SCIENCE

【元素図鑑】フランシウム Fr【自然界で発見された最後の元素】

フランシウムは、アルカリ金属で、原子番号87の元素です。

元素図鑑

フランシウムの基本情報

和名 フランシウム
英名 Francium
語源 発見者ペレーの祖国フランス (France)
元素記号 Fr
原子番号 87
原子量 (223)
常温(25℃)での状態
臭い
密度 1.87 g/cm3
融点 27℃
沸点 677℃
発見者 ペレー(フランス)[1939年]
含有鉱物 ピッチブレンド

フランシウムの主な特徴

  • 原子番号87のアルカリ金属元素で、周期表の第1族に属す
  • 非常に放射性が強く、極めて不安定な元素であり、自然界にはごく微量しか存在しない
  • 化学的には他のアルカリ金属(特にセシウム)と似た性質を持ちますが、天然における存在量は非常に希薄で、工業的・医療的用途は存在しない
  • 最も安定な同位体 Fr-223 の半減期はわずか22分程度

フランシウムの歴史

発見

フランシウムは1939年、フランスの物理学者マルグリット・ペレイ(Marguerite Perey)によって発見されました。

彼女はアクチニウムの崩壊過程を分析する中で、新しい放射性元素の存在に気付き、これが後に Fr-223 として確認されました。

これは自然界で最後に発見された元素とされています。

名前の由来

元素名「フランシウム(Francium)」は、発見者の母国であるフランス(France)にちなんで命名されました。

当初は「アクチニウムK(AcK)」とも呼ばれていましたが、1939年に現在の名称が正式に採用されました。

フランシウムの主な用途

フランシウムは極めて短寿命かつ稀少であり、実用的な用途はありません
微量しか得られず、また合成も難しいため、次のような用途に限られます:

  • 原子物理学の研究: 原子スペクトル測定、相対論効果の検証など
  • 基本定数の検証: 超重元素の電子構造理論の検証対象
  • 教育的・理論的関心: アルカリ金属系列の周期性における重要な例

フランシウムの生成方法

フランシウムは以下のような方法で得られます:

  • 自然生成: アクチニウム-227などのα崩壊によって微量に生成される
  • 人工合成: トリウムやラジウムへの高エネルギー照射により Fr-223 を得る

合成される量はわずか数十万原子程度にすぎず、秤量可能な量の金属フランシウムは存在しません

フランシウムを含む化合物

フランシウムは理論上、他のアルカリ金属と同様に+1価の化合物を形成すると考えられています。

ただし、実験的に確認された化合物はほとんどなく、次のような化学種が存在すると予測されています:

  • FrCl(塩化フランシウム)
  • FrOH(水酸化フランシウム)
  • FrNO₃(硝酸フランシウム)

これらはすべて他のアルカリ金属の化合物と類似の構造・反応性を持つとされますが、実験室レベルでも極微量しか存在しないため、直接的な観測は困難です。

フランシウムに関する研究事例

フランシウムに関する研究は限られていますが、以下のような事例があります:

  • レーザー冷却実験: 原子物理学の分野でフランシウムをレーザーで捕捉・冷却し、原子遷移の精密測定を実施
  • 相対論的効果の研究: 重元素における電子構造の変化(s軌道の収縮など)を検証
  • 周期律の拡張研究: セシウムやルビジウムとの比較により、アルカリ金属系列の性質を補完

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