【元素図鑑】バークリウム Bk【次の新元素をつくるための標的になる】
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バークリウムは、アクチノイド元素で、原子番号97の元素です。
どうやって作るのか——中性子を当てて1段ずつ重くする
ウランより重い元素(超ウラン元素)の多くは、原子炉の中で中性子を当てることで作られます。手順は意外に単純で、2つの段階の繰り返しです。
| 段階 | 何が起こるか | 原子番号 |
|---|---|---|
| ① 中性子を吸う | 原子核に中性子が入り、質量数が1増える | 変わらない |
| ② β崩壊する | 核の中で中性子が陽子に変わり、電子が飛び出す | 1増える=次の元素になる |
| ③ ①②を繰り返す | ウラン→ネプツニウム→プルトニウム→アメリシウム→… | 階段を1段ずつ登っていける |
ところが、フェルミウムで行き止まりになる
この方法は原子番号100のフェルミウムまでしか通用しません。理由は次の2つです。
| 行き止まりの理由 | 中身 |
|---|---|
| β崩壊してくれない | フェルミウムより先では、中性子を吸った核がβ崩壊で次の元素になる前に、α崩壊や自発核分裂で壊れてしまう |
| 寿命が短すぎる | 次の中性子が当たるのを待つ間に崩壊する→階段を1段登る時間が足りない |
ここから先の元素を作るには方法を変えるしかありません。加速器で重い原子核同士をぶつけて融合させる——超重元素の合成がそれです。
バークリウムの役目——次の元素をつくるための「的」
バークリウムに実用品としての用途はありません。それでも作られ続けているのは、新しい元素を合成するときの標的になるからです。
超重元素は、加速したイオンを重い標的にぶつけて作ります。このとき標的がどれだけ重いかが決定的です。標的の原子番号と、ぶつけるイオンの原子番号を足したものができる元素の原子番号になるからです。
| 欲しい元素 | 必要なこと |
|---|---|
| 原子番号の大きい元素 | 標的を重くするか、ぶつけるイオンを重くする |
| ぶつけるイオンは重くしづらい | 重いイオンどうしの融合は確率が急激に下がる→標的を重くするほうが有利 |
| バークリウムのような重い標的 | カルシウムのイオンを当てることで原子番号117の元素が合成された |
名前の由来——地名を元素名にした先例にならった
バークリウムは、合成されたカリフォルニア大学バークレー校の地名にちなんで名づけられました。
この命名には先例があります。スウェーデンのイッテルビーという村の名からはイットリウム・テルビウム・エルビウム・イッテルビウムという4つの元素名が生まれました。バークリウムは、その真上にある元素(テルビウム)が地名由来であることを意識した命名です。周期表の縦の並びと、名前の由来の並びを合わせたというわけです。
バークリウムの基本情報
| 和名 | バークリウム |
|---|---|
| 英名 | Berkelium |
| 語源 | 発見された場所であるバークレー市 (Berkeley) |
| 元素記号 | Bk |
| 原子番号 | 97 |
| 原子量 | (247) |
| 常温(25℃)での状態 | ー |
| 色 | ー |
| 臭い | ー |
| 密度 | 14.790 g/cm3(20℃) |
| 融点 | 1047℃ |
| 沸点 | ー |
| 発見者 | トンプソン 他(アメリカ)[1949年] |
| 含有鉱物 | ー |
バークリウムの主な特徴
- 原子番号97のアクチノイド元素であり、人工的に合成された放射性元素
- 銀白色の金属と推定されていますが、自然界には存在せず、主に核反応を通じて人工的に合成される
- 化学的には、+3価の酸化状態で安定し、他のアクチニドやランタニドと類似の性質を持つ
- 実用用途はほぼなく、主に超重元素合成のための研究材料として重要
バークリウムの歴史
発見
バークリウムは1949年12月、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校のグレン・T・シーボーグ(Glenn T. Seaborg)、アルバート・ギオルソ(Albert Ghiorso)らの研究グループにより、アメリシウム-241に加速したアルファ粒子を衝突させることで合成・発見されました。
最初に得られた同位体は Bk-243 で、半減期は約5時間でした。
名前の由来
元素名「バークリウム(Berkelium)」は、発見地であるカリフォルニア大学バークレー校に由来します。
同大学では他にもカリホルニウム(Californium)など、複数の超ウラン元素が発見されています。
バークリウムの主な用途
バークリウムは非常に希少で高放射能を持つため、工業的・医療的な用途はありません。
しかし、研究レベルでは以下のような重要な役割があります:
- 超重元素の合成: 特にテネシン(Ts)などの標的物質として利用
- アクチニド系列の化学的性質比較: イオン半径、酸化状態、錯形成傾向の分析
- 高放射性環境下での物質の挙動研究
バークリウムの生成方法
バークリウムは、高フルエンスの中性子源(HFIRなど)において以下のようにして合成されます:
- キュリウム-244またはアメリシウム-241を標的とする
- 高エネルギーのアルファ粒子または中性子を照射
- 中性子捕獲やベータ崩壊を経てバークリウムが生成される
合成には時間と高コストがかかるため、微量(ナノグラム単位)での生産にとどまります。
バークリウムを含む化合物
バークリウムは主に+3価の酸化状態で存在し、他のアクチニドと類似した化合物を形成します。
確認されている主な化合物には以下があります:
- BkCl3(塩化バークリウム):粉末状の塩。揮発性は低い
- Bk2O3(酸化バークリウム):白色または淡いピンク色。固体として得られる
- BkF3(フッ化バークリウム):結晶性固体。ランタニドフッ化物と類似
水溶液中では、Bk3+イオンとして存在し、他のLn3+やAm3+、Cf3+との分離・抽出の研究対象となっています。
バークリウムに関する研究事例
バークリウムは以下のような研究分野で活用されています:
- 元素合成研究: ロシアのドゥブナ合同原子核研究所にて、Bk-249 を標的としてテネシン(Ts)が合成された
- 分離科学: Ln3+とAn3+の分離技術の最適化のための抽出クロマトグラフィー研究
- 核物理学研究: アルファ崩壊や自発核分裂に関する核種の崩壊データ収集
- 放射線による材料劣化: 極端な放射線下における材料の物性変化の検証
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よくある質問
新しい元素を合成するときの標的になるからです。超重元素は加速したイオンを重い標的にぶつけて作り、標的の原子番号とイオンの原子番号を足したものができる元素の原子番号になります。重いイオンどうしの融合は確率が急激に下がるため標的を重くするほうが有利で、バークリウムにカルシウムのイオンを当てて原子番号117の元素が合成されました。
加速器の性能ではなく標的の調達です。バークリウムのような重い元素を標的に使えるだけの量つくるには、原子炉で長期間中性子を当て続ける必要があります。しかも半減期が短いので、作ってから使うまでの時間も限られます。
合成されたカリフォルニア大学バークレー校の地名です。この命名には先例があり、スウェーデンのイッテルビーという村の名からはイットリウム・テルビウム・エルビウム・イッテルビウムという4つの元素名が生まれています。バークリウムの真上にあるテルビウムが地名由来であることを意識し、周期表の縦の並びと名前の由来の並びを合わせた命名です。
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