クロムに関する情報をまとめました。
クロムの基本情報
和名 | クロム |
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英名 | Chromium |
語源 | ギリシャ語「色 (chroma)」 |
元素記号 | Cr |
原子番号 | 24 |
原子量 | 52.00 |
常温(25℃)での状態 | 固体(金属) |
色 | 銀白色 |
密度 | 7.190 g/cm3(20℃) |
融点 | 1857℃ |
沸点 | 2682℃ |
発見者 | ボークラン(フランス)[1797年] |
含有鉱物 | 紅鉛鉱 |
クロムの主な特徴
- 遷移金属元素で、周期表第6族に属す
- 銀白色の光沢を持つ硬い金属で、空気中で安定な酸化皮膜を形成するため、非常に高い耐食性を誇る
- 多彩な酸化状態(+2, +3, +6)をとることができ、特に+6価のクロム酸塩や重クロム酸塩は強力な酸化剤
- 金属材料、顔料、触媒などとして重要な役割を果たしている
クロムの歴史
発見
クロムは1797年、フランスの化学者ルイ=ニコラ・ヴォークランによって、鉱石クロコアイト(PbCrO₄)から発見されました。
翌年には金属クロムの単離にも成功し、化学的性質の研究が進められました。
名前の由来
「クロム(Chromium)」という名前は、ギリシャ語で「色」を意味する “chroma” に由来します。
クロム化合物が多彩な鮮やかな色を持つことにちなんで名付けられました。
クロムの主な用途
クロムはその優れた物理的・化学的性質を活かし、以下の分野で幅広く利用されています:
- ステンレス鋼: Fe-Cr合金は耐食性・耐熱性に優れ、建材・調理器具・医療機器などに使用
- クロムめっき: 金属表面の防錆・装飾目的(自動車、工具、家電)
- 顔料: 鮮やかな黄色・緑色・赤色の顔料(クロム黄・クロム緑・クロム赤)
- 触媒: 有機化学・石油化学における酸化・脱水素反応の促進剤
- なめし剤: クロム(III)塩は皮革のなめし処理に用いられる
クロムの生成方法
クロムは主に鉱石クロマイト(FeCr₂O₄)から以下のような工程で抽出・精製されます:
- 還元法: クロマイト鉱石をコークスで加熱し、Fe-Cr合金(フェロクロム)として回収
- 電解精製: 高純度クロムの製造に利用
- 化学精製: クロム酸化物や塩を経由して精製されることもある
クロムを含む化合物
クロムは多様な酸化数を持ち、それぞれ特有の化合物と色彩を示します:
- Cr₂O₃(酸化クロム(III)): 安定で緑色の粉末。顔料や耐熱材料に使用
- K₂Cr₂O₇(重クロム酸カリウム): 橙赤色。強力な酸化剤として分析化学に利用
- CrO₃(無水クロム酸): 赤紫色。毒性が強く、酸化作用が非常に強い
- CrCl₃: 紫色の塩。錯体化合物の出発原料
- クロム錯体: 錯体化学・触媒研究で重要(例:Cr(CO)₆)
クロムに関する研究事例
クロムはその電子構造や酸化還元特性を活かして、以下のような多岐にわたる研究対象となっています:
- クロム酸化物の触媒作用: 揮発性有機化合物(VOC)の除去などに応用
- Cr(VI) の環境毒性研究: 地下水・土壌汚染の測定と除去技術
- クロム錯体による分光研究: 電子遷移に基づく発色や磁性の解析
- 耐腐食材料開発: 高Cr含有鋼の腐食挙動と防食皮膜形成メカニズム
- 皮革なめし技術の改善: Cr(III) の安定化と無害化に関する研究
参考図書

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