とにかく無次元数をまとめていく記事です。
随時更新していき、無次元数の完全網羅を目指します。
無次元数とは?

無次元数の定義
無次元数とは、「次元指数がゼロとなる数」のことです。
簡単に言ってしまえば、「単位をもたない数」です。
無次元数の次元は1なので、注意してください。
他にも、無次元量や無名数とも呼ばれる。
なぜ無次元数は単位をもたないのか
現象を表す、物理量の相互関係を表す式を見ます。
式の両辺において、単位は等しくなっている必要があります。
したがって、その両辺の物理的因子を組み合わせると、次元が相殺されるというわけです。
このようにして、無次元の物理的意味をもつ項が得られます。
無次元数の歴史

19世紀、フランスの数学者ジョセフ・フーリエとスコットランドの物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが次元と単位の概念を発展させました。
ジョセフ・フーリエはフーリエ変換のフーリエで、ジェームズ・クラーク・マクスウェルはマクスウェル方程式のマクスウェルです。
その後、イギリスの物理学者オズボーン・レイノズルとレイリー卿が、物理学における無次元数の理解に貢献しました。
オズボーン・レイノズルは、無次元数としても有名なレイノズル数のレイノズルです。
そして、1900年代の初頭に多くの無次元数が作られた。
2000年代初頭には、無次元数の単位を「”uno”(ウノ)」とすることが提案されたが、却下された。
無次元数一覧
力学
反発係数 e
2物体における、衝突前の近づく速さと衝突後の遠ざかる速さの比

流体力学
ヌッセルト数 Nu
熱伝導を基準として測った熱流束
\[
Nu = \frac{\alpha L}{\lambda_1}
\]
α:流体の熱伝達率 [J / (m2 s K)]
L:代表長さ [m]
λ:流体の熱伝導率 [J / (m s K)]
プラントル数 Pr
運動量と熱の拡散のしやすさの比
\[
Pr = \frac{\nu}{\alpha} = \frac{\eta c_p}{k}
\]
ν = η/ρ : 動粘度
α = k/(ρcp) : 温度拡散率
η : 粘度 [Pa s]
k : 熱伝導率 [J s-1m-1K-1]
ρ : 密度 [kg m-3]
cp : 比熱 [J kg-1K-1]
レイノズル数 Re
ある境界面をもって流れる流体、あるいは流体中を運動する物体にはたらく慣性力と摩擦力の比
\[
Re = \frac{\rho v L}{\mu} = \frac{v L}{\nu}
\]
\(v\): 物体の流れに対する相対的な平均速度 [m/s]
\(L\): 特性長さ(流体の流れた距離など) [m]
\(\mu\): 流体の粘性係数 [Pa·s 、 N·s/m² 、 kg/(m·s)]
\(\nu\): 動粘性係数 (ν = μ/ρ) [m²/s]
\(\rho\): 流体の密度 [kg/m³]
材料工学
ゾンマーフェルト数
\[
S=\frac{\eta n}{P}\left(\frac{r}{c}\right)^2
\]
ポアソン比
物体に弾性限界内で応力を加えたとき、応力と垂直方向に発生するひずみと応力と平行方向に発生するひずみの比
電磁気学
比誘電率
比誘磁率
電気感受率
磁化率
素粒子物理学
微細構造定数
光学
屈折率
アッベ数
振動子強度
通信工学
アーラン
SN比
化学
八田数 Ha
気液接触系で、気相内成分が液体に吸収されるとき、化学反応を伴う場合の吸収速度と伴わない場合の吸収速度の比
チーレ数 φ
触媒粒子内における反応速度と拡散速度の比
シャーウッド数 Sh
分子拡散を基準として測った物質流束
シュミット数 Sc
運動量と物質の拡散のしやすさの比
気象学
比湿
その他
数学定数
偏差値
更新履歴
2020/07/19 | 投稿 |
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2021/04/13 | ヌッセルト数を追加 |
2021/04/16 | プラントル数、レイノズル数を追加 |
2021/10/11 | ゾンマーフェルト数を追加 |