化学実験において、混合物を分離・精製することは必要不可欠な操作である。
混合物の分離・精製にはいくつかの方法がある。
混合物の性質や分離・精製後の目的によって、それらを使い分けることが求められる。
混合物の分離・精製
ろ過 | 混合物をろ材に通し、穴より大きな固体の粒子を液体あるいは気体から分離する操作 |
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蒸留 | 混合物を蒸発した後に凝縮し、沸点の異なる成分を分離する操作 |
分留 | 蒸留を繰り返し行い、沸点の差が小さい液体の混合物からある成分を分離する操作 |
再結晶 | 温度による溶解度の差を利用し、粗結晶から不純物を取り除いてより純度の高い結晶を取り出す操作 |
抽出 | 溶媒に対する溶解度の差を利用して分離する操作 |
昇華 | 昇華性物質を分離する操作 |
クロマトグラフィー | 吸着力の差を利用し、移動相と固定相によって分離する操作 |
分離・精製には以上のような方法がある。
ちなみに、分離は「目的物質を混合物から分けること」、精製は「目的物質の濃度や純度を高めること」を意味する。
ここからは、分離・精製において特に重要なろ過、蒸留、抽出、再結晶、クロマトグラフィーについて見ていこう。
ろ過
一般的には、液体と固体を分離する手法である。
液体に溶ける物質はろ紙を通過するが、溶けない物質はろ紙上に残る。
蒸留
溶液を沸騰させると、融点の低い物質が先に蒸発する。
このとき、蒸発した物質が凝縮されたものを初留や本留と言い、これを集める。
詳しい操作については、「リービッヒ冷却器」で検索すれば分かる。その際、以下の点を押さえておくこと。
- 沸騰石を入れる意味
- 温度計球部の位置
- 冷却水を流す向き
抽出
多くの場合、水と有機溶媒を用いる。液液抽出のときは分液と呼ばれることもある。
分液漏斗に水と有機溶媒、分離したい物質を入れると、物質は水か有機溶媒かのどちらかに溶ける。(どちらにも溶けるあるいは溶けない物質は分液できない)
したがって、水あるいは有機溶媒を回収すれば、目的の物質を分離することができる。
再結晶
不純物を含む結晶を溶媒に溶かし、溶媒を蒸発させることによって目的の物質を再び結晶化させる。
不純物は溶媒側に残るため、より純度の高い結晶が得られる。
クロマトグラフィー
高校までは、最もイメージしづらい手法かもしれない。しかし、クロマトグラフィーは有機化学において、最も登場頻度の多い分離方法である。
これは長距離走を想像してほしい。足の速い子はどんどん前に進み、走る距離が長くなるほど後ろとの差は大きくなる。逆に足の遅い子はどんどん遅れていく。
物質もそれぞれに個性があり、進みの速い子と遅い子がいる。この性質を利用して分離するのがクロマトグラフィーである。
紙に黒のマジックをつけて水に浸してみると、その性質を体験できる。
様々な手法を用いて、醤油、味噌、梅干しなどから食塩を取り出し、その量を比較する。