量も入門書として適しています。
オススメの教科書:中級編
中級編では、学部生が理解しておくべき内容を網羅した教科書を紹介します。
大学の教科書として採用されているものの多くは、ここにあるものです。
マクマリー有機化学
筆者が大学で用いている教科書の筆頭です。
古くから人気のある一冊で、カラーを用いて視覚的に理解させようとしていることが特徴です。
最近ではあまり珍しくないですが、反応機構を示した教科書の先駆けでもあります。
ウォーレン有機化学
現在、最も流行っている教科書の一つです。
非常に詳細に書かれており、大学院生でも十分読み応えのある内容となっています。
パイン有機化学
モノクロで書かれている古き一冊です。
体系的に解説されていますが、古いため最新情報に対応していないことが欠点です。
モリリン・ボイド有機化学
古くから定評のある一冊ですが、邦訳版は遅れをとっています。
読みたい方は原著の最新版を購入することをオススメします。
ボルハルト・ショアー現代有機化学
有機化学を学ぶ学生には適した分量・レベルとなっています。
フルカラーで見やすく、演習問題も適量あります。
ジョーンズ有機化学
反応機構が詳細に解説されている一冊です。
比較的新しい教科書です。
オススメの教科書:上級編
上級編では、中級編までを一通り学び終えた方向けの教科書を紹介します。
大学院生はこのあたりを理解することが求められるでしょう。
大学院講義有機化学
この記事で紹介している中では唯一の純国産教科書です。
日本産の教科書ということもあり、質はかなり高いです。
参考文献が豊富に紹介されているので、より専門的な学習がしやすいです。
マーチ有機化学
高度かつ専門的な内容が記載されています。
参考文献が膨大であり、辞書として使うこともできます。
Advanced Organic Chemistry
『ケアリー有機化学』の名で邦訳されている教科書です。
マーチ有機化学を並び、世界的な名著として有名です。
Oxford Chemistry Primers
あまり有名ではないですが、このようなものもあります。
マスター向けに書かれており、各トピックごとに分かれています。
各々100ページ程度で2,500円くらいなので、比較的買いやすいのではないでしょうか。
ここで紹介しているもの以外にも多くの書籍がありますので、ぜひ調べてみてください。