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【元素図鑑】ベリリウム Be【原子番号4】

ベリリウムに関する情報をまとめました。

ベリリウムの基本情報

和名 ベリリウム
英名 Beryllim
語源 ギリシャ語 「緑柱石(beryllion)」
元素記号 Be
原子量 9.012
常温(25℃)での状態 固体(金属)
灰色
臭い
密度 1.8477 g/L (20℃)
融点 1287℃
沸点 2472℃(加圧下)
発見者 ボークラン(フランス, 1797年)
含有鉱物 緑柱石

ベリリウムの主な特徴

  • アルカリ土類金属元素
  • 非常に高い融点(約1287℃)をもつ
  • 電気伝導性や熱伝導性も良好で、腐食にも強いことから、航空宇宙・原子力産業で重要視されている
  • 非常に軽量で剛性が高く、X線をよく透過する性質も持っている

ベリリウムの歴史

発見

ベリリウムは1798年、フランスの化学者ルイ=ニコラ・ヴォークランが鉱物「ベリル」と「エメラルド」から酸化ベリリウムを発見し、その存在を報告しました。
元素単体としての分離は1828年にフリードリヒ・ヴェーラーとアントワーヌ・ブサンによる還元反応によって達成されました。

名前の由来

「ベリリウム(Beryllium)」の名前は、発見の元となった鉱石「ベリル(beryl)」に由来しています。語源はギリシャ語の「beryllos(緑柱石)」です。

かつては「グルカイニウム(glucinium、g甜=甘い)とも呼ばれていましたが、現在は国際的に「ベリリウム」が正式名称とされています。

ベリリウムの主な用途

ベリリウムはその軽さ・剛性・耐食性から、次のような先端分野で活用されています:

  • 航空宇宙産業:ロケット、人工衛星、ジェットエンジン部品に使用
  • 原子力分野:中性子反射材や放射線遮蔽材として活用
  • X線装置:X線透過性に優れるため、窓材として使用
  • 合金材料:銅との合金(ベリリウム銅)は優れた電気・機械特性を持ち、精密バネ・電気接点に使用

ベリリウムの生成方法

ベリリウムは自然界に単体では存在せず、鉱石から化学処理によって抽出されます:

  • 鉱石処理:ベリル(Be3Al2Si6O18)をフッ化物や酸で処理し、フッ化ベリリウム(BeF2)を生成
  • 還元反応:BeF2を金属マグネシウムで還元し、金属ベリリウムを得る(BeF2 + Mg → Be + MgF2

ベリリウムを含む化合物

ベリリウムは高い電気陰性度を持ち、共有結合性の高い化合物を形成します。代表的なものには以下があります:

  • 酸化ベリリウム(BeO): 高融点でセラミックスや電子材料に使用
  • 塩化ベリリウム(BeCl2): 無色結晶、加水分解されやすい
  • 硫酸ベリリウム(BeSO4): 水溶性で化学分析に利用
  • 有機ベリリウム化合物: π-錯体や有機金属触媒として研究対象になることがある

ベリリウムに関わる研究事例

ベリリウムは毒性のある元素としても知られており、研究の際には厳重な取り扱いが必要です。研究事例としては以下が挙げられます:

  • ベリリウム肺炎の発症メカニズム:吸入による慢性ベリリウム疾患(CBD)の分子機構解明
  • ITERなど核融合炉開発における中性子反射材としての評価:高エネルギー下での耐性と挙動解析
  • 高性能X線装置開発:ベリリウムのX線透過性を活かした新型検出器開発
  • 合金強化メカニズムの解析:ベリリウム銅合金における析出硬化と構造解析

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