大学で教えている先生は全員”教授”というイメージがありませんか?
実は大学の先生には、様々な役職が存在します。
今回は、大学教員に注目していきます。
大学での役職
大学教員には多くの役職があります。
最も有名な役職名は”教授”でしょう。
その他にも、助教や准教授と呼ばれる役職が存在します。
まずはそれぞれの役職がどのような役割を果たしているのかを見ていきましょう。
教授とは
教授は非常にたくさんの仕事を抱えています。
大学に関わる主な仕事として、
- 学生の指導(講義)
- 研究の指導
- 自らの研究
などがあります。
また、大学の運営に関わっている教授も多く存在します。
さらには、学外の仕事も多くあるため、教授は多忙を極めます。
教授になるためには、博士後期課程終了後にポスドク期間を経て、
講師 → 准教授 → 教授
となるのが一般的な流れです。
准教授とは
准教授の仕事内容は教授と似ています。
異なる点は、大学運営に関わるかどうかです。
准教授の場合、大学の運営には関わらないケースが多いです。
助教とは
かつて、後述する「助手」という仕事は、雇用形態により業務内容が大きく異なり問題になっていました。
そこで、2007年度より新たに「助教」が導入されました。
助教は、”自らの教育研究を行うこと”を主な職務とします。
したがって、助教は助手と異なり、授業科目を担当することができます。
「助教授」でなく「助教」が正式名称
【参考リンク】文部科学省 ”大学教員の職の在り方について”
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/houkoku/attach/1342439.htm
講師とは
講師とは、教授や助教授(今の准教授)に準ずる職務に従事することが元得られる仕事です。
先述した通り、この役職は教授になる過程で通ります。
そのため、教授や准教授に求められる能力が、講師にも同様に求められます。
講師の中には、任期を定めない「専任講師」と任期を定める「任期付き講師」が存在します。
助手とは
助手とは、教授や准教授の職務を助ける立場であると定められています。
助手の仕事内容は、
- 講義や演習の準備
- 実験や演習における実演
- 学科における事務
などと多岐に渡ります。
したがって助手の中にも、教育研究を補助する立場の助手もいれば、独立した若手研究者としての助手もいます。
専任講師と非常勤講師の違い
ここから先は、大学教授へのキャリアパスに含まれる「講師」を中心に解説していきます。
まず、一言に講師と言っても、専任講師と非常勤講師は全く異なる役職です。
専任講師はフルタイム
ここでは講師と非常勤講師を区別するために、講師のことを「専任講師」と言うことにします。
専任講師はフルタイムの仕事です。
多くの講師は、大学における授業科目の担当のみならず、
- 学生の研究指導
- 大学や学部の運営の補助
などの幅広い業務を行います。
非常勤講師はパートタイム
非常勤講師はパートタイムの仕事です。
したがって、一般的には担当している授業の数に応じた給与が支払われます。
専任講師とは異なり、仕事内容が授業科目の担当のみということも非常勤講師の特徴です。
講師になるためには
この記事を読んでいる人の中には、大学の講師になりたいという人もいるのではないでしょうか。
ここでは、大学の専任講師になるために必要なことを紹介します。
必要な資格
大学に講師として採用されるためには、文部科学省の大学設置基準により定められている資格が必要となります。
一般的に、教授や准教授になるためのキャリアパスである講師は、大学設置基準では教授や准教授になることが可能な者が講師になれるとされています。
具体的に教授や准教授になるために必要な資格として、
- 博士の学位を有し、研究上の業績を有する者
- 研究上の業績が博士の学位に準じると認められた者
- 専攻分野について、優れた知識および経験を有すると認められた者
などが挙げられます。
【参考リンク】大学の教員組織に関する関係条文等
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/houkoku/attach/1343036.htm
必要な能力
講師になるためには、専門性や実績が必要となります。
先述したように、博士の学位またはこれに準じる研究業績が必要です。
とても難しいことのように聞こえますが、大学で学生を指導する立場としては当然のことと言えるかもしれません。
応募方法
大学の講師は、一般的に公募による採用が行われます。
公募の多くは、
- JREC-IN
- 学会のホームページ
- 大学のホームページ
に掲載されます。
また、応募したいものが見つかった後は、
- 業績を証明する書類や主要論文の複写
- 教育歴を証明する書類
- 教育を行うにあたって抱負をまとめた書類
を専用書式にまとめ、大学や公募担当の部署に送付することで応募できるのが一般的です。
社会人からの就職は可能か
専攻分野についての優れた知識および経験を有すれば、社会人が大学の講師になることは可能です。
実際に多いケースとして、公的研究機関や起業における研究での成果を論文として発表し、その論文をもとに博士の学位を取得して大学の講師に着任するという流れがあります。
この話は希望を失う人も多いと思うので、あくまでも参考程度にお読みください。
大学の講師となるためには、コネクションがあると有利になります。
より直接的に言うと、教授や准教授と知り合いであれば、採用は大きく近づくでしょう。
声を掛けてもらうことができれば、採用はほぼ確実です。
昇進について
大学の講師は、特任講師や非常勤講師を除き、任期の定めがないパーマネント職であるので、着任後に一定の成果が認められれば昇進していきます。
一般的には、准教授、教授と進んでいきます。
講師の給料
大学の講師の給料も気になる部分だと思います。
給料は、年齢や雇用形態によって大きく変わります。
専任講師の月収
大学における専任講師の月収は40万円程度であると言われています。
これに加え、通勤手当などの種々の手当が支払われます。
この数字を見ると、若干高収入であるように見えるかもしれません。
しかし、専任講師の多くは40代であり、専任講師になるまでは収入が安定しないことなどを考えると、決して高い額とは言えません。
非常勤講師の月収
非常勤講師の月収は、担当する授業の数によって大きく異なります。
一般的には、1つの講義あたり月額数万円程度と言われています。
そのため、非常勤講師のみで生計を立てるためには、複数の大学で非常勤講師を兼任することが必要となるでしょう。
講師に向いている人
大学における講師は、自身の研究を行うのみでなく、
- 大学の講義
- 学部・院生の研究指導
などを行う必要があります。
さらに、昇進した場合は大学や学部の運営に関わることもあります。
したがって、大学の講師は研究者と教育者の両者に長けた人物であることが求められます。
よって、
- 研究を続けたい人
- 次世代の人材育成に携わりたい人
が大学の講師に向いていると言えるでしょう。