スコットランドの製鉄の町に生まれた少年が、のちに「有機触媒(organocatalysis)」という言葉そのものを世に送り出すことになる——デイヴィッド・マクミラン(David W. C. MacMillan)の名前は、いまや不斉合成の教科書から製薬企業の製造ラインまで、あらゆる場所に登場する。

2000年、彼が発表した1本の論文のタイトルには、はっきりとこう書かれていた。「New Strategies for Organic Catalysis(有機触媒のための新戦略)」。そこで示されたのは、金属を1原子も含まない小さなアミンで、Diels–Alder反応を高いエナンチオ選択性で進めるという実験だった。同じ年、ドイツではベンヤミン・リストがプロリン触媒による不斉アルドール反応を報告している。二人は互いを知らないまま、同じ年に同じ扉を開けた。

リストの武器がエナミンだったのに対し、マクミランの武器はイミニウムだった。この記事では、マクミラン触媒(イミダゾリジノン)がなぜ効くのかを「LUMOを下げる」というキーワードから読み解き、さらに彼が2010年代に切り開いた光レドックス触媒までをたどっていく。

この記事で学ぶこと
・マクミランが2000年に示した有機触媒による不斉Diels–Alder反応の意義と、「organocatalysis」という命名
マクミラン触媒(イミダゾリジノン)の構造——フェニルアラニン1つからどう作られるか
イミニウム触媒=LUMO低下という考え方(ルイス酸触媒の有機分子版)
エナミン(HOMO上昇)とイミニウム(LUMO低下)という、リストとマクミランの相補的な二本柱
・SOMO触媒・オルガノカスケードから光レドックス触媒・メタラフォトレドックスへの展開(2021年ノーベル化学賞)

生涯と略歴——製鉄の町からプリンストンへ

デイヴィッド・W・C・マクミランは1968年、スコットランド・グラスゴー近郊のベルズヒル(Bellshill)に生まれた。父は製鉄所で働き、家庭に研究者はいなかったという。地元のグラスゴー大学で化学を学び、1991年に学士号を取得。その後アメリカに渡り、カリフォルニア大学アーバイン校(UC Irvine)で全合成の大家ラリー・オーバーマン(Larry Overman)のもとで博士号を取得した(1996年)。

続く博士研究員時代には、ハーバード大学のデイヴィッド・エヴァンス(David A. Evans)研究室に加わる。エヴァンス研はキラルなビスオキサゾリン配位子と銅・亜鉛などの金属によるルイス酸触媒を極めていた場所である。ここでマクミランは「ルイス酸はなぜ反応を加速するのか」——すなわち金属が基質の電子状態をどう変えるのかを、身体で覚えることになる。のちの有機触媒の着想は、この金属触媒の理解から逆算して生まれた。

1998年にカリフォルニア大学バークレー校で独立し、2000年にカリフォルニア工科大学(Caltech)へ移籍。その移籍の年に、彼のキャリアを決定づける論文を発表する。2006年にはプリンストン大学に移り、以後同大学で研究を続け、2010年代には光レドックス触媒という新分野を主導した。2021年、ベンヤミン・リストとともにノーベル化学賞を受賞する。

出来事
1968スコットランド・ベルズヒル(グラスゴー近郊)に生まれる
1991グラスゴー大学で化学の学士号を取得
1996UCアーバインで博士号取得(指導:ラリー・オーバーマン、全合成・不斉合成)
1996–98ハーバード大学 エヴァンス研で博士研究員——キラルルイス酸触媒を学ぶ
1998UCバークレーで独立(助教)
2000Caltechへ移籍。イミダゾリジノン触媒による不斉Diels–Alder反応を報告し、「organocatalysis」を提唱
2005オルガノカスケード触媒(1つの触媒で連続反応を回す設計)を報告
2006プリンストン大学へ移籍(のちに化学科長)
2007SOMO触媒(一電子酸化で生じるラジカルカチオンを使う不斉触媒)を報告
2008有機触媒と光レドックス触媒を組み合わせた不斉α-アルキル化をScienceに報告
2010年代メタラフォトレドックス触媒(光レドックス+ニッケル)を確立し、創薬合成へ普及
2021ノーベル化学賞受賞(リストと共同、「不斉有機触媒の開発」)

2000年の一撃——金属なしで不斉Diels–Alder反応を回す

マクミランが挑んだのは、有機化学の教科書で最も有名な反応の一つ、Diels–Alder反応である。ディールスアルダーが発見したこの[4+2]付加環化は、ジエンとジエノフィル(求ジエン体)が一気に六員環をつくる反応だ。

この反応を速く・立体選択的に進めるための定番は、ルイス酸触媒だった。ジエノフィルのカルボニル酸素に金属が配位すると、電子が金属側へ引かれてジエノフィルのLUMO(最低空軌道)のエネルギーが下がる。ジエンのHOMOとのエネルギー差が縮まるので反応が加速する——フロンティア軌道論で説明される、おなじみの筋書きである。

マクミランの問いはシンプルだった。「LUMOを下げるのに、本当に金属が要るのか?」

着想の核心:イミニウムはルイス酸の代役になる
α,β-不飽和アルデヒドを二級アミンで処理すると、可逆的にイミニウムイオン(C=N+ができる。正電荷を帯びた窒素はカルボニル酸素と同じように——いや、それ以上に強く——π電子を引きつけてLUMOを下げる。つまりイミニウム形成は「ルイス酸配位の有機分子版」である。しかもアミンがキラルなら、その不斉が生成物の立体まで決めてくれる。マクミランは、エヴァンス研で学んだ金属ルイス酸の役割を、丸ごと有機分子に置き換えたのである。

2000年、マクミランはカイル・アーレント(K. A. Ahrendt)、クリストファー・ボーツ(C. J. Borths)とともに、フェニルアラニン由来のイミダゾリジノン触媒を用いた不斉Diels–Alder反応をJournal of the American Chemical Societyに発表した。触媒量(数mol%)のアミンと、酸を少量加えるだけ。金属も、不活性ガスも、極低温も不要で、エナンチオ選択性は90%台のee(鏡像体過剰率)に達した。

そしてこの論文で、彼は自分たちの手法に名前を与える——organocatalysis(有機触媒)。分野に名前がついた瞬間、それは「散発的な面白い実験」から「体系立てて設計できる学問領域」へと変わった。命名という行為そのものが、彼の大きな貢献の一つだと評されるゆえんである。

マクミラン触媒の正体——アミノ酸1つから作るイミダゾリジノン

マクミラン触媒(MacMillan catalyst)と呼ばれるのは、イミダゾリジノン(imidazolidinone、五員環のアミド+アミン)骨格をもつ一群のキラル触媒である。出発物質は、これも身近な——タンパク質を構成するアミノ酸フェニルアラニンだ。

【マクミラン触媒(第一世代)の骨格】

        Me   Me      ← C2 のかさ高い置換基
          \ /           (第二世代では t-Bu 基)
     N —— C
     |      |
    Me      N — H   ← この二級アミンが基質と結合する
     |      |
     C —— C*      ← 不斉炭素(フェニルアラニン由来)
    ||       \
     O        CH2—Ph  ← ベンジル基が片方の面を覆う

  ・原料:L-フェニルアラニン(メチルエステル)+ メチルアミン + ケトン/アルデヒド
  ・二級アミン部位 = イミニウムをつくる「活性中心」
  ・ベンジル基 + C2 のかさ高い置換基 = 反応面を片側に絞る「立体の壁」

構造の役割分担は明快である。環の中の二級アミン(N–H)がα,β-不飽和アルデヒドと縮合してイミニウムをつくる。そしてフェニルアラニン由来のベンジル基C2位のかさ高い置換基(第一世代はジメチル、第二世代はtert-ブチル)が協力して、イミニウムの一方の面を物理的に覆い隠す。ジエンは覆われていない側からしか近づけないので、生成物の立体がそろう。

第一世代と第二世代の使い分け
第一世代(C2にジメチル基)はDiels–Alder反応や1,3-双極子環化付加で威力を発揮する。第二世代(C2にtert-ブチル基)はさらにかさ高く、共役付加(Friedel–Crafts型アルキル化、β位への求核付加)で高い選択性を示す。「反応が環化付加か、共役付加か」で世代を選ぶと覚えておくとよい。いずれもフェニルアラニンのL体・D体を選べば触媒の鏡像体が手に入るので、生成物の左右を自在に切り替えられる。

イミニウム触媒の仕組み——LUMOを下げるサイクル

マクミラン触媒の働きは、次の4段階のサイクルで整理できる。α,β-不飽和アルデヒドが基質、求核剤(ジエンなど)が相手である。

【イミニウム触媒サイクル(不斉 Diels–Alder の場合)】

(1) 縮合:キラル二級アミン + α,β-不飽和アルデヒド
        → キラルイミニウム(C=N+)+ H2O
        *ここで LUMO が下がる(活性化)

(2) 立体の決定:かさ高い置換基とベンジル基が
        イミニウムの片面をブロック
        → ジエンは空いている面からのみ接近

(3) 付加環化:ジエンの HOMO と イミニウムの LUMO が
        相互作用して [4+2] 環化
        → 新しい C–C 結合と不斉中心が生成

(4) 加水分解:生じたイミニウムが H2O で切れて
        アルデヒド生成物を放出し、触媒が遊離
        → (1) へ戻る

  触媒量(数 mol%)のアミンだけで(1)→(4)が何度も回る

ここで軌道の言葉に翻訳しておこう。ルイス酸がカルボニルに配位したときと同様、イミニウム化はジエノフィルのLUMOを引き下げる。ジエンのHOMOとのエネルギー差が縮まるほど相互作用は強くなり、反応が加速する。触媒が「反応を速くする理由」と「立体を決める理由」が、同じ1つのイミニウム中間体に同居している——ここがイミニウム触媒の設計の美しさである。

よくある誤解:イミニウムとエナミンは「別の触媒法」ではない
イミニウム(C=N+)とエナミン(C=C–N)は、同じ二級アミン+カルボニルから生じる兄弟である。α位のプロトンが抜ければイミニウム→エナミンに変わる。違いはどちらの役を演じるかだ。
イミニウム=基質を求電子剤として活性化(LUMO低下)。α,β-不飽和カルボニルのβ位が攻撃を受ける
エナミン=基質を求核剤として活性化(HOMO上昇)。α位が相手を攻撃する
「どちらが攻める側か」を毎回確認すれば混同しない。β位が反応するならイミニウム、α位が反応するならエナミンと覚えるのが最短ルートである。

リストとマクミラン——なぜ二人同時の受賞なのか

2021年のノーベル化学賞が二人に贈られたのは、単に同じ年に発表したからではない。二人の原理が、正反対でありながら完全に噛み合っていたからである。

観点リスト:エナミン触媒マクミラン:イミニウム触媒
代表的な触媒プロリン(環状二級アミン+COOH)イミダゾリジノン(フェニルアラニン由来)
中間体エナミン(中性)イミニウム(カチオン)
軌道の効果HOMOを上げる(求核性を高める)LUMOを下げる(求電子性を高める)
反応する位置カルボニルのα位α,β-不飽和体のβ位
代表反応不斉アルドール反応・マンニッヒ反応不斉Diels–Alder反応・共役付加
たとえるなら基質を攻める側に変える基質を攻められる側に変える

この二本柱がそろったことで、カルボニル化合物のα位もβ位も、金属なしで不斉に官能基化できるようになった。有機触媒が単なる「一発ネタ」ではなく設計可能な体系になったのは、この相補性ゆえである。

触媒を重ねる——オルガノカスケードとSOMO触媒

マクミランの真骨頂は、原理を1つ確立したあとの展開力にある。

2005年ごろから彼が推し進めたのがオルガノカスケード触媒(organocascade catalysis)である。1つの反応容器の中で、同じ触媒がイミニウム活性化 → エナミン活性化 → ふたたびイミニウム活性化…と役割を切り替えながら、複数のC–C結合を連続してつくる。中間体を単離せずに一気に複雑な骨格と複数の不斉中心を組み上げるため、天然物合成の工程数を劇的に短縮できる。

2007年には、まったく別の発想としてSOMO触媒(SOMO catalysis)を提案した。エナミンを一電子酸化すると、電子が1つ抜けたラジカルカチオンになる。この中間体がもつのは、電子が1個だけ入った軌道——SOMO(Singly Occupied Molecular Orbital、単占軌道)である。

HOMO・LUMO・SOMO——3つ目の活性化モード
エナミン触媒がHOMOを上げる、イミニウム触媒がLUMOを下げるのに対し、SOMO触媒は電子を1つ抜いてラジカル種にするという第三のモードである。ラジカルは電子対のやりとりでは届かない結合形成を可能にするため、α位のアリル化・ビニル化・アリール化など、それまで不斉化が難しかった変換が視野に入った。「軌道をどう操作するか」で触媒を分類するマクミランの思考法が、ここでも一貫している。

第二幕——光レドックス触媒とメタラフォトレドックス

2008年、マクミランは大学院生デイヴィッド・ナイスウィッツ(D. A. Nicewicz)とともに、Science誌に一本の論文を発表する。可視光を当てるだけで、アルデヒドのα位を不斉にアルキル化するという内容だった。

使ったのは、ルテニウム錯体 Ru(bpy)32+(トリス(ビピリジン)ルテニウム)という光レドックス触媒(photoredox catalyst)と、おなじみのイミダゾリジノン触媒。青色LEDや家庭用蛍光灯の光を吸収した金属錯体が励起状態になり、基質と1電子をやりとりしてラジカルを発生させる。そのラジカルを、キラルなエナミンが立体を制御しながら捕まえる——光でラジカルをつくる触媒立体を決める有機触媒を同時に回す設計である。

【二重触媒(光レドックス + 有機触媒)の考え方】

  可視光 (hν)
      |
      ↓
  光レドックス触媒 [Ru or Ir 錯体]
      → 励起状態 → 1電子移動(SET)
      → 基質から ラジカル を発生
                       |
                       ↓ 捕捉
  キラル有機触媒 → エナミン(求核性+立体の壁)
                       |
                       ↓
              α位が不斉にアルキル化された生成物

  *「反応性をつくる触媒」と「立体をつくる触媒」を分業させる

この考え方はその後、金属触媒と組み合わせるメタラフォトレドックス触媒(metallaphotoredox catalysis)へと発展する。とくに光レドックス触媒+ニッケル触媒の組み合わせは強力で、カルボン酸を脱炭酸してアリール化する反応や、従来は難しかったC–N・C–O結合形成を室温・可視光下で実現した。

なぜ製薬企業がこぞって採用したのか
創薬の現場では、複雑な分子の一部だけを、穏和な条件で作り替えたい場面が多い。メタラフォトレドックスは室温・可視光・中性付近で進み、カルボン酸やアミンといったありふれた官能基をそのままカップリング相手に使える鈴木–宮浦カップリングのようなクロスカップリングが「ハロゲン化物+有機ホウ素」という決まった相手を要求するのに対し、こちらは使える基質の幅が広い。この実用性が、マクミランの化学を論文の世界から製造ラインへ押し出した。

院試・学部講義での位置づけ

有機触媒と光レドックスは、近年の講義・院試でも扱われるようになった新しめのトピックである。とはいえ問われる中身は、フロンティア軌道論と立体化学の基礎に落ちる。次の観点を自分の言葉で説明できるようにしておきたい。

問われる論点答えの核心
イミニウム触媒はなぜ反応を加速するかイミニウム化で基質のLUMOが下がり、求核剤のHOMOとのエネルギー差が縮まるため(ルイス酸触媒の有機分子版
立体選択性はどこから来るか触媒のベンジル基とかさ高い置換基がイミニウムの片面を覆い、求核剤の接近面を限定する
エナミン触媒との違いエナミン=HOMO上昇・α位が求核/イミニウム=LUMO低下・β位が求電子
なぜ金属触媒より有利な場面があるか安価・低毒性・空気に安定で、医薬品に嫌われる金属残渣を残さない
光レドックス触媒の役割可視光で励起した錯体が1電子移動(SET)を起こし、ラジカル中間体を穏和に発生させる
ここにタイトルを入力

発展:イミニウムのE/Z幾何も立体を決めている
イミニウム触媒の立体選択性を厳密に議論するときは、C=N二重結合の幾何(E体かZ体か)も効いてくる。触媒のかさ高い置換基と基質の置換基が立体反発を避けるため、イミニウムは片方の幾何異性体に大きく偏って生成する。その上で、環状骨格上のベンジル基がsi面かre面かの一方を遮蔽する。つまり「幾何の制御」+「面の遮蔽」の二段構えで立体が決まる。Diels–Alder反応endo/exo選択性を考えるときと同じく、遷移状態でどの置換基がどこに来るかを紙に描いて確認するのが理解の近道である。

現代への影響

マクミランが化学に残したのは、特定の反応というより「触媒を軌道の言葉で設計する」という方法論である。HOMOを上げるのか、LUMOを下げるのか、SOMOをつくるのか——活性化モードを先に決め、そこから触媒の構造を逆算する。この設計思想は、いまや有機合成のあらゆる場面に浸透している。

創薬・原薬合成
天然物の全合成
光化学の再興

ノーベル財団は2021年の授賞理由を「不斉有機触媒の開発(for the development of asymmetric organocatalysis)」と記した。野依良治らが築いた金属不斉触媒、酵素による生体触媒に続く第三の柱——その柱の一方を、スコットランドの製鉄の町から来た化学者が、アミノ酸1つを組み替えた小さな環状分子で立ててみせたのである。

まとめ

この記事のポイント
・デイヴィッド・マクミラン(1968–)は2000年、イミダゾリジノン触媒による不斉Diels–Alder反応を報告し、「organocatalysis(有機触媒)」という語を提唱した
・着想の核心は「イミニウム形成はルイス酸配位の有機分子版」——金属を使わずに基質のLUMOを下げる
マクミラン触媒フェニルアラニン由来のイミダゾリジノン。二級アミンがイミニウムをつくり、ベンジル基とかさ高い置換基が片面を覆って立体を決める
・第一世代(C2ジメチル)は環化付加、第二世代(C2 tert-ブチル)は共役付加に強い
・リストのエナミン触媒=HOMO上昇・α位/マクミランのイミニウム触媒=LUMO低下・β位という相補的な二本柱が、有機触媒を体系化した
・その後オルガノカスケード・SOMO触媒を経て、光レドックス触媒・メタラフォトレドックスへ展開し、創薬合成に定着した
・2021年、ベンヤミン・リストとノーベル化学賞を受賞(「不斉有機触媒の開発」)
・院試では「なぜLUMOが下がるのか」「立体はどこで決まるのか」「エナミンとの違い」を説明できるようにしておくとよい

マクミランの化学がおもしろいのは、まったく新しい反応を発明したのではなく、教科書に載っているDiels–Alder反応を「別の活性化の仕方」で捉え直した点にある。フロンティア軌道の考え方さえ身についていれば、有機触媒も光レドックスも基礎の延長線上にあると見えてくる。まずはDiels–Alder反応の軌道相互作用と、アルドール反応におけるエノラート/エナミンの働きを復習してから読み返すと、この分野の見通しが一段とよくなる。ほかの化学者の歩みは有機化学者列伝まとめから確認できる。