ある分子の励起された電子状態が放射線を放出して基底状態に戻るとき、蛍光や燐光という現象が起こります。
このような現象はどのようにして起こるのでしょうか。
また、蛍光と燐光はどのような点が異なるのでしょうか。
蛍光や燐光の発生
励起されたエネルギーをフォトンとして捨て去る過程を放射減衰過程と言います。
この放射減衰過程は、無放射減衰と自然放射減衰に分かれます。
電子的に励起された分子は、一般的に無放射減衰をたどります。
しかし、ここで注目するのは、自然放射減衰です。
これが蛍光や燐光を伴う過程なのです。
蛍光
蛍光では、外部から励起放射線がなくなると、数ナノ秒から数ミリ秒の間に放射線の自然放出が起こります。
吸収された放射線が直ちに再放出のエネルギーに変換されるため、非常に短い時間で放出されます。
短い時間で放出されるため、比較的明るい光が発生します。
燐光
燐光では、自然放出が長時間持続します。
一般的に、数秒から数時間に及びます。
燐光の場合、エネルギーを蓄える貯蔵所があり、そこからゆっくりと放出されていきます。
アナログ目覚まし時計の針などが典型的な例で、長時間にわたり弱い光が発生します。
物理化学の教科書・参考書
アトキンス 物理化学 上・下 Peter Atkins, Julio de Paula 著
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