バートン・マクコンビー脱酸素反応は、有機化合物中のヒドロキシ官能基を水素で置換してアルキル基を与える有機反応である。イギリスの化学者、Sir Derek Harold Richard BartonとStuart W. McCombieにちなんで命名された。
この脱酸素反応はラジカル反応である。関連するバートンの脱炭酸では、反応物はカルボン酸である。
概要
- アルコールをチオカルボニル化合物へと変換後、ラジカル条件で脱酸素化を行う反応
- ヒドロキシル基の除去法として最もポピュラーなものの一つ
歴史
イギリスの化学者、Sir Derek Harold Richard BartonとStuart W. McCombieらによって開発された。
反応機構
反応機構は、触媒的なラジカル開始ステップと伝播ステップからなる。まず、アルコールはチオノエステルやキサンテートなどの反応性カルボチオイル中間体に変換される。AIBNの加熱によりそのホモロジカルが開裂し、2つの2-シアノプロップ-2-イルラジカル9が生成し、それぞれがトリブチルスタナン3からプロトンを抽象化してトリブチルスタニルラジカルを生成する。トリブチルスズラジカルは、硫黄原子で攻撃され、同時にC-S π結合がホモロジカルに切断されることにより、キサンテート基を抄出する。これにより、炭素を中心としたラジカルが残り、R-O σ結合のホモロジカル切断によりC-O π結合が形成され、アルキルラジカルとトリブチルスズキサンテートが生成される。この化合物の硫黄スズ結合は非常に安定であり、この反応の駆動力となる。アルキルラジカルは、次に新しいトリブチルスタナン分子から水素原子を取り出し、目的の脱酸素生成物と、増殖可能な新しいラジカル種を生成する。
実験手順
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実験のコツ
アルケンとジエンの直接カップリングは副反応であるため、ニッケルの使用量は少なくする必要がある。
応用例
“Total Synthesis of the Alleged Structure of Crenarchaeol enables Structure Revision”
Holzheimer, Mira; Damsté, Jaap S.; Sinninghe, Schouten, Stefan; Havenith, Remco W. A.; Cunha, Ana V.; Minnaard, Aiaan J., Angewandte Chemie (International ed.). 2021, 60, 32, 17504–17513.
参考文献
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