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【元素図鑑】ヨウ素 I【じゃがいもを青紫色にする例のアレ】

ヨウ素に関する情報をまとめました。

元素図鑑

ヨウ素の基本情報

和名 ヨウ素
英名 Iodine
語源 ギリシャ語「スミレ色(iodes)」
元素記号 I
原子番号 53
原子量 126.9
常温(25℃)での状態 固体
黒紫色
臭い
密度 4.930 g/cm3(20℃)
融点 113.6℃
沸点 184.4℃
発見者 クールトア(フランス)[1811年]
含有鉱物 ヨウ化銀鉱

ヨウ素の主な特徴

  • 原子番号53のハロゲン元素で、周期表17族に属す
  • 常温では黒紫色の光沢ある固体で、昇華しやすく、特有の刺激臭を放つ紫色の蒸気を生じる
  • 化学的には酸化力のあるハロゲンの一種ですが、同族のフッ素や塩素に比べて反応性は低く、酸化数の変化(−1, 0, +1, +3, +5, +7)を取りやすい多彩な化合物を形成する
  • 生体にとって必須元素であり、甲状腺ホルモン(T₃, T₄)の構成要素として重要

ヨウ素の歴史

発見

ヨウ素は1811年、フランスの化学者ベルナール・クールトワ(Bernard Courtois)によって発見されました。

火薬製造の工程で海藻灰を処理していた際、硫酸によって未知の紫色の蒸気が発生することが観察され、のちにハンフリー・デービーらの研究で新元素であることが確定しました。

名前の由来

ヨウ素(Iodine)の名前は、ギリシャ語の「ioeidēs(紫色の)」に由来しており、その昇華蒸気の紫色が命名の由来です。

ヨウ素の主な用途

ヨウ素はその酸化還元特性と生理的役割を活かして、以下のような幅広い分野で利用されています:

  • 医療用途: ヨウ素造影剤、殺菌剤(ヨードチンキ、ポビドンヨード)、放射性ヨウ素治療(I-131)など
  • 栄養補助: 食塩へのヨウ素添加(ヨウ素強化塩)は甲状腺疾患の予防に不可欠
  • 有機合成: ヨウ素は触媒や試薬(例:ヨウ素試薬、ヨードホルム反応)として活用
  • X線造影剤: ヨウ素原子の高い原子番号を利用したCTスキャン用造影剤
  • 液晶材料: ヨウ素化合物は一部の液晶ディスプレイに添加される

ヨウ素の生成方法

ヨウ素は自然界には主に海藻や地熱水、油田水中のヨウ化物(I⁻)として存在します。
日本では地熱水由来のヨウ素生産が盛んです。代表的な生成方法は以下の通りです:

  • 酸化法: ヨウ化物を酸化してI₂を遊離させ、蒸気として回収し固体に凝縮
  • ブローアウト法: 油田水を空気で吹き上げ、ヨウ素蒸気を集めて精製

日本はチリに次ぐ世界第2位のヨウ素生産国です。

ヨウ素を含む化合物

ヨウ素は多様な酸化状態を取り、多彩な化合物を形成します:

  • I₂(二原子分子ヨウ素): 分子状で昇華性を持ち、化学分析や殺菌剤に使用
  • KI(ヨウ化カリウム): 栄養補助、甲状腺治療に使用される基本化合物
  • ICl(ヨウ素一塩化物): 電気陰性度の差を利用した求電子付加試薬
  • HIO₃(ヨウ素酸): 強酸性酸化剤で、化学分析にも利用
  • 放射性ヨウ素(I-123, I-131): 医療用診断・治療で使用

ヨウ素に関わる研究事例

ヨウ素に関する研究は以下のような分野で進行しています:

  • 甲状腺機能と放射性ヨウ素治療: バイオトレーサーとしての挙動解析やI-131による甲状腺がん治療の最適化
  • 放射性ヨウ素の環境挙動: 原子力災害後のI-129/I-131の拡散と除去技術
  • 有機合成触媒: ヨウ素酸化剤(Dess–Martin試薬など)による選択的酸化反応
  • エネルギー材料: 固体電解質中でのヨウ素のイオン伝導特性に基づく電池材料研究
  • 新型抗菌材料: ヨウ素含有高分子による持続的な抗菌コーティングの開発

参考図書

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