ディールス・アルダー反応は、ジエンとジエノフィルから6員環を生成する反応です。
概要
- ジエンとジエノフィルから6員環を生成する
- ジエンはs-cisである必要がある
- 一般的に、ジエンに電子供与基、ジエノフィルに電子吸引基があると反応は促進される
ブタジエンとエチレンを高温高圧下で反応させると、シクロヘキセンが生成する。
ジエンに電子供与基、ジエノフィルに電子吸引基をつけると、反応速度は増大する。
ディールス・アルダー反応が進行するためには、ジエンがs-cis配座である必要があるため、非環状ジエンと比べて環状ジエンの反応性が高くなりやすい。また、ジエンは共役している必要がある。
反応基質の分子骨格はすべて炭素である必要はなく、窒素や酸素、硫黄などのヘテロ原子を含んでいてもよい。この場合、反応はヘテロ ディールス・アルダー反応と呼ばれる。
ディールス・アルダー反応は可逆的な反応であるが、環が形成される方向に進むことが多い。これは、2つのπ結合が2つのσ結合に置き換わるためである。
歴史
本反応の開発における業績により、Otto DielsとKurt Alderは1950年にノーベル化学賞を受賞している。
反応機構
鍵となる選択性
ディールス・アルダー反応の生成物を考えるとき、endo-exo選択性、位置選択性、面選択性が重要となる。それぞれに2種類の可能性があるため、ディールス・アルダー反応の遷移状態は8種類描ける。その中から所望の遷移状態を決める必要がある。
endo–exo選択性
endo-exo選択性は、ディールス・アルダー反応の立体選択性に大きく関わる。
電車で座って寝ている人を思い浮かべてほしい。ほとんどの人は腰を折って下を向くようにして寝ている。これがendoである。一方、たまに上を向いて首が痛くなりそうな姿勢で寝ている人もいる。これがexoである。ディールス・アルダー反応においても、ほとんどはendo体となり、これをendo則と呼ぶ。
以下で、この理由を説明する。
位置選択性
面選択性
実験手順
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実験のコツ
発展
逆電子要請型ディールス・アルダー反応
ジエンに電子吸引基、ジエノフィルに電子供与基がある場合、逆電子要請型ディールス・アルダー反応と呼ばれる。これは通常の組み合わせと比べて置換基効果が小さいため、反応例は少ない。
応用例
参考文献
<Original Publication>
Otto Diels; Kurt Alder, “Synthesen in der hydroaromatischen Reihe”, Justus Liebigs Annalen der Chemie, 1927, 460, 1, 98-122. DOI: 10.1002/jlac.19284600106
<Review>
<Related Publication>
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