REACTION

アッペル反応【Appel reaction】

Appel Reaction

アッペル反応は、トリフェニルホスフィンと四塩化炭素を用いて、アルコールを塩化アルキルに変換する有機反応である。ハロゲン化物源として四臭化炭素や臭素を用いると臭化アルキルが得られ、四ヨウ化炭素、ヨウ化メチル、ヨウ素を用いるとヨウ化アルキルが得られる。この反応はRolf Appelに因んで命名されたが、それ以前にも報告されていた。この反応は、モントリオール議定書で四塩化炭素が制限されたため、あまり使われなくなってきている。

この反応の欠点は、有毒なハロゲン化剤の使用と、有機生成物と分離しなければならない有機リン生成物の共生成物である。リンの試薬は触媒的な量で使用することができる。また、臭化物イオンの供給源として臭化リチウムを加えることで、対応する臭化アルキルを合成することも可能です。塩素系溶媒を使用しない、より環境に優しい触媒的アッペル反応も報告されている。

概要

  • トリフェニルホスフィンおよびテトラハロメタンとアルコールの反応
  • 温和な条件下でアルコールをハロゲン化アルキルに変換する

Appel Reaction

歴史

Rolf Appelらによって開発された。

反応機構

reaction mechanism of Appel Reaction

アッペル反応はホスホニウム塩3の生成から始まる。このホスホニウム塩はα-脱離を起こしてジクロロカルベンを与えることができないと考えられている。アルコールを脱プロトン化し、クロロホルムを生成するとアルコキシドが生成する。アルコキシドによる塩化物の求核置換により、中間体が生成する。1級および2級アルコールでは、ハロゲン化アルキルとトリフェニルホスフィンオキシドを形成するSN2プロセスで反応する。第3級アルコールでは、SN1機構で生成物を形成する。

この反応と類似の反応の原動力は、強いPO二重結合の形成である。この反応は、酸化物受容体としての有機ホスフィン、水素受容体試薬としてのアゾ化合物、求核剤の組み合わせで、アルコールをエステルに変換する光延反応とやや似ており、このような応用も可能である。

実験手順

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実験のコツ

アルケンとジエンの直接カップリングは副反応であるため、ニッケルの使用量は少なくする必要がある。

応用例

Crenarchaeolの全合成1)

参考文献

1) Holzheimer, Mira, Damsté, Jaap S. Sinninghe, Schouten, Stefan, Havenith, Remco W. A., Cunha, Ana V., Minnaard, Aiaan J. Total Synthesis of the Alleged Structure of Crenarchaeol enables Structure Revision. Angewandte Chemie (International ed.). 2021, vol. 60, no. 32, pp. 17504–17513.

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