R/S配置の決め方:CIP順位則による立体配置
キラル分子では、四つの異なる置換基が結合した不斉炭素を中心として二つのエナンチオマーが存在します。
これらの分子は鏡像関係にありますが、どちらの立体配置であるかを明確に区別する必要があります。
この立体配置を表す方法として用いられるのが、R/S配置です。
RとSは、置換基の優先順位と回転方向によって決定されます。
R/S配置は、Cahn–Ingold–Prelog(CIP)順位則と呼ばれる規則に基づいて決定されます。
ここでは、CIP順位則の基本とR/S配置の決定方法について整理します。
CIP順位則とは何か
CIP順位則は、不斉炭素に結合した四つの置換基の優先順位を決めるための規則です。
基本的な考え方は、直接結合している原子の原子番号を比較することです。
原子番号が大きい原子ほど優先順位が高くなります。
例えば、炭素、酸素、窒素、水素が結合している場合、原子番号は
O(8)>N(7)>C(6)>H(1)
となるため、この順序で優先順位が決まります。
同じ原子の場合の順位決定
直接結合している原子が同じ場合には、次に結合している原子を比較します。
それぞれの原子に結合している原子の集合を原子番号の大きい順に並べて比較します。
この比較を続けることで、最終的に優先順位を決定します。
この方法により、複雑な置換基をもつ分子でも順位を決めることができます。
R/S配置の決定方法
R/S配置を決定する手順は次の通りです。
まず、不斉炭素に結合した四つの置換基にCIP順位則を用いて優先順位をつけます。
次に、優先順位が最も低い置換基(通常は水素)が観察者から遠ざかる方向に配置されるように分子を見ます。
その状態で、優先順位1 → 2 → 3の順にたどったときの回転方向を確認します。
時計回りの場合はR配置、反時計回りの場合はS配置と呼びます。
R/S配置とエナンチオマー
不斉炭素をもつ分子では、通常二つのエナンチオマーが存在します。
これらの分子は、R配置とS配置の関係にあります。
つまり、ある分子がR配置であれば、その鏡像はS配置になります。
この関係にある二つの分子がエナンチオマーです。
R/S配置とcis/transの違い
R/S配置は、主に不斉炭素をもつ分子の立体配置を表すために用いられます。
一方、cis/trans表記は二重結合や環構造における立体配置を表す方法です。
そのため、R/S表記とcis/trans表記は対象とする分子構造が異なります。
ただし、どちらも分子の三次元構造を表現するための重要な立体化学の概念です。
練習問題
解答:不斉炭素に直接結合している原子の原子番号によって決まります。
解答:優先順位1→2→3の順にたどったとき、時計回りならR配置、反時計回りならS配置です。
解答:互いに鏡像関係にあるエナンチオマーです。
次に読むべき記事
- メソ体とは:内部対称性と光学不活性
- ラセミ体と光学分割:エナンチオマーを分離する方法
- エナンチオマーと光学活性:偏光を回転させる分子
- キラリティと不斉炭素:鏡像異性の基本








