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エーテル官能基の構造・性質・合成・反応・応用まで徹底解説

エーテル(ether)は、有機化合物の中でも比較的安定で中性な官能基であり、酸素原子が2つの炭素と単結合で結ばれた構造を持ちます。
一般式は R–O–R’ で表され、低極性ながら電子豊富な酸素原子を含むため、分子間相互作用や錯形成などに活用されます。

本記事では、エーテルの構造と分類、命名法、物理的性質、合成法、反応性、そして工業・分析・医薬分野への応用まで、有機化学の視点から詳しく解説します。

エーテルの構造と命名法

エーテルは酸素原子に2つの炭素が結合した構造を持ち、アルコールの–OH基の水素がアルキル基に置き換わった形と考えることができます。

R–O–R'

R と R’ は同一または異なる炭化水素基

IUPAC命名法

慣用名

エーテルの分類

エーテルの物理的性質

代表例の沸点

化合物 構造 沸点(℃)
ジエチルエーテル CH₃CH₂OCH₂CH₃ 34.6
テトラヒドロフラン(THF) 環状エーテル 66

エーテルの主な合成法

① ウィリアムソン合成(Williamson ether synthesis)

R–O⁻ + R'–X → R–O–R' + X⁻

② アルコールの脱水縮合

2 R–OH ⇌ R–O–R + H₂O

濃硫酸の存在下で130〜140℃に加熱すると、対称エーテルが得られます。
平衡反応であり、脱水が鍵となります。

③ 環化による環状エーテルの形成

エーテルの主な反応

エーテルは一般に安定で、中性条件ではほとんど反応しません。しかし、強酸条件下では反応性を示します。

① 酸による開裂反応

R–O–R' + HX → R–X + R'–OH

② 自動酸化による過酸化物生成

③ Lewis酸との錯体形成

エーテルの応用と代表例

① 溶媒としての利用

② クラウンエーテル

③ 医薬・化粧品・香料原料

④ 材料科学

エーテルの保存と安全性

まとめ:エーテルは安定性と機能性を兼ね備えた万能官能基

次回は「フェノール(–OH on aromatic ring)」をテーマに、芳香族水酸基の構造、酸性、反応性、検出法、応用を詳しく解説します。

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