SCIENCE

物質量とは?【モル・アボガドロ定数】

化学では、ある物質のサンプルに含まれる物質量nは、その中の原子スケールの離散粒子の量または数をアボガドロ定数NAで割ったものと定義される。粒子または実体は、文脈に応じて分子、原子、イオン、電子、またはその他であり、指定する必要がある。アボガドロ定数NAの値は、6.02214076×1023 mol-1と定義されている。モル(記号:mol)は、国際単位系における物質量の単位で、アボガドロ定数を所定の値に固定して定義されている(2019年以降)。物質量のことを化学量と呼ぶこともある。

物質量とは

「物質量」とは、物質の量をその構成要素(原子や分子など)の個数に着目して表したものである。単位はモルであり、その記号はmolである。キログラム(質量)、メートル(長さ)、秒(時間)、アンペア(電流)、ケルビン(温度)、カンデラ(光度)と並ぶ国際単位系(SI)の基本単位である。国際単位系とは、国際的に定められ、世界中で広く使用されている単位系である。

モルは、特に化学の分野で重要な単位であるが、キログラムやメートルという単位に比べて身近でない。そのため、モルは非常に理解が難しい。以下に、物質量、モル、アボガドロ定数について概説する。

モルの定義

化学反応の解釈において、物質の量は関与する原子や分子の個数に着目するとわかりやすい。たとえば、水素を燃やすと、水素分子2個と酸素分子1個が反応して水分子2個ができる。

ただし、原子や分子のサイズや質量は極めて小さく、実際の数で個数を表現するのは不便である。そこで、一定の個数の集団を単位として粒子の個数を表すと都合が良い。この考え方は、鉛筆12本で1ダースとしたり、タバコ10箱で1カートンとしたりして数を表すのに似ている。

このような考え方のもと、モルが物質量の単位として承認され、「モルは0.012 kgの12Cの中に存在する原子の数に等しい要素粒子を含む系の物質量であり、単位の記号はmolである」と定義された。

アボガドロ定数

アボガドロ定数NAとは、1 molを構成する粒子の個数を示す定数である。正確には、12 gの12Cに含まれる要素粒子の数のことである。アボガドロ定数は1 molあたりの数を表すので、単位はmol-1である。

この定数は自然現象を記述するために不可欠な基礎物理定数の一つになっている。たとえば、原子や分子のミクロな特性から身のまわりのマクロな現象を統計力学により演繹する際に重要なのはアボガドロ定数程度の莫大な個数の原子や分子が存在することである。すなわち、アボガドロ定数はミクロな世界の粒子とマクロな世界の物質を繋ぐ重要な役割を担う。