インジウムに関する情報をまとめました。
インジウムの基本情報
和名 | インジウム |
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英名 | Indium |
語源 | ラテン語「藍色(indicum)」 |
元素記号 | In |
原子番号 | 49 |
原子量 | 114.8 |
常温(25℃)での状態 | 固体(金属) |
色 | 銀白色 |
臭い | ー |
密度 | 7.310 g/cm3 (25℃) |
融点 | 156.61℃ |
沸点 | 2072℃ |
発見者 | リヒラー, ライヒ(ドイツ)[1863年] |
含有鉱物 | 閃亜鉛鉱 |
インジウムの主な特徴
- 原子番号49の金属元素で、周期表13族に属するポスト遷移金属
- 銀白色の柔らかい金属であり、指で押してもへこむほど展性が高く、非常に薄く伸ばすことができる
- 電気伝導性と熱伝導性も良好で、金属としては比較的低い融点(156.6°C)をもつ
- 自然界には主に亜鉛鉱石(スファレライト)に微量含まれ、副産物として回収される
- 主な用途は、透明導電膜(ITO)やはんだ材料、半導体合金など、電子・光学分野に広がっている
インジウムの歴史
発見
インジウムは1863年、ドイツのフェルディナント・ライヒ(Ferdinand Reich)とヒエロニムス・テオドール・リヒター(Hieronymus Theodor Richter)によって発見されました。
彼らはスペクトル分析中、亜鉛鉱石から鮮やかな藍色のスペクトル線を観測し、既知の元素では説明できないことから、新元素として報告しました。
名前の由来
インジウムの名称は、発見時に観測されたスペクトルの「インディゴ色(藍色)」にちなみ、ラテン語の「indicum」から命名されました。
スペクトル分析による発見例としては、セシウムやルビジウムと並ぶ初期のものです。
インジウムの主な用途
インジウムは以下のような用途で広く使用されています:
- ITO(酸化インジウムスズ): 液晶ディスプレイ(LCD)、有機EL、タッチパネルの透明電極として不可欠
- はんだ材料: 低融点・高信頼性の鉛フリーはんだに使用。柔軟性があり真空封止などにも応用
- 半導体合金: InGaAs(インジウムガリウムヒ素)、InP(インジウムリン)などの化合物半導体として、光通信やレーザーに応用
- ベアリング潤滑被膜: 高温高圧下でも潤滑性を保ち、航空宇宙機器に利用
- 核融合研究: 放射線遮蔽やプラズマ対向材の可能性も研究中
インジウムの生成方法
インジウムは主に亜鉛精錬の副産物として得られます:
- 湿式精錬: 亜鉛製錬時にインジウムが溶液中に残留し、これを沈殿法や抽出法で回収
- 乾式精錬: 高温での揮発分離と精製工程によってインジウムを抽出
世界的な産地は中国、カナダ、韓国などで、リサイクルによる回収も進んでいます。
インジウムを含む化合物
インジウムは主に+3価(一部+1価)で化合物を形成します。代表的なものには:
- In₂O₃(酸化インジウム): ITOの主成分。透明導電性を持つセラミック材料
- InP(インジウムリン): 光通信用レーザーダイオードや高速トランジスタに使用
- InSb(インジウムアンチモン): 赤外線センサや磁気センサに応用
- InCl₃(塩化インジウム): 触媒や反応剤として使用
インジウムに関わる研究事例
インジウムに関する研究は次のような分野で活発に行われています:
- 次世代ディスプレイ材料: ITO代替材料(IGZO、グラフェン、CNTなど)との比較・最適化
- 量子ドット: InP系量子ドットの合成と可視光発光特性の制御
- 半導体デバイス: 高速通信用のInPベース光電子素子、InGaAs系トランジスタ
- 低融点はんだ研究: In-SnやIn-Ga合金による低温接合の技術開発
- リサイクル技術: 廃LCDからのインジウム回収技術の開発と効率化
参考図書

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